従来の自動車をハイブリッド車に変えることができる。
こんな改造キットを、米IBM社での勤務経験がある技術者が設計した。各タイヤに電動モーターを装着して燃費を2倍に高めることで、通常のガソリン・エンジンを搭載した自動車をハイブリッド・カーに変えるという。
IBM社での製品開発に関する研究者としての経歴を持つCharles Perry氏の発明は、米Tennessee Technology Development社が開催する「グリーン・エネルギ・コンテスト」で第1位を獲得した。同氏の「Plug-in Hybrid Retrofit Kit」(改造キット)は現在特許申請中だが、米Palmer Labs社から製品化されることがすでに決定している。
Perry氏は、「今回の発明が今までの手法と違うのは、既存の自動車を改良しなくてもハイブリッド・カーに変えられる点だ。ブレーキとハブの間にある空間にモーターを取り付けるだけよく、車自体には何の改良も必要ない」と説明する。
同氏は、「米国のドライバの80%は通常、時速30~40マイル/時(48~64km/時)以下で運転している。改造キットは10~15馬力の電動モーターを備えているため、この速度での運転に必要な動力をすべてまかなえる。つまり、米国だけで1日に約1億2000万ガロンのガソリンを節約できる」と主張する。電動モーターは車のトランクに搭載した2次電池によって動作する。
この改造キットの製品化に向け、同氏は米Tennessee Technological Universityと提携した。同大学は約10万米ドルの研究資金を使って1年以内に実用レベルの試作品を作製する予定だという。さらにその次の段階として、国が所有する30台の自動車に同キットを試験的に適用する計画もある。Perry氏は、「すべてが計画通りに進めば、Palmer Labs社による製品化が3年以内に実現するだろう。改造キットの製品化に向け、同社はテネシー州に新しい製造施設を建設し、約2000人の従業員を新たに雇用する計画だ」と明かした。
なお、同氏によると、同キットの販売価格は3000~5000米ドルの予定だという。