2009年5月28日木曜日

VWとアウディが低排出ガス車の申請へ…エコカー減税狙い

 フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンとアウディ・ジャパンは、環境対応車の購入者に対する優遇税制(エコカー減税)の対象車をそろえるため、国土交通省に低排出ガス車の認定申請を出す方針だ。

 両社にはエコカー減税の燃費基準を満たした車はあるものの、「4つ星車」(2005年排出ガス基準値より75%以上低減した車)がないため、エコカー減税の対象となる車がない。手続きの煩雑さなどから、基準をクリアしていても申請していなかった車があるという。4つ星の認定を受けて減税の対象車をそろえ、販売のテコ入れにつなげる。

2009年5月27日水曜日

ハイブリッド車、ホンダ「フィット」ベースで来秋に トヨタは4車種追加

 ハイブリッド車を巡る国内自動車大手の競争が2010年にかけてさらに活発になりそうだ。ホンダが同社の最量販車種「フィット」のハイブリッド版を当初予定から約1年半早い10年秋に発売。トヨタ自動車は年内に発売するハイブリッド専用車を含め4車種を追加投入する。日産自動車なども新たに投入を計画しており、新車販売に占めるハイブリッド車の比率は11年度にも20%を突破する勢いだ。

 ホンダの「フィットHV(仮称)」は現行のフィットがベースで、すでに発売した「インサイト」と共通のハイブリッドシステムを搭載する。エンジン排気量は1300ccで、燃費性能は1リットル当たり30キロメートル超とインサイトと同程度、価格はインサイトの189万円より安い150万円前後を目標にしている。

メルセデス クリーンディーゼル車、来春投入 減税申請、輸入車に拡大の動き

 メルセデス・ベンツ日本(東京都港区)は26日、4月から実施されたエコカー減税の100%免税対象となるクリーンディーゼル車を2010年春にも同社の主力車「Eクラス」に投入する方針を明らかにした。同日開かれた新型「Eクラス セダン」の発表会で同社のハンス・テンペル社長が明らかにしたもので、日本政府に免税のための基準認定申請を行う考えだ。減税対象になっている輸入車はまだなく、自動車需要が落ち込む中で、輸入車は国内メーカーに比べて不利との声があがっているだけに、同様の動きが他の輸入車にも広がりそうだ。

 クリーンディーゼル車は、ガソリン車並みの排ガス性能を持つディーゼル車で、今年10月に導入される排ガス規制「ポスト新長期規制」で窒素酸化物(NOx)などの排出基準を満たすことが条件。メルセデスのクリーンディーゼルは尿素を触媒として排ガスを浄化するシステムで、世界発売と前後して日本にも投入する。同社はこのほか、年内をめどに「Sクラス」のハイブリッド車(HV)を国内投入するほか、燃費性能の高い直噴エンジン式も今秋に発売。いずれも減税申請を行うとしている。

 輸入車の場合、「メリットがなかった」(業界関係者)ことから日本でエコカー認定を申請しないケースが多く、減税対象車はなかった。だが、「減税の恩恵を受けないのは不利」との危機感が強まっている。

 今月25日にはフォルクスワーゲングループジャパンが排ガス基準認定を申請する方針を表明。

 日本で発売している42モデル中19モデルが燃費基準を満たしているアウディジャパンも申請を行う方針のほか、プジョー・シトロエン・ジャポンも「前向きに考えたい」としている。

逆風輸入車 巻き返し エコカー減税 恩恵なし

 販売不振が長期化する自動車の国内市場に、政府が救いの手を差し伸べる格好となった「エコカー減税」。対象となっている国産メーカーの車種に限れば、買い替え助成制度と相まって「追い風」となっているようだ。一方で、乗用車での減税対象がなく苦境に立たされた輸入車メーカーは、購入時に使えるクーポン発行など新たな戦略を打ち出し、巻き返しに躍起となっている。

 自動車取得税と重量税を減免するエコカー減税が始まった四月。国内の新車販売台数は前年同月比28・6%減と、三月の31・5%減よりやや上向いたが、外国メーカーの輸入車に限ると四月が32・8%減と、三月の26・7%減より悪化し、明暗が分かれた。

 エコカー減税は、窒素酸化物(NOx)などの排出量などが一定基準を満たす自動車を対象に減免割合が決められている。基準となる数値は各国で異なるため、欧米基準に対応させている輸入車は、たとえ燃費で優れていても日本の基準を満たさない例が多い。トラックや軽自動車を除けば、減免の対象となる乗用車はないのが現状だ。

 トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」のハイブリッド車「LS600hL」の場合、免除される税額は約七十四万円にもなる。ある輸入車メーカーの日本法人首脳からは「健全な形で消費を刺激してほしい」と、不公平感を示す言葉も聞かれた。

 こうした状況を打開しようと、メルセデス・ベンツ日本は八日から、重量、取得両税の相当額クーポンを発行し、購入時に使える「購入支援キャンペーン」を始めた。クーポンは最大四十五万円で、同社は「効果はこれからだが、期待感はある」と話す。

 フォルクスワーゲン(VW)グループジャパンは、減税対象となるよう排ガス性能を改良し、約八割の車種での適用を目指す。BMWも「ミニ」ブランドで、買い替え助成制度相当額をキャッシュバックするキャンペーンを始め、各メーカーとも独自の工夫で客足を取り戻そうと懸命だ。

2009年5月23日土曜日

インターネットであふれる様々な新型プリウスの情報

 今、話題の自動車と言えば、エコカー減税策などの法案で注目を集めながら、6年振りのフルモデルチェンジで5月18日に発売されたばかりの新型 プリウスだろう。

 しかも、この新型 プリウスの発売は、戦後からの日本のモータリゼーションを考えると、僕ら一般人はもちろん、諸々の社会情勢から政官財の注目を集めた中で発表されたという珍しいケースだと思う。

 おかげで、インターネット上ではプリウスと検索すると、経済情勢やら部品メーカIR情報のような記事やら、エコカー減税策をはじめとした政府の動きやら、それに連動してマーケティング的な話題やらブログまで多くの情報がヒットする。本来の対象者である僕ら一般人、すなわち購入検討している方に整理された情報が届いていないのではないかと心配してしまう。

 そして、お目当ての“プリウス”にたどり着いたとしても、次の疑問が他のクルマ同様に訪れる。そう、グレードが複数あるのだ。基本装備の違いによって異なるのだが、その価格差は最大で122万円もある。

 と、いうことで新型 プリウスのグレードについて簡単にまとめてみましたので購入サポートとして役立てていただければと思う。

松竹梅の基本3グレードから選ぶべし

 プリウスのカタログを眺めると、「L」「S」「G」「Sツーリングセレクション」「Gツーリングセレクション」「Gツーリングセレクション・レザーパッケージ」と全6グレードある。 そのうち基本的となるグレードは、低価格でもっともベーシックな「L」、標準的な装備の「S」、上級グレード「G」の3グレード。

 いずれのグレードもハイブリットシステムを構成するガソリンエンジンと電気モーターに性能差はなく、全車にトヨタ独自のハイブリットシステム(リダクション機構付THS II)を搭載する。いわゆるパワーはすべてのグレードで同じとなる。

 そこで、主な装備の違いを挙げるとベーシックな「L」はオーディオレス。標準モデルの「S」はCD+AM/FMのカーオーディオを装備し、Gはそれにクルーズコントロールを装備する。

 一見、オーディオが必要なければ、価格がもっとも安いベーシックな「L」が、お買い得に思えてしまうのだが、「L」では、ハイブリットカーならではの快適装備のメーカーオプションの選択できなくなってしまうことが多々ある。

 メーカーオプションが自由に選べるのも新車を買う醍醐味のひとつといえるので、ここは後悔しないためにも真剣に考えて頂きたい。

 次に、基本の「L」「S」「G」の3グレードごとに選択できる、メーカーオプションについて解説し、「ツーリングセレクション」と「ツーリングセレクション・レザーパッケージ」についても紹介しよう。

グレード「L」

 もっともシンプルな装備で、価格も全グレードの中で最も安い205万円(メーカー小売希望価格)で買いやすいグレード「L」。

 オーディオレスだが、標準で4スピーカーが備わっており、スピーカーの配線もコンソールまで来ているので、ディーラーオプションで好きなカーオーディオを選ぶことも可能。

 但し、他のグレードのようにリアワイパーやフロントフォグランプなどの視界を確保のための装備がオプションで選べない。

 またトヨタ純正のカーナビのモニターと連動する、インテリジェントパーキングアシストをはじめとした先進装備の選択はできないので注意が必要だ。

 とはいえ、205万円というプライスはハイブリットカーとしては魅力的。先進装備よりまずは燃費と考えているユーザにはオススメのグレードかもしれない。

グレード「S」と「Sツーリングセレクション」

 CD+AM/FM+6スピーカーのカーオーディオが標準装備もなり、かつ「L」ではオプションでも選択できなかった、リアワイパーやフロントフォグランプが標準装備がされたのがグレード「S」。

 価格は220万円と「L」より15万ほど高くなったが、この装備ならお買い得感がある。

 またグレード「S」には「ツーリングセレクション」いうパッケージングが用意されており、ヘッドライトの汚れを洗浄するポップアップ式のヘッドライトクリーナーを装備し、視界確保の装備が充実するとともに、グレード「S」が15インチのアルミホイールを履くのに対し「ツーリングセレクション」は17インチを履く。リアバンパースポイラーも標準で付くなど、より走りの向上とスポーティーな演出がされている。

「S」、「Sツーリングセレクション」では、メーカーオプションで、HDDカーナビゲーションシステムとセットとなっている車庫入れや縦列駐車において、車両がステアリング操作をアシストするインテリジェントパーキングアシストがメーカーオプションで選択できるようになる。

 また、プリウスらしいメーカーオプションとして、ムーンルーフに設置したソーラーパネルで発電した電気によって駐車中に社内の換気を行うソーラーベンチシステムもメーカーオプションでグレード「S」から選択ができるようになるが、Sツーリングセレクションでは選択できないので注意が必要だ。(※選択できない理由は、ソーラーベンチシステム・ムーンルーフの重量が重いため本来ツーリングセレクションに求める走りへ影響がでるとのこと)

 車庫入れに便利なインテリジェントパーキングアシストとソーラーベンチシステムを選択したい場合は、このグレード「S」がオススメだ。

グレード「G」と「Gツーリングセレクション」「Gツーリングセレクション・レザーパッケージ」

 グレード「G」は基本のグレードの中でもっとも高い245万円。

「S」より25万も高くなるが、装備の内容が「S」の装備に加え、グレード「G」はクルーズコントロールが加わり、シート表皮がスエード調の上級ファブリック、ステアリングは本皮巻きとなり、質感の向上も図られているため、納得できる価格だ。

 他、インテリジェントパーキングアシスト、ソーラーベンチシステムがオプションで付くことや、ツーリングセレクションの内容はグレード「S」と同じであるが、グレード「G」には、「Gツーリングセレクション・レザーパッケージ」が用意されている。

「Gツーリングセレクション・レザーパッケージ」は、読んで字のごとく、シートは本皮。

 ツーリングセレクションの装備に加えて、クルーズコントロールはメーカーオプションのブレーキ制御付きのレーダークルーズコントロールが標準装備になり、ドライブでの快適性と安全性を飛躍的に向上させている。

 そして、特筆すべき点として、「Gツーリングセレクション・レザーパッケージ」は、インテリジェントパーキングアシストが付いたHDDカーナビゲーションが標準装備。プリウスの先進技術を体験するのは最高の一台といえよう。

まとめ

 よって、オススメの新型プリウスは、さまざまなオプションが選択できる、グレード「G」をベースに欲しいオプションを選ぶことがベターと言える。

 そして予算と相談しながら、オプションを整理すれば、納得のいくグレードとオプションを装備した、自分にピッタリなプリウスが買えることだろう。

 ちなみに10・15モードの燃費基準では、グレード「S」「G」は35.5 km/Lに対して、グレード「L」は38.0km/Lとカタログ上では最も燃費が良く燃費を重視するなら見逃せないポイントだ。

 ただし、これは簡潔な装備で車両重量が軽いためであり、やはり装備面も考えて選ぶなら「S」または「G」がオススメ。また、走りにもこだわりたければ、ツーリングパッケージを選ぶのが良いだろう。

 言うまでもないが、どのグレードを選んでもエコカー減税の対象となり、対象の税金が免税になる。

2009年5月21日木曜日

エコカーからレアアース 高効率回収技術で官民タッグ

 経済産業省は20日までに、ハイブリッド車(HV)などに搭載するモーター用磁石から希少資源「レアアース(希土類元素)」を高効率で回収する技術の開発を官民連携で進める方針を固めた。車両側の低価格化や消費者側の環境意識向上が相まってHVの需要が拡大傾向にある一方、世界で操業中のレアアース鉱山の大半を占める中国が輸出規制を継続している。このため、レアアースを日本国内でリサイクルするための技術の実用化が急務と判断した。

 レアアースは希少金属(レアメタル)の一種で、次世代自動車や省エネ家電などのハイテク産業に欠かせない希少資源となっている。なかでも、レアアースの消費量の増加が見込まれている分野がエコカー。レアアースを使うと磁力の強い小さな磁石を作ることができるため、HVや今夏から国内で市場開拓が本格化する電気自動車(EV)に積むモーターの小型化に役立つ「磁石原料」として、今後需要が一層高まることが確実視されており、既にホンダのハイブリット車「インサイト」に搭載されたモーター用磁石にレアアースが利用されている。

 経産省では、こうした分野で使用済みの希少資源を再活用するため、(1)モーターを分解してレアアース含有部品を分離(2)分離した部品からレアアースを抽出・捕集-する技術の開発で民間の取り組みを支援する。

 あわせて、レアアースを低コストで効率的に回収するノウハウも含めてシステムの実験と検証を行う。

 実施体制などは今後詰めるが、民間企業などを対象に6月にも公募を開始。実用性が高い回収技術の開発に必要な経費の一部を国が補助するほか、コストに見合った成果が得られるか不透明といった開発リスクのある革新的な開発テーマに対しては委託費を支給する。

 経産省では、レアアース以外にも廃プラスチックの高度分別技術などにも着目して総合的な「都市資源循環推進事業」を進める方針で、同事業全体で約40億円の予算を要求している。

 レアアースの埋蔵量で世界一の中国は、国策で輸出量を年々減少させてきており、「2013年には世界で不足状態に陥る」(経産省幹部)との予測も浮上している。

 こうしたなか、原料供給のほとんどを輸入に依存し、その9割以上が中国からの調達となっている日本の供給不安は増している。レアアース価格が乱高下するリスクから回避するためにも、対策が急がれている。

2009年5月20日水曜日

京セラ、トヨタ「新型プリウス」に太陽電池モジュールを供給

 京セラ株式会社(社長:久芳 徹夫、以下京セラ)は、トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)が5月18日に発売したハイブリッドカー“新型プリウス”のオプションシステムである「ソーラーベンチレーションシステム」に、太陽電池モジュールを供給していくこととなった。

 同システムは、日中の駐車時に、車体ルーフの太陽電池が発電する電力によってファンを駆動させて車内の換気を行い、気温の高い季節でも車内温度の上昇を抑えるというもの。

 京セラは、車載部品として充分に耐えうる太陽電池の品質を確保するために、耐熱・耐振動・耐衝撃などの項目で厳しい条件を設定した評価試験を実施し、今回の“新型プリウス”に求められる基準を満たした。この太陽電池モジュールの製造に際しては、専用ラインを設けて専属の生産技術担当者を配置し、徹底した管理体制の下で製造を行っている。

 京セラは、世界的に評価されている代表的なエコカーであるプリウスに当社製の太陽電池を供給することで、同車オーナーに、太陽電池の新たな機能をご提供できるものと考えているようだ。

2009年5月19日火曜日

トヨタ、新プリウス発売 エコカー商戦激化、インサイトと「対決」

 トヨタ自動車は18日、ハイブリッド車(HV)「プリウス」を約6年ぶりに全面改良し発売した。燃費をガソリン1リットルあたり38キロと世界最高水準にする一方、最低価格は205万円と30万円近く引き下げた。すでに8万台の予約受注を獲得。新車販売復調の起爆剤にする考えだ。HVでは、ホンダが200万円を切る「インサイト」で攻勢中で、次世代エコカー覇権をめぐる“2強対決”の行方が注目される。

 「多くのお客様が『買いたい』と思う値段で提供できた」。豊田章男次期社長は発表会で強調。97年の初代プリウス発売以来、HV市場を開拓してきたトヨタが、今回の3代目プリウスでエコカー本格普及をけん引する意気込みを示した。

 走行時の電気モーターの活用を広げ、燃費を大幅に向上させるとともに、排気量を1・8リットルに増やした。そのうえで最低価格を205万円とし、仕様も勘案すればインサイト(排気量1・3リットル、189万円)より割安感が出るように演出した。4系列の販売店で扱うオールトヨタで売り込みを図る。

 燃費などを小出しに発表する異例の戦略や、4月からのエコカー減税も追い風に、月間販売目標1万台に対し予約受注は8万台。「納車まで最速4カ月待ち」(幹部)の人気ぶりだ。北米、欧州など80カ国で順次発売し、09年に世界で30万~40万台の販売を計画。「HV=プリウス」とのイメージを改めて植え付けることを狙う。

 さらに、4月新車販売ランキング(軽自動車除く)でHV初の首位を獲得した「インサイト」の勢いをそぐため、従来型プリウスの価格をインサイトと同じ189万円に引き下げる。対するホンダは「プリウスの最量販車種は220万円以上のモデル。顧客層は重ならない」と冷静を装うが、動向次第では対抗策を迫られそうだ。民間シンクタンクの富士経済は「2強対決を機にHV市場が大きく育ち、20年には80万台規模に育つ可能性もある」と見ている。

 ◇薄利多売で収益圧迫も

 「自動車不況脱出の足がかりに」と“プリウスフィーバー”に期待を高めるトヨタだが、不安もある。新車市場全体が拡大しない中では、「カローラや他の車種はどうなるのか」(東京都内のディーラー)と、プリウスが他の車種の需要を食ってしまう恐れがあるためだ。また、インサイト対抗策として「薄利多売」に出たことで「当面は売れれば売れるほど、トヨタ本体やディーラーの収益が圧迫されるジレンマ」も抱える。

 トヨタは当初、新型プリウスの最低価格を240万円程度にする予定だったが、「利幅を少なくしても台数を稼ぐべきだ」(トヨタグループ幹部)と実質2割もの値下げを決めた。「基幹部品の製造原価を従来より3割下げたので採算は取れる」とするが、最先端エコカーを格安にした今回の「価格破壊」はトヨタの新車価格戦略全体に影響しそうだ。

 また、新型プリウスは、販売店の系列ごとに車種を分けて共存共栄を図る戦略を崩し、全トヨタブランド系列店で販売する。“共食い”を警戒する声も出ており、一部販売店では既に下取り価格を上げたりする実質値下げが始まっている。

 ◇車文化育てたい--次期社長、章男氏

 「車は単なる移動手段ではない。自動車文化を育てていきたい」。6月の社長就任を前に、豊田章男副社長は18日の新型プリウスの発表会で、車への熱い思いを披露した。

 トヨタは不況の直撃を受け、09年3月期に71年ぶりの営業赤字(4610億円)、10年3月期も8500億円の営業赤字になる見込みだ。それだけに、就任直後から苦境脱出を課せられる豊田氏が、新型プリウスに寄せる期待は強い。社内で当初、「性能が良くなるのだから」と従来型プリウスより価格を高くすることが検討されていたのを、逆に30万円近くも引き下げさせたのは豊田氏の指示だという。

あいおい損保、新型プリウスの車両保険を15%割引

 あいおい損害保険は18日、トヨタ自動車が同日発売した「新型プリウス」向け車両保険の保険料を15%割り引くと発表した。35歳以上でゴールド免許の人の場合で、保険料は実質3600円程度安くなるという。インターネットなどで自動車保険を直接販売する損保会社の保険料に近い水準にし、エコカーの普及を後押しする。

 同社は壊れにくく、事故時の修理費用が少なくて済むと認めた自動車を対象に、車両保険料を通常よりも安く設定している。壊れにくい車が普及すれば、修理部品も減らせて資源の節約になり、環境対策につながるとしている。

 大手損保の自動車保険料は直販専業損保と比べて一般的に2割程度高いとされる。今回の割引で直販損保との価格差が縮まるため、あいおい損保はエコカーを購入する節約志向の顧客に対し、価格面でも訴求していく考えだ。

2009年5月18日月曜日

エコカーワールド2009を横浜赤レンガ倉庫広場で6月6日開催へ

 環境省、独立行政法人環境再生保全機構及び横浜市は、平成21年6月7・8日の両日、「横浜みなとみらい21 横浜赤レンガ倉庫広場」などで「エコカーワールド2009」を開催する。

 会場では低公害車の展示(約80台)や説明及び試乗会(約10台)のほか、自分自身のエコドライブ度がわかるエコドライブシミュレーターの体験、エコドライブの効果を体験できる装置を装着した車両の試乗や展示、次世代自動車ミニシンポジウムの開催、エコドライブの普及啓発などが行われる予定。

 このイベントは、昭和61年度から毎年6月の環境月間の期間中に開催されていて今回で24回目。横浜市では6回目の開催。

三洋電機、ハイブリッドカー用リチウムイオン電池の生産拠点を建設

 三洋電機は18日、ハイブリッドカー(HEV)用電池システムの開発拠点がある兵庫県加西市の加西事業所の敷地内に、HEV用リチウムイオン電池の新工場を建設することを発表した。月産100万セル体制で生産を開始し、需要に応じて生産規模を拡大していく。

 三洋電機は、電気自動車などの環境対応車(エコカー)向け充電式電池の開発と事業展開を強化しており、既に、ハイブリッドカーの充電式電池の一種であるニッケル水素電池を、フォードやホンダに供給。また、フォルクスワーゲングループと、次世代ニッケル水素電池システム、リチウムイオン電池システムの共同開発を進めている。

トヨタ 3代目プリウスを発売



 燃費のよい車を対象にした減税措置で、いわゆるエコカーの販売が好調ななか、トヨタ自動車は18日、ガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車の新型モデルを発売した。トヨタ自動車が発売したのは、ハイブリッド車「プリウス」の3代目となるモデル。

 燃費はガソリン1リットル当たり38キロと、これまでのモデルよりおよそ7%改善した一方、価格は205万円からと30万円近く安く設定し、発売前に8万台を受注したという。豊田章男副社長は「トヨタは初代プリウスの発売から12年にわたってハイブリッドの技術をひたすら磨き、着実に進化させてきた。新型プリウスによって環境対応が求められる新たな車社会作りにさらに一歩踏み出したい」と述べた。国内の新車販売は、依然として記録的な落ち込みが続いているが、燃費のよいいわゆるエコカーを対象にした減税措置で、先月はホンダのハイブリッド車が軽自動車を除いた乗用車の中で販売台数1位となった。ことし7月には三菱自動車工業と富士重工業がモーターだけで動く電気自動車を発売するなど、各社ともいわゆるエコカーに力を入れており、販売競争が一段と激しくなりそうだ。

2009年5月15日金曜日

省エネ家電にエコポイント



エアコン、冷蔵庫、地デジ対応TVの約2000機種
きょう購入分から開始


商品券などと交換可能に
新経済対策で公明が推進

 電器屋や量販店で省エネ家電を買うと、他の商品やサービスに使える「エコポイント」をもらえる新制度が、きょう15日の購入分からスタートする。公明党が推進し、今年度(2009年度)補正予算案に盛り込まれた新経済対策の柱の一つ。「エコポイント対象商品」のステッカーが付いた省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫、地上デジタル対応テレビの合計約2000機種が対象となる。

 エコポイント取得・交換の具体的な方法と開始時期、交換できる商品・サービスの詳細は現在検討中。政府は「補正予算成立が前提のため、決まり次第公表する」としており、制度の詳細が6月中に決定し、取得・交換の開始は7月以降になる見通し。

 エコポイントは、1ポイント(点)につき1円分で、対象商品の大きさや能力に応じて点数が決まっている。エアコンは冷房能力ごとに9000~6000点、冷蔵庫は容積ごとに1万~3000点、地デジ対応テレビは画面サイズごとに3万6000~7000点が付与される。さらに買い替えの場合、リサイクル料金に相当するエコポイントが加算。エアコンとテレビは各3000点、冷蔵庫が5000点が加わる。

 エコポイントの取得と、他の商品・サービスとの交換は、政府が業務委託する「エコポイント事務局」への申請を通じて実施の予定。エコポイントの取得・交換には、購入日と購入店、購入製品、購入者名が分かる「領収書」や「保証書」、買い替えの場合は「家電リサイクル券の排出者控え」が必要で、政府は確実な受領・保管を呼び掛けている。

 点数に応じて交換できる商品・サービスは、「できるだけ幅広い商品に使えるようにする」とし、(1)省エネ・環境配慮に優れた製品(2)鉄道会社のICカードなどを含む、全国で使える商品券やプリぺイドカード(3)地域振興に資するもの――を選定中。

 また、交換したい商品・サービスをインターネットやカタログのリストから選ぶ方法が検討されており、品目の詳細は「エコポイント事務局」内に置く第三者委員会で決めることにしている。エコポイントの取得期間は来年(2010年)3月末まで。2012年3月末まで商品・サービスに交換できる。

 政府は、エコポイント制度で省エネ家電が普及することにより、10年間で約4000万トンの二酸化炭素(CO2)削減効果や、買い替えなどによる約4兆円の経済効果、地デジ対応テレビへの切り替え加速を見込んでいる。

 また、民間調査会社が4月中旬に実施したアンケートによると、エコポイントを知っている人のうち、「エコポイントがあれば家電を買い替える」と答えた人が66.9%と約3分の2に達し、同制度が消費者の購買意欲を刺激していることがうかがえる。

 公明党は、新経済対策の中で省エネ家電の普及を「エコカー」「太陽光発電」とともに“エコ3本柱”の一つに位置づけ、エコポイント制度創設を強力に推進。制度開始まで買い控えが懸念されたため、政府に早期実施も求め、15日購入分からのスタートとなった。

新型プリウス、受注8万台突破へ

 トヨタ自動車が18日に発売するハイブリッド車「プリウス」の新型車の受注台数が現時点で7万5000台に達し、17日までに8万台を突破する見通しとなった。新車の発売前受注では例のない多さで、燃費など性能の高さと値ごろ感が受けているようだ。
 プリウスの販売店は従来「トヨタ」「トヨペット」の2系列だったが、新型車からは「カローラ」「ネッツ」を含めた全系列に広がる。最も安い車種で205万円と、現行プリウスよりも大幅に値下げする。

2009年5月14日木曜日

トヨタ:減税対象増へ、既存車の燃費改良 年内発売へ

 トヨタ自動車は4月に始まったエコカー(環境対応車)減税の対象車を増やすため、既存車の燃費性能向上のための部分改良を進める。年内に、全面改良して4月に発売したばかりの小型ミニバン「ウィッシュ」の四輪駆動を改良して発売する。ハイブリッド車(HV)のない日産自動車に続いて、HVで先行するトヨタまで異例の「改良直後の改良」に踏み切ることで、エコカーをめぐる販売競争はさらに激化しそうだ。

 エコカー減税は、排ガス量や燃費性能に応じて自動車取得税・重量税を50~100%減免する制度で、期間は約3年間。トヨタは全約50車種のうち28車種が対象となっている。

 新型ウィッシュの場合、排気量1・8~2リットルの二輪駆動は50%減税され、購入者にとって実質、6万~8万円の負担減になる。しかし、四駆は基準を満たさず、適用対象外。ウィッシュをはじめ多くの車種が「社内の計画販売台数を下回っている」(幹部)こともあり、燃費向上のため、前倒しで改良することにした。

 同様に減税対象外となっているワゴン「マークXジオ」の四駆なども改良する方針。

 減税に加え、今後はエコカー購入費の助成制度も始まる見通しで、深刻な販売不振に悩む自動車各社は少しでも追い風にしようと躍起になっている。

パーク24、エコカー月決め駐車料金を半額割引も

 駐車場最大手のパーク24はハイブリッド車や電気自動車などエコカーの月決め駐車料金を割り引き、最大で半額にするサービスを始めた。東京・中央の銀座エリアにある4カ所の駐車場が対象で、利用状況を見てほかの拠点にも広げる。4月に始まった「エコカー減税」の効果でハイブリッド車などを購入する企業が増えると判断し、駐車需要の取り込みを進める。

 対象の駐車場は「タイムズマロニエゲート」、「タイムズ銀座7丁目タワー」、「タイムズ明治製菓ビル」、「タイムズストラータ銀座」で、いずれも月決め・時間貸し併用の拠点。それぞれエコカーに限って月決め料金を引き下げ、一律3万円にする。

2009年5月13日水曜日

メルセデスベンツ、エコカー購入で最大45万円のクーポン発行



 メルセデスベンツ日本は、メルセデスベンツのクリーンディーゼル乗用車などを新車で購入した顧客を対象に「エコカー購入支援クーポン」を提供するキャンペーンを実施する。

 キャンペーンは、クリーンディーゼルエンジンを搭載した『E320CDIセダン』、スタート/ストップ機能(アイドリングストップ機能)を搭載したスマート『フォーツーmhd(マイクロ・ハイブリッド・ドライブ)』全車種、『Cクラス』全車種を対象に新車を購入の際、自動車重量税と自動車取得税相当分の額面のクーポンを発行するというもの。
 
 メルセデスベンツ車は、4月からスタートしたエコカー減税の対象外なため、独自の販売促進策として実施する。
 
 E320CDIは45万円分、スマートフォーツーmhdが10万円分、Cクラスが25万円分の購入支援クーポンを提供、実質値引きする。

タタ自動車、エコカー生産を見送りか

 インドの自動車メーカー「タタ自動車」が、2011年に生産開始を予定していた「エコ・カー」について、現在見直しを検討中であることを明らかにした。

 その理由について、タタ自動車・タイランドは、タイ政府が要求している最低生産台数「5年で10万台」が現在の不況下では多すぎるとしている。
 
 マーケティング部のソムポン代表は「需要低迷が続いた場合、5年で10万台の生産ではコンパクトカー市場がだぶつく。他社も同じ意見だろう」としている。
 
 タタ自動車は他の自動車メーカーやタイ工業連盟と協力して、工業省に規制の緩和を求めているところだ。
 
 先にチャーンチャイ工業相が「インド製エコ・カー輸入の話がある。関税込みで1台10万バーツ程度」と発言したことに対して、タタ自動車・タイランドでは「何かの間違いだろう。インド仕様をタイで販売することは無理」とコメントしている。

フォルクスワーゲンのエコカー技術



DSGから始まったVWのエコカー戦略

 華やかさには少々かける「真面目なデザイン」ながら、いかにも堅牢そのものに作り上げられたボディに、さすがはアウトバーン育ちと納得をせざるを得ない比類なき高速安定感を実現させるシャシーの持ち主--ひと昔前までのVW車とは、どことなくそんなイメージが強いものだった。言い方を換えればそうしたVW車なりの魅力の要因に、エンジンやトランスミッションから成るパワーパックの貢献度はさして大きいとは受け取れなかったように思う。

 無論、そこに搭載をされた各ユニットが、「必要にして十二分」な性能を発揮してくれるものであったのは間違いない。が、それでも前述のようなひと際輝く魅力のポイントに比べれば、エンジンやトランスミッションなどはどちらかといえば“黒子”的な印象に近かったのがVW車の特徴でもあったのである。しかし、いつしかそんな過去からは脱却していたのだ。VWは、世界のカーメーカーの中にあってもBMWと肩を並べるほどの、パワーパックこそを大きな売り物というブランドに変貌を遂げていたのである。

 VWの地球環境対応戦略で凄いところは、単に将来に向かってのロードマップを提示するだけでなく、「出来る事からどんどん提供」というスタンスが見てとれることでもある。

 市場導入のタイミングからすれば、まず改革の手がつけられたのはトランスミッションだった。2003年にそもそもポルシェ社が1980年代のレーシング・マシン用に開発を行ったものと同種のデュアル・クラッチ式2ペダル・トランスミッションを、“DSG”という商標と共にゴルフ『R32』へ初搭載。このグレードはシリーズで唯一の6気筒エンジンを搭載し、200psを遥かに超える大パワーを4輪全てへと分配する4WDシステムも採用という“特別なゴルフ”であっただけに、当時はそんなDSGという「新しくて複雑」なトランスミッションが、高価でスポーティなモデルへの限定搭載に留まるものと解釈した人は少なくなかった。

 しかし、その後の展開を見ればVWがこのトランスミッションを、燃費を向上/CO2削減の切り札の技術のひとつとしても捉えていたことが明らかになる。そんな動きは最新のVWラインナップへと目をやり、周辺メーカーの多くも同種のトランスミッションを採用し、急速に伸ばしているのを見れば明らかだろう。

 構造的にはMTがベースゆえ、同じ2ペダル式でもトルコンATやCVTなどよりエンジントルクの伝達効率に優れている上、変速時のトルクフローの断絶がゼロとなるために加速タイムはMTを凌ぐ。しかもシフトレバーによる変速操作は不要のために、Hパターン式シフトゲートを用いるMTでは事実上不可能な、7速以上のギア数設定も可能となる。その分ローギアからの変速レンジを大きく取れ、トップギアを“高速クリージング専用レシオ”へと振り分けるといった大胆なチューニングが可能となるメリットもあるわけだ。

ダウンサイジングコンセプトの先駆者は“夢の燃焼”に取り組む

 そんな理想像へと近付いたトランスミッションに組み合わせるエンジンそのものの改革も急進的。その目玉は、直噴化による効率アップと共に排気量減少による基本的な燃費性能を大幅向上させ、一方で強力な加速が必要となるシーンで不足する出力分は過給機の搭載で補うという“ダウンサイズ・コンセプト”に基づいた、『TSI』と呼称をされる一連のガソリン・エンジンの投入。当初リリースのユニットでは過給システムにメカニカル・スーパーチャージャーとターボチャージャーが併用されたため、ベーシックカー向けのパワーユニットとしてはそのシステムの複雑さとコストの上昇を懸念する声もあったもの。

 が、その後ターボチャージャーのみを備える“ベーシック・ユニット”も新たにリリース。最も量販規模の大きなスチールブロック製エンジンをベースに用い、直噴システムも高価なピエゾ・インジェクターを用いたスプレーガイド方式による希薄燃焼ではなく、敢えて安価なソレノイド・インジェクターを用いたウォールガイド方式の理論混合比燃焼に留めて排ガス浄化に対するハードルも下げるなど、コストダウンに配慮をした“大衆エンジン”としての設計が見られるのも特徴だ。実際、同コンセプトの1.2リッター・エンジンを次期ポロに搭載する事を表明するなど、VWのこの戦略には全くブレは見られない。

 とはいえ、このメーカーがそんな現状に満足をしているわけではないことは、すでに「内燃機関の夢の燃焼」とも称されるHCCI(予混合圧縮着火)試作エンジン搭載車の“報道試乗会”までを開催した経緯などからも明らかだ。

 ガソリン・エンジン同様にあらかじめシリンダー内に混合気を充填させ、そこにディーゼル・エンジンのように自己着火による燃焼を発生させるHCCIエンジンは、燃焼温度が低いため排気ガス中の有害物質が削減されると同時に、圧縮比を高めた希薄燃焼が実現可能となって燃費向上とCO2削減を図れるという、まさに「ガソリンとディーゼルの良いとこどり」を行ったようなユニット。現時点では、そうしたHCCI運転を行える領域が極めて限られ、その制御も難しいといった課題が残されているものの、そうしたハードルを乗り越えるべく専用開発した燃料を用いるなど意欲的なトライを行っているのもまたその“本気度”を推し量るための重要なポイントだ。ちなみに、“サンフューエル”と呼ばれるその専用燃料は、ジェットエンジン用燃料であるケロシンに近く「気化しやすく、自己着火はしにくい」もの。気化のしやすさから燃え残り成分が減らせる事でPM(粒子状物質)を削減出来、燃料噴射の瞬間の着火をし難くする事で燃え始めのタイミングを制御しやすくする事を狙った、藁や木屑などから生成をされるバイオマス燃料だ。

ポルシェのエコカー技術



スポーツカーメーカーのポルシェが考えるエコカーとは?


 世界的なヒット作となったカイエンに、先日開催の上海モーターショーで正式に発表が行われたパナメーラと、今でこそSUVや4ドア・クーペもそのラインナップに加えるポルシェ社。しかし、そんな“業種拡大”への足掛かりを築いたのが、911やボクスター/ケイマンといったスポーツカーの成功であるということは言うまでもないだろう。かくして、生産台数も右肩上がりの成長を続けてきたポルシェ社だが、それでも年間生産台数は10万台レベル。そこに今後生産が始まるパナメーラの台数を上乗せしても、月間生産台数は1万台に届くか届かないか。すなわち、いかに規模が拡大されたとは言ってもそれでも他の“量産メーカー”に対しては、比べるべくもない小規模なスポーツカー/プレミアム・メーカーというのが、まずはこのブランドの大きな特徴だ。

 しかし、一見『環境』というフレーズとはおよそ遠くに位置しているようにも思えるそんなポルシェ社は、実はことさらに燃費改善/CO2削減という課題に積極果敢に取り組むメーカーのひとつでもある。そもそもが“研究・開発者集団”という同社の血統がそうさせているのかも知れないし、前述のような規模の小ささが、いざ環境対策を実施するといったシーンでは有利に働いていることも考えられる。ランボルギーニのように、経営者自らが「そもそもこの種のモデルの市場占有率は低く、年間走行距離も一般的に非常に少ない。そうした中で環境対策を過度に推進すれば、それは自らのキャラクター崩壊に繋がる」と表明するスーパースポーツカー・メーカーの考え方も、そこには一理がありそう。だが、それとはまた180度異なった思想の下で自らのブランドの生き残りに掛けたポルシェのようなやり方も、もちろん大いに注目出来るものだろう。

 そんなポルシェがこれから発売するパナメーラも含め、すでに全モデルで対応済みのテクノロジーが直噴エンジンだ。ただし、同様にプレミアム性の高さを売り物とするBMWやメルセデスの直噴システムと異なるのは、こちらは希薄燃焼方式を採用してはいない事。希薄燃焼を行うと通常の触媒システムではNOx浄化を行うことが困難になるため、それに対応をした専用触媒が用いられる。が、その機能を保つためには成分中から硫黄分を取り除いた高質なガソリンが必要で市場によってはそれが手に入らないことから、BMWやメルセデスでは理論混合比燃焼を行うエンジンも並列に設定。一方で、生産規模からもそうした施策を採れないポルシェでは、希薄燃焼化の採用は見送っているというわけだ。

“ポルシェらしい”エコカーのかたち、ディーゼルとHV

 そんなポルシェが行うエンジン直噴化のもうひとつの特徴は、それが燃費向上/CO2削減というタイトルと共に、必ず出力アップも伴っている点にある。そもそもはスポーツカー・メーカーであるポルシェ社にとって、あらゆるリファインの機会に走行性能の向上を謳うことは、生まれついてのDNAに組み込まれた命題でもあるのだろう。あるいはこの先、そうしたやり方には見直しが求められる時が待ち構えているのかも知れないが、現状ではこれも「ポルシェらしさ」として認めるべき事柄であるはずだ。

 そんな直噴新エンジンの誕生と時を同じくして市場投入されたのが、従来のMTに“クルージング用レシオ”を加えたカタチで変速レンジを大幅に拡大させた、デュアル・クラッチ方式の2ペダル・トランスミッション“PDK”。発売時期としてはVW/アウディなどに先を越されはしたものの、そもそもは1980年代の同社レーシング・マシン(962)用に開発をされ、実際に実戦投入をされて高い評価を得たのがこのアイテム。選ばれしレーシングドライバーが“速さ”こそを求めるレーシング・マシンに対し、不特定多数のドライバーが世界のあらゆる地域で様々なパターンの走りを行うのが一般の市販車。それゆえに、そこに必要とされる種々多様な制御をコンピューターが行えるようになった今の時代に、各社から一挙にリリースされ始めたのがこの種のトランスミッションだ。

 一方、これまでは採用することのなかった新たなパワーソースを積極的に取り込もうという姿勢を見せるのも、ポルシェの環境対応戦略の特徴。具体的には、すでにカイエンに設定されて欧州で発売済みのディーゼル・エンジン搭載車と、「2011年の発売」がオフィシャルに謳われているハイブリッド・システム搭載車がそれに相当する。

『カイエン・ディーゼル』に搭載されたV型6気筒のディーゼル・ユニットは、アウディ社から供給を受けるもの。カイエンの発売当初は、社長自らが「高回転域にかけてのパワーの伸び感に欠け、我々が狙うフィーリングとは異なるもの」とその搭載を否定していたディーゼル・エンジンだが、その後の“時代の要請”やVWを“子会社”化するという自らを取り巻く環境の変化により、グループ企業が備える各種の技術ソリューションを導入しやすくなったという現実も踏まえて新たな決意を抱いたという事か。

 ハイブリッド・システムに関しては2007年7月に、VW/アウディと共同開発中のアイテムとして3.6リッターV6エンジンと6速ATとの間に最高出力34kWというコンパクトなモーターを挟み、エンジンとモーターの間にクラッチを配したユニットをすでに技術発表済み。ただし、後にアウディは自ら手持ちのスーパーチャージャー付き3リッターV6エンジンを用い、モーター内蔵の8速ATと組み合わせた新ユニットを発表している。こちらは、制御ユニットはボッシュ製で前出トランスミッションはアイシン製、ニッケル水素電池は三洋電機製などとより現実的な内容を語っていることもあり、先に述べたグループ内リソースの活用を考えればまずはカイエン、後にパナメーラに採用と目される。ポルシェのシステムが、これと同様のアイテムとなることも予想が可能だ。

プラグインハイブリッド車---欲張りなエコカー



 トヨタ自動車が2010年に欲張りなエコカーを発売する。プラグインハイブリッド車だ。欲張りなのは、ハイブリッド車と電気自動車のいいとこ取りをしているからである。

 ハイブリッド車はモーターとエンジンを併用して走る。エンジンを常に効率の良い状態で動かせるために燃費が良い。それより燃費が良いのが電気自動車だ。家庭内などの電源で電池を充電して、モーターのみで走行する。ただ、電池の容量に限界があることから、1回の充電当たりの走行距離が限られるのが悩ましいところだ。

 プラグインハイブリッド車は、電気自動車と同じように充電して、一定距離をモーターのみで走るために燃費が良い。さらに、電気自動車より長い距離をドライブできる。電池が切れれば、エンジンのみで走行できるからだ。つまり、プラグインハイブリッド車はハイブリッド車より環境性能が高く、電気自動車より利便性が高い。

各社が「世界初」を競う

 開発をリードしているのはトヨタ自動車だ。2007年には世界で初めて試作車を公開し、日米欧で公道試験を始めた。

 まず充電時間は200ボルトで1〜1.5時間。電池だけで走行できる距離は、ハイブリッド車「プリウス」が2〜3キロメートルなのに対して、プラグインは13キロメートルまで距離を延ばした。プリウスより20%燃費が良い。

 ただ、今回はニッケル水素電池を使っており、それよりエネルギーを蓄えられるリチウムイオン電池などを使えば、電池だけの走行距離が延びて燃費は高まる。トヨタは2008年に電池研究部を立ち上げ、電池の開発を強化した。今後は、電池の性能が自動車の性能を左右すると言っても過言ではない。

 それを体現しているのが中国のBYDだ。同社は1995年に電池メーカーとしてスタート。携帯電話やパソコン向けにリチウムイオン電池を納めていた。その余勢を駆って2003年に自動車事業に参入。2008年12月にはプラグインハイブリッド車を発表し、2009年に世界で初めて発売する。実力は未知数だが、BYDの攻勢は電池の役割の大きさを示している。

 もちろん、ビッグ3も黙っていない。ゼネラル・モーターズは2010年にプラグインハイブリッド車を発売する予定だ。エネルギー容量を増やした画期的な電池が開発されれば、自動車の業界地図を一気に塗り替えるかもしれない。

電気自動車と競合

 プラグインハイブリッド車には課題もある。電気自動車に比べると環境性能が劣る点だ。エンジンを積んでいるため電気自動車より車重が重く、燃費が落ちる。もちろんエンジンを稼働させる際に排ガスが発生する。ハイブリッド車と比べると、大きな充電システムが必要になるため、コストがかかってしまう。

 普及のポイントは、電気自動車がどこまで進化するかだ。1回の充電による走行距離が500キロメートルまで延びれば、エンジンを積む必要性は薄れる。また、コンビニエンスストアに充電スタンドが常備するなど充電インフラが整えば、電気自動車の利便性は高まる。

 日本は自動車と電池、エレクトロニクスの技術力で世界をリードしている。様々なタイプの自動車が切磋琢磨しながら商品力を高めれば、プラグインハイブリッド車でも世界一の座を確保できそうだ。

2009年5月11日月曜日

エコカー時代、本格的な幕開け=ハイブリッド、初の販売首位

 4月の車名別新車販売ランキング(軽自動車を除く)で、ホンダの「インサイト」が、ハイブリッド車(HV)として初めてトップに立った。18日に発売されるトヨタ自動車のHV「プリウス」の新モデルも順調に受注を伸ばしている。さらに、7月には国内で初めて量産型の電気自動車が市場投入され、話題だけが先行しがちだった環境対応車(エコカー)も、本格的な普及期に入る。

 ホンダは、国内市場が冷え込む中でのインサイトの快挙を、「(HVは)燃費の節約という形で消費者にとって直接、経済的メリットのある環境対策。不況下での節約の意識と温暖化防止への取り組みという要素が絡み合った結果」(広報部)と分析する。

 一方、トヨタの渡辺捷昭社長が「救世主になる」と期待する新型プリウスも、受注はすでに6万台を超えたとみられ、「5月の販売ランキングで首位になる可能性もある」(トヨタ広報部)と好調な出だしを予想する。

2009年5月7日木曜日

メルセデス・ベンツ、日本で独自に値引き

 独メルセデス・ベンツ日本法人は8日から一部車種で独自の値引きを始める。Cクラスとスマートの全車種、Eクラスのディーゼル車のセダンが対象で、値引き額は10万〜45万円(車両価格の5%程度)。政府の「エコカー減税」が適用されないため、相当額を値引きする。

2009年5月5日火曜日

超低価格車「ナノ」に20万台の注文殺到、抽選で販売へ



 ニューデリー(CNN) インドの自動車大手タタ・モーターズは、世界一の低価格をうたった乗用車「ナノ」の受注台数が20万3000台を超えたと発表した。

 ナノの価格は最も安いモデルで約20万円。受注額は約250億ルピー(約500億円)に達しているという。注文が多すぎて処理し切れないため、まずは抽選で10万台を今年7月から来年末にかけて販売する一方で、生産能力の拡大を目指す。

 ナノは2008年1月にインドの自動車ショーで披露され、世界的な注目を浴びた。全長約3メートルで大人4人が乗車でき、最高速度は105キロ。エアコンやエアバッグ、パワーウィンドウは標準装備されておらず、バックミラーも片方しかないが、このクラスの乗用車の中では排気ガスの量が最も少ないとタタは説明している。

2009年5月4日月曜日

マツダのエコカー技術



マツダ独自の技術、水素ロータリーハイブリッド

 マツダのエコカー技術を象徴するのはプレマシーをベースとして開発された水素ロータリーハイブリッド車だ。これは一部の関係先にリース販売(という言い方もおかしいが)されているだけの試作実験車レベルのクルマながら、ほかのどのメーカーも作っていない先進的なクルマである。

 ハイブリッド車としてはシリーズ方式と呼ばれる方式を採用する。水素を燃料とするロータリーエンジン(RE)は発電のために使い、発電した電気を使ってモーターで走る仕組みだ。しかも水素がなくなった場合にはガソリンでREを回して走ることも可能なデュアルフューエルシステムを採用している。ハイブリッド車にすることで水素REに比べて2倍に近い200km程度の走行が可能になったが、まだまだ航続距離が短いためにガソリンとの併用も可能なシステムに仕上げたわけだ。

 そもそもマツダは水素REハイブリッドのベースとして、水素REの研究開発を進めてきた。マツダは世界で唯一ロータリーエンジンを実用化している自動車メーカーだが、この水素を燃料として使う研究を従来から進めていて、RX-8をベースにした水素RE車の公道走行を実現するなどしてきた。

 ほかの自動車メーカーのほとんどが水素を酸素と反応させて電気を取り出す燃料電池車の研究を進めているのに対し、マツダとBMWはエンジン内に水素を噴射して直接燃やす方式を研究している。燃料電池車には稀少金属を使う触媒をどうするのかなど、解決すべき課題が山ほどあるのに対し、水素を直接燃やす方式なら既存の内燃機関(エンジン)の特性を生かせるというメリットがある。マツダとBMWが水素を燃焼させる方式にこだわってきたのはそのためだ。

 さらにいえば、ピストンが往復運動をするBMWのオットーサイクルエンジンに比べ、ローターが回転するマツダのREは、エンジンの構造的に水素燃焼との相性がよい。だからこそマツダは水素REに力を入れてきた。

 ただ、水素はガソリンに比べると燃料としてのエネルギー密度が低い。クルマに積んだ水素で走れる距離がガソリン車に比べて短くなってしまうのが難点だった。それをカバーするために開発したのが水素REハイブリッドである。

 将来的には、石油が枯渇した後のエネルギー源として水素を使うことになるという大方の合意は成立しているが、水素からどのようにエネルギーを取り出すかについては、どの方式が良いかはまだまだ各社とも確定していない。マツダの研究がどのように実を結んでいくかは今後おおいに注目される。

新技術i-stopで量産ガソリン車全体の燃費向上を図る
 とはいえ、マツダにとっては多くの苦難が待ち構えていることが予想される。水素を燃やす方式を研究している自動車メーカーはほかにBMWしかない上、マツダのREはBMWのエンジンと方式が違うので研究開発での協力も行われていない。ほかの多くのメーカーが同じ方式の研究開発をしているなら、多数の技術者の英知を集めることで研究開発が進みやすいが、マツダは独自に水素REを研究しているだけに、すべての問題を単独で解決しなければならない。というか、どんな問題が発生するかさえ自社だけで考えなければならないのだ。

 水素REハイブリッドではなく、もう少し現実的な市販できるハイブリッド車や、あるいは電気自動車などの次世代自動車になると、マツダは一般ユーザーに販売できる形のものは何もラインナップしていない。燃料電池自動車についてはデミオとプレマシーで試作車を作ったことがあるが、2009年4月の段階では一般ユーザー向けには何も持っていない。

 ハイブリッド車や電気自動車を開発して特定のクルマだけで環境性能の向上を図るのではなく、すべてのクルマに適応できるような基本性能を向上させることで全体のレベルを底上げしていこうというのがマツダの基本的な考え方だ。限られた先進的なクルマを作るより、まだまだガソリン車全体の改良が必要との考えに立っている。

 その考えの中で2009年、年央に発売される新型アクセラに採用されるのがマツダi-stopと呼ぶアイドリングストップ機構だ。これは直噴エンジンと組み合わされる。直噴エンジン自体が燃費向上に貢献するものだが、その燃費をさらに10%以上向上させるためにマツダi-stopを採用する。

 アイドルストップ機構はすでにほかのメーカーの一部の車種に採用されているほか、今後は各社から次々に登場してくるはずだが、マツダのシステムは直噴エンジンの特徴を生かして、エンジンの再始動時にスターターモーターではなくエンジンの燃焼そのものを使う方式を採用する。これによって素早い再始動を実現したのが特徴だ。これにもすでに試乗しているが、比較的違和感の少ないシステムに仕上がっていた。

 マツダ車のうち2009年4月からの環境対応車普及促進税制に適合する乗用車は7車種あるが、その多くは自動車取得税と自動車重量税が50%低減されるもの。75%低減されるものは7車種のうちでも6グレードに限られている。マツダi-stopの導入によって適応車種の早期増加が望まれる。

2009年5月3日日曜日

トヨタ・ホンダのハイブリッド車、韓国上陸



 トヨタとホンダが最新のハイブリッドカーを前面に出し、危機脱出を目指している。既に日本市場で大きな成功を収め、北米市場にも来月から最新のハイブリッドカーを投入、再び跳躍を狙う計画だ。

 A&Dコンサルタントのユン・ジェソク会長は、「日本の自動車業界は、現在は円高の影響で深刻な販売不振に直面しているが、為替レートが少し良くなりさえすれば、即座に競争力がバネのように跳ね上がる」との見込みを示した。経済危機に直面する中、生産部門を大幅にスリム化した上に、エコカーの競争力が圧倒的だからだ。

◆トヨタとホンダ、価格を抑えたハイブリッドカーで世界市場に勝負

 トヨタとホンダは「ハイブリッドカーは一般車両より高い」という認識を完全に覆している。ホンダが今年2月に日本国内で発売したNewインサイトは189万円。ウォンに直すと2600万ウォン(100円=1390ウォン基準)だが、もし100円=900ウォンまで円が下がると、1700万ウォンにすぎなくなる。準中型車の現代アバンテを購入する程度の負担額にしかならない。公認燃費は、韓国基準に合わせるとリッター当たり23-24キロの水準で、一般の準中型車のほぼ2倍に達する。

 ホンダがハイブリッドカーの低価格化策を打ち出したのに合わせ、トヨタも応戦に出た。トヨタは5月中旬から販売する第3世代新型プリウスの価格を、205万円まで大幅に引き下げると発表した。新型は旧型に比べ性能面で大幅に強化され、内装・外観のデザインなどがはるかに良くなっていることを考慮すると、破格の値段だ。

 低価格策のお陰で、日本ではハイブリッドカーが大いに売れている。今年2月から販売を開始したNewインサイトは既に1万8000台が売れ、供給が需要に追い付けずにいる。新型プリウスは契約開始から1カ月で契約数が4万を超え、一部の販売店では契約全体に占めるプリウスの割合が80%に達するほど、爆発的な人気となっている。

 これによりトヨタは、今年日本で生産する新型プリウスの台数を50万台に増やした。これは、2008年の日本国内におけるプリウス生産台数30万台より20万台も多い。またトヨタは、今年夏に米国で発売する新型プリウスの価格を2万1000ドル(現在のレートで約203万円、以下同)に設定、旧型より1000ドル(約9万6000円)も下げることとした。旧型より燃費が大幅に向上したにもかかわらず、既存モデルよりむしろ安くするのは極めて異例のことだ。一方ホンダは、5月から米国で販売するNewインサイトの価格を2万ドル(約193万円)とする予定だ。



◆トヨタ&ホンダ、韓国市場もエコカーで攻略へ

 トヨタは今年10月、「ハイブリッドカー」と「低価格」を武器に韓国市場に上陸する。トヨタは韓国で新型プリウス、カムリ・ハイブリッド、RAV4などを売り出す予定だ。トヨタ本社の関係者によると、同社は韓国市場での販売台数を月当たり少なくとも2000台と見積もっており、このうち50%以上は新型プリウスとカムリ・ハイブリッドが占めると見通している。

 この関係者は、「韓国には低価格のプリウス基本モデルを持ち込む予定。韓国政府のハイブリッドカー支援額を考慮すると、2000万ウォン(約145万円)台後半でも購入可能だ」と語った。

 トヨタ側は、韓国市場では一般消費者のハイブリッドカーに対する認識がまだ高くないとみている。そこで今年7月以降、現代・起亜自がハイブリッドカーを発売し、関連市場が形成されてから、新型プリウスで攻略するという計画だ。トヨタ本社の関係者は、「戦略的判断により、韓国市場の販売価格を大幅に引き下げることもできる」と語った。

◆まだハイブリッド技術基盤が弱い現代自、日本に内需市場を明け渡す可能性も 

 韓国の自動車メーカーの場合、現代自がアバンテLPG(液化石油ガス)ハイブリッドを7月に、起亜自がフォルテLPGハイブリッドを9月に発売する予定だ。公認燃費は1リットル当たり18キロ程度となることが分かった。しかし、既に15年程度の歴史を持っている上に今年100万台以上のハイブリッドカーを生産する日本企業に比べると、技術と価格競争力の双方で劣っている。現代自・起亜自は、日本のガソリン・ハイブリッドカーと直ちに燃費争いをすることは不可能なため、ガソリンより安いLPGを燃料に使って経済性を高めた。

 しかし現代自・起亜自のハイブリッドカー生産能力は、2010年まで3万台と定められている。現在の状態では、作ればそれだけ赤字になるからだ。従って、韓国市場でハイブリッドカーの需要が爆発的に増えたとしても、現代自・起亜自はその需要を満たせるだけの車を作り出すこと自体が不可能だ。結局、残りの市場を日本に明け渡すというありさまになり得る。政府の方針によると、7月からハイブリッドカーを購入した顧客は、地下鉄債券買い入れ金、個別消費税および取得・登録税などの減免サービスが受けられ、その額は最大で310万ウォン(約22万円)に達する見込みだ。



2009年5月2日土曜日

プジョーとシトロエン…ハイブリッド生産を正式発表


 PSA(プジョーシトロエン)は4月30日、プジョー『3008』とシトロエン『DS5』のそれぞれディーゼルハイブリッド車を、2011年から生産すると正式発表した。

 プジョー3008は『308』がベースのクロスオーバー。シトロエンDS5は、シトロエンの新高級ブランド、「DSレンジ」のミドルクラス車だ。すでに3008は発表済みだが、DS5の詳細は現時点では明らかにされていない。

 両車に投入されるディーゼルハイブリッドは、2008年10月のパリモーターショーで公開した「ハイブリッド4」システムを導入する。フロントにHDiディーゼルエンジンを置き、リアアクスルにモーターを内蔵。エンジンが前輪、モーターが後輪を駆動する4WD方式だ。

 アイドリングストップ機構などを組み込むことにより、CO2排出量は通常のディーゼルと比較して、約35%削減。PSAによると、このハイブリッド4は汎用性が高く、ボディタイプや組み合わせるエンジンを問わず、搭載できるメリットがあるという。

 ハイブリッド4はPSAのフランス・ミュルーズ、ソショーの両工場で2011年から生産。すでにソショー工場からは、数台の3008ハイブリッドプロトタイプがラインオフし、テストを繰り返している。

 シトロエンDS5については、いっさい内容が公表されていないだけに、ハイブリッド設定とともに気になるニュースといえる。

新車販売台数先月28%減、過去最低「エコ減免」効果薄く

 日本自動車販売協会連合会(自販連)が1日発表した4月の国内新車販売台数(軽自動車を除く)は前年同月比28・6%減の16万6365台と、4月単月としては統計を始めた1968年以降、41年ぶりに20万台を割り、過去最低を記録した。軽自動車を含めた4月新車販売合計も23・0%減の28万4035台と9カ月連続の前年実績割れとなった。

 政府は4月からハイブリッド車などエコカー(環境対応車)購入時の取得税と重量税を減免する措置を導入。業界では販売復調への期待もあったが、所得の落ち込みに伴う消費低迷を穴埋めするほどの効果はなく、国内自動車不況の根深さをかえって印象付けた。

 メーカー別では、トヨタ自動車が32・5%減、日産自動車が38・7%減などと軒並み大幅減。そんな中、200万円を切る低価格ハイブリッド車「インサイト」の売れ行きが好調なホンダは4・0%増と健闘し、明暗を分けた。

 政府は4月に決定した追加経済対策で、エコカーへの買い替えを促進する補助金制度導入も決定。現在国会に上程中の09年度補正予算案が成立すれば減税に補助金制度も加わり、業界では刺激効果を期待する声が高まっている。