三井物産は8日、カナダリチウムコープ社から、日本、中国、韓国でリチウムイオン電池の主原料であるリチウムの独占的マーケティング権を取得したと発表した。契約により、三井物産はリチウムの安定的な調達が可能となる。まずは、自動車メーカーや家電メーカー向けにサンプル出荷し市場調査を推進する。
カナダリチウムコープ社はカナダ・ケベック州においてリチウム鉱山を再開発中で2013年から商業生産に入り、リチウム純分ベースで年間約2000t(炭酸リチウムベースでは1万t)の生産を予定している。
三井物産は、リチウムイオン電池の正極原料でもあるニッケルとコバルトについて複数の資源・事業投資を既に実行しており、これに続いて、リチウムも安定供給体制を構築する。
リチウムを主材料とするリチウムイオン電池は、環境効果が高く、エネルギー密度が高いため、小型・軽量化が可能な二次電池としてノートパソコンや携帯電話など幅広く用いられている一方、ハイブリッドカーや電気自動車などの環境対応車にも搭載されつつある。しかし、リチウムは生産量、埋蔵量ともチリ、アルゼンチンなど南米が世界の50%以上を占めており、供給先の多様化が課題。
今回、三井物産がマーケティング権を取得したカナダリチウムコープ社は、カナダで生産するため供給の多様化・安定化に結びつけられることが特徴。
世界中で環境問題に取り組む機運が高まっており、特にハイブリット車を筆頭とした環境対応車の競争は加速しており、2020年には世界新車生産のうち、1200万台は環境対応車が占めるとの予測もある。三井物産は、これら環境対応車が必要とする二次電池やモーターに使用されるレアメタルの需要の伸びに備え、安定供給体制を強化し、エコカー時代の到来をにらんだ新たなビジネスを展開する方針だ。