2009年5月21日木曜日

エコカーからレアアース 高効率回収技術で官民タッグ

 経済産業省は20日までに、ハイブリッド車(HV)などに搭載するモーター用磁石から希少資源「レアアース(希土類元素)」を高効率で回収する技術の開発を官民連携で進める方針を固めた。車両側の低価格化や消費者側の環境意識向上が相まってHVの需要が拡大傾向にある一方、世界で操業中のレアアース鉱山の大半を占める中国が輸出規制を継続している。このため、レアアースを日本国内でリサイクルするための技術の実用化が急務と判断した。

 レアアースは希少金属(レアメタル)の一種で、次世代自動車や省エネ家電などのハイテク産業に欠かせない希少資源となっている。なかでも、レアアースの消費量の増加が見込まれている分野がエコカー。レアアースを使うと磁力の強い小さな磁石を作ることができるため、HVや今夏から国内で市場開拓が本格化する電気自動車(EV)に積むモーターの小型化に役立つ「磁石原料」として、今後需要が一層高まることが確実視されており、既にホンダのハイブリット車「インサイト」に搭載されたモーター用磁石にレアアースが利用されている。

 経産省では、こうした分野で使用済みの希少資源を再活用するため、(1)モーターを分解してレアアース含有部品を分離(2)分離した部品からレアアースを抽出・捕集-する技術の開発で民間の取り組みを支援する。

 あわせて、レアアースを低コストで効率的に回収するノウハウも含めてシステムの実験と検証を行う。

 実施体制などは今後詰めるが、民間企業などを対象に6月にも公募を開始。実用性が高い回収技術の開発に必要な経費の一部を国が補助するほか、コストに見合った成果が得られるか不透明といった開発リスクのある革新的な開発テーマに対しては委託費を支給する。

 経産省では、レアアース以外にも廃プラスチックの高度分別技術などにも着目して総合的な「都市資源循環推進事業」を進める方針で、同事業全体で約40億円の予算を要求している。

 レアアースの埋蔵量で世界一の中国は、国策で輸出量を年々減少させてきており、「2013年には世界で不足状態に陥る」(経産省幹部)との予測も浮上している。

 こうしたなか、原料供給のほとんどを輸入に依存し、その9割以上が中国からの調達となっている日本の供給不安は増している。レアアース価格が乱高下するリスクから回避するためにも、対策が急がれている。