販売不振が長期化する自動車の国内市場に、政府が救いの手を差し伸べる格好となった「エコカー減税」。対象となっている国産メーカーの車種に限れば、買い替え助成制度と相まって「追い風」となっているようだ。一方で、乗用車での減税対象がなく苦境に立たされた輸入車メーカーは、購入時に使えるクーポン発行など新たな戦略を打ち出し、巻き返しに躍起となっている。
自動車取得税と重量税を減免するエコカー減税が始まった四月。国内の新車販売台数は前年同月比28・6%減と、三月の31・5%減よりやや上向いたが、外国メーカーの輸入車に限ると四月が32・8%減と、三月の26・7%減より悪化し、明暗が分かれた。
エコカー減税は、窒素酸化物(NOx)などの排出量などが一定基準を満たす自動車を対象に減免割合が決められている。基準となる数値は各国で異なるため、欧米基準に対応させている輸入車は、たとえ燃費で優れていても日本の基準を満たさない例が多い。トラックや軽自動車を除けば、減免の対象となる乗用車はないのが現状だ。
トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」のハイブリッド車「LS600hL」の場合、免除される税額は約七十四万円にもなる。ある輸入車メーカーの日本法人首脳からは「健全な形で消費を刺激してほしい」と、不公平感を示す言葉も聞かれた。
こうした状況を打開しようと、メルセデス・ベンツ日本は八日から、重量、取得両税の相当額クーポンを発行し、購入時に使える「購入支援キャンペーン」を始めた。クーポンは最大四十五万円で、同社は「効果はこれからだが、期待感はある」と話す。
フォルクスワーゲン(VW)グループジャパンは、減税対象となるよう排ガス性能を改良し、約八割の車種での適用を目指す。BMWも「ミニ」ブランドで、買い替え助成制度相当額をキャッシュバックするキャンペーンを始め、各メーカーとも独自の工夫で客足を取り戻そうと懸命だ。