2009年7月30日木曜日

日産 EV…2012年には10万台

 日産自動車は27日、2010年度に発売予定の新型EV(電気自動車)の試作車をマスコミ向けに公開、試乗会を開催した。その外観は市販モデルのコンパクトカー『ティーダ』だが、シャーシやパワートレインはすべて8月2日に公開されるという新型EVの「EV専用プラットフォーム」が使われている。

 試乗会が行われた日産の追浜工場テストコース「GRANDRIVE」では、新型EVのシャーシのカットモデルが展示されていたが、そのサイズはかなり大きく、完全に3ナンバーサイズ。グローバル市場を強く意識した仕様であることをうかがわせるものだった。

 新型EVの駆動方式は電気モーター前置きのFWD(前輪駆動)。モーターは一般的な交流同期モーターで、スペックは最高出力80kW(108馬力)、最大トルク280Nm(28.5kgm)の性能を発揮。最高速度140km/h以上の動力性能を確保する。

 バッテリーは日産とNECグループの合弁会社、オートモーティブエナジーサプライ社製のラミネート型マンガン酸リチウムイオン電池(LIB)で、総電圧は345V、充電可能な電力量は24kWh、普通のクルマではエンジン最大出力に相当するバッテリー出力は90kW以上。航続距離はアメリカの市街地・高速混合モードであるLA4走行時で160km以上とされている。

 日産は2012年に、このEVを北米で年10万台生産する計画を発表している。オバマ政権が推進している再生可能エネルギー推進政策「グリーンニューディール政策」の中には、EVやプラグインハイブリッドカーバッテリーを、風力や太陽光といった再生可能エネルギーによって得られた電力の一時貯蔵場所として利用するというプランがあるが、その中で日産のEVは新技術自動車製造に対するアメリカ政府の助成を受けられることが確定しているという。

 ガソリン車はおろか、ハイブリッドカーよりはるかに高額なEVの大衆車が急に年10万台も売れるようになるのかという疑問はあるが、日産のEV市販プログラムは順調に最終段階に達していると言える。