ホンダの伊東孝紳社長(55)は13日、就任後初の記者会見で、スポーツタイプ小型車「CR-Z」と、主力の小型車「フィット」のハイブリッド車(HV)を2010年に国内で販売することを明らかにした。今後、HVの開発・販売に最優先で取り組み、海外での販売も検討する。
同社は現在、「インサイト」「シビック」のHVモデルを国内のみで販売。エコカー減税などの効果で、インサイトは今年1~6月の販売台数が3万6457台と好調で、6月中旬から鈴鹿製作所の製造ラインを1本から2本に増やした。
これらに搭載されたハイブリッド技術を生かして、フィットについては「2010年代の前半」としていた発売時期を前倒しした。CR-Zを10年2月、フィットを10年中に発売する予定。中・大型車への早期の搭載も検討していく。
伊東社長は「HVのシステムはシンプルで経済効率性がよい。今後20年かけて他のメーカーもみんなHVになるのではないか」と述べた。その根拠として、米国で新車の燃費を企業単位で規制する「企業平均燃費(CAFE)規制」の強化を挙げ、「(自動車の)サイズを変えないと達成できない厳しいものだ」と述べ、ホンダもHVを優先して開発を進める考えを示した。
電気自動車については電池の軽量化、コスト高を課題に挙げ、「今の車のような自由度はない」と指摘。
また、今年下期の動向に関しては「米国を中心とした景気の立ち直りが意外と厳しく(景気後退局面が)長く続く懸念がある」と分析し、為替が円高で推移していることもあり、輸出に悪影響を与えかねないとの認識を示した。