2009年7月31日金曜日

ロータスからEVコンセプト…2014年に発売か!?

 ロータスは英国の自動車メディア『オートモーティブエンジニア』誌の求めに応じて、1台のEVコンセプトカーを発表した。このモデルが非常に斬新な提案を秘めているとして、話題を集めている。

 オートモーティブエンジニア誌は、ロータスに対して2014年のシティコミューターを提案してくれるよう依頼。この申し出を快諾したロータスは、2週間後に1台のデザインコンセプトを提示した。

 それがイメージスケッチの赤いモデルだ。車名はないが、ロータスのデザインチーフ、ラッセル・カー氏、技術ディレクターのサイモン・ウッド氏、車両設計のリチャード・ラックハム氏の3名が中心となってまとめ上げた。ロータスが真剣にこのプロジェクトに取り組んだ様子が伝わってくる。

 コンセプトカーの気になる内容だが、非常に示唆に富んだものだ。まずはパワートレーン。2014年という時代を見越して、当然、EVとなる。しかも、あくまでシティコミューターと割り切り、最小限の動力性能を与えている。

 後席フロア下に置かれるモーターは、最大出力50ps。2次電池はリチウムイオンバッテリーで、前席フロア下にレイアウトし、蓄電容量は10kWhとした。インバーターは、後席乗員の足元下に配置。ボディ下回りには脱着式のアンダーパネルが装備され、空気抵抗を低減する。

 動力性能は最高速105km/h、最大航続距離50kmと、必要十分。航続距離が不足する顧客には、オプションでもう1基の10kWhバッテリーを追加でき、充電時間は13Aプラグで約3.5時間を想定している。

 パワートレーン以上に注目すべきは、そのパッケージングかもしれない。トヨタ『iQ』はもちろん、スマート『フォーツー』よりも短いボディながら、大人4名が乗車できる空間を備えているのだ。

 ボディサイズは全長2600×全幅1600×全高1700mm、ホイールベース1870mm。これはトヨタiQ(全長2985×全幅1680×全高1500mm)よりも385mmも短く、スマートフォーツー(全長2695×全幅1559×全高1542mm)よりも、95mmコンパクト。ちなみに三菱『i-MiEV』と比較すると、795mmも短い。最小回転半径は3.25mで、iQの3.9m、フォーツーの4.375mよりも小回りが効く。

 スマートは2名乗り、iQが大人3名+子ども1名の実質3名乗りであることを考えると、全長2600mmで大人4名乗車を可能にしたロータスEVコンセプトは、革新的なパッケージの持ち主と見ることができる。

 これは、EV専用のアルミ製プラットホームの効果が大きい。プラットホームは前後方向に太さ150mmの2本のレールを置くというシンプルかつ古典的なもの。しかし、2本のレールは複数のフレームと結合しており、ボディは小さくても、高いボディ剛性と衝突安全性を確保できるという。

 ロータスのラッセル・カー氏は、「このプラットホームは荷台のあるトラックなど、さまざまなバリエーションに応用できる」とコメント。さらに、「シンプルな構造ゆえに量産に向いており、10万台規模での量産が可能」と胸を張る。

 もちろん、フロントにエンジンがないEVのメリットを生かして、ノーズを短縮。さらに、シートの配置も工夫することで、大人4名が乗れる室内空間を実現した。モーターやインバーター、バッテリーなどの機器類は床下にレイアウトし、フロアをフラット化。サイドドアは後方ではなく前方スライド式で、後席に乗り込む際には運転席がステアリングホイール下に、もぐりこむように移動し、乗降性を高めている。

 ロータスがEVを開発しているという噂は、長い間囁かれてきた。今回はメディアの取材に応じて、コンセプトカーを提示した形だが、スポーツカーとは異なるロータスの新しい方向性として、注目したい。

電気自動車の充電器普及、日産・東電など連携

 日産自動車、三菱自動車、富士重工業と東京電力が、電気自動車(EV)用の急速充電器の普及加速を狙って連携する。

 EVの普及に欠かせない充電インフラの整備に向け、自動車メーカーと電力会社が互いに技術情報などを持ち寄り、効率的なインフラづくりを目指す。三菱自動車などが今夏からEVの量販を始めており、関連企業の連携でEV普及を後押しする。

 4社が中心となって2009年度内に協議会を立ち上げる。今後、充電器メーカーなどの参加も募り、普及に向けた課題や解決策を話し合う。具体的には制御データをEVと充電器でやり取りする際の通信方法の標準化や、安全技術の確立などを目指す。低コストでインフラ整備を進めるための手法も検討する。

2009年7月30日木曜日

日産 EV…2012年には10万台

 日産自動車は27日、2010年度に発売予定の新型EV(電気自動車)の試作車をマスコミ向けに公開、試乗会を開催した。その外観は市販モデルのコンパクトカー『ティーダ』だが、シャーシやパワートレインはすべて8月2日に公開されるという新型EVの「EV専用プラットフォーム」が使われている。

 試乗会が行われた日産の追浜工場テストコース「GRANDRIVE」では、新型EVのシャーシのカットモデルが展示されていたが、そのサイズはかなり大きく、完全に3ナンバーサイズ。グローバル市場を強く意識した仕様であることをうかがわせるものだった。

 新型EVの駆動方式は電気モーター前置きのFWD(前輪駆動)。モーターは一般的な交流同期モーターで、スペックは最高出力80kW(108馬力)、最大トルク280Nm(28.5kgm)の性能を発揮。最高速度140km/h以上の動力性能を確保する。

 バッテリーは日産とNECグループの合弁会社、オートモーティブエナジーサプライ社製のラミネート型マンガン酸リチウムイオン電池(LIB)で、総電圧は345V、充電可能な電力量は24kWh、普通のクルマではエンジン最大出力に相当するバッテリー出力は90kW以上。航続距離はアメリカの市街地・高速混合モードであるLA4走行時で160km以上とされている。

 日産は2012年に、このEVを北米で年10万台生産する計画を発表している。オバマ政権が推進している再生可能エネルギー推進政策「グリーンニューディール政策」の中には、EVやプラグインハイブリッドカーバッテリーを、風力や太陽光といった再生可能エネルギーによって得られた電力の一時貯蔵場所として利用するというプランがあるが、その中で日産のEVは新技術自動車製造に対するアメリカ政府の助成を受けられることが確定しているという。

 ガソリン車はおろか、ハイブリッドカーよりはるかに高額なEVの大衆車が急に年10万台も売れるようになるのかという疑問はあるが、日産のEV市販プログラムは順調に最終段階に達していると言える。

EV充電設備 京都市第1号

 京都市は29日、東山区役所地下駐車場に開設した、電気自動車(EV)が電気を蓄えることができる〈電気スタンド(充電設備)〉第1号を公開した。市は今年度内に市役所本庁舎やまち美化事務所などで計40基の設置を目指している。

 充電は専用コードをコンセントに差し込むことでできる。今のところ、EVは主に公用車や企業の社用車などとして流通しているため、スタンドを利用できる人は限られているが、一般の人でもEVで訪れれば自由に使うことが出来る。30分で10キロ程度走行する充電が可能という。

 EV啓発のため、8月18日午後4時から京都駅前でPRイベント、9月5日午後1時からは西京極総合運動公園(右京区)でEVの試乗会を実施。また同市では保有するEVの市民とのカーシェアリング(共有利用)も10月頃から予定している。市では、市内の自動車の1割(約6万台)がEVに切り替わることで、年間10万トンの二酸化炭素削減につながると試算している。

2009年7月29日水曜日

世界最速スーパーカーメーカー、ハイブリッド キャンパー開発へ

 米国シェルビースーパーカーズ(SSC)の子会社、SSCグリーン社は、米国のRVシャシーメーカーと協力し、ハイブリッドパワートレーンを載せたキャンピングカーを開発すると発表した。

 SSC社は、米国ワシントン州に1999年に設立。2007年にスーパーカーの『アルティメットエアロ』を発売した。ミッドシップにはGM製の6.3リットルV8ツインターボを搭載。最大出力1183ps、最大トルク151.3kgmというモンスターで、0‐96km/h加速2.78秒、最高速434km/hを達成。あのブガッティ『ヴェイロン』の407km/hを上回り、世界最速の量産スポーツカーに君臨している。

 さらに同社は1月、『アルティメットエアロEV』の開発プランを公表。エンジンに代えて、「AESP」(オール・エレクトリック・スケラブル・パワートレイン)を採用。2次電池としてリチウムイオンバッテリーを搭載し、2個のモーターは最大出力1200psを発生するという。

 今回SSCグリーン社は、北米でカスタムキャンピングカーのシャシーを手がけるジョーンズ&ソンズシャシー社と協力。AESPを載せたキャンピングカーを開発する計画を明らかにした。

 新型キャンピングカーの車名や写真は公表されていないが、約241kmは電気モーターのみで走行するピュアEVとなる。リチウムイオンバッテリーの残量が少なくなると、「ハイブリッドモード」へ切り替え。オンボードジェネレーターを回し、モーターに電力を供給するとともに、バッテリーを充電する。

 ハイブリッドモードでの最大航続距離は約563km。合計約800kmを走行できるキャンピングカーになる。また、自宅やキャンピング場など、外部電源が確保できる場所なら、50A/220Vコンセントにプラグを差し込めば、ひと晩で充電が完了するという。

 まさに夢のようなキャンピングカー。しかし、SSC社は「アルティメットエアロEVを今夏公開」と宣言していたが、現在のところ何の続報もない。キャンピングカーの中核技術のAESPに関しても、アルティメットエアロEVの正式発表を待ったほうがよさそうだ。

シリコンバレーのニューチャレンジ 走り出したテスラモータース リチウムバッテリ搭載のクリーンカー

●群を抜くバッテリ技術

 いち早くリチウムバッテリを搭載した凄い車が現れた。それも、あの「ロータス・エリーゼ」そっくりのEVスポーツカーだ。

 ここシリコンバレーのテスラモータース(Tesla Motors)は、2008年に高級スポーツカーのロードスターを発売し、すでに500台以上を出荷した。価格は10万9000ドル(約1000万円)から。購入者にはカリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーや映画俳優のレオナルド・ディカプリオ、Google創業者のセルゲイ・ブリンなど著名人が名を連ねている。

 同社はまた、今年3月、セダン型のモデルSを発表した。価格は5万7400ドルからで、7人乗り。発売予定は2012年だが、すでに1000台以上の予約が入っている。1回の充電走行距離はロードスターが220マイル(約400km)、モデルSはバッテリにより160、230、300マイルが選べる。他のEVの走行距離が80〜100マイルであることと比較すると、テスラのバッテリ技術は群を抜いている。

 それを支える基盤技術は電池の発熱制御だ。ロードスターの場合、市販のリチウム電池(日本製)6831本で構成した11の電池ユニットを電源ボックスとし、それぞれのユニットにセンサーや制御回路を組み込み、リチウムの安全性にも特許技術の検出制御システムを搭載している。

●真のベンチャー精神

 テスラのCEOはイーロン・マスク(Elon Musk)氏。1971年生まれ、38歳。テスラには個人マネー7000万ドルを出資した。彼の生涯の事業テーマは「インターネットと宇宙、そしてクリーンエネルギー」の三つだ。

 まず、1999年にインターネット上のマイクロペイメント(小口決済)のPayPalを共同で創業、2002年にはeBayに15億ドルで売却した。次に2002年、宇宙旅行のコストを大幅に下げるSpaceXを立ち上げ、宇宙船の回収、再利用にも成功。これが2番目の宇宙事業だ。そして現在はテスラでEV開発の傍ら、カリフォルニアでも有数のソーラーパネル設置会社ソーラーシティー(Solar City)にも出資。いわく、「日常、80〜100マイル走るための電力は太陽電池だけで十分なはずだ。そのために家庭にはソーラーパネルを設置し、いずれはEVと連動させる」という夢を抱いている。自分が考えたことを夢から現実に移す。これこそが、シリコンバレーの本物のベンチャー・スピリットだ。

 サブプライムに端を発した未曾有の不況。しかし、テスラの販売はカリフォルニアから全米へ、そして英国にも伸びた。GMやクライスラーの会社更生法適用を尻目に「クリーン」の追い風を受け、今年2月にオバマ政権が立法化した経済再活性化策に沿って、先月、エネルギー省からEV製造工場建設のための低利融資4億6500万ドルの獲得に成功。ほぼ同時に、独ダイムラーがセダン型とバッテリーシステムを供給することを条件に10%を出資することが決まった。これで念願のセダン型出荷も、2012年には大丈夫だ。

2009年7月28日火曜日

トヨタ、コンパクト車もハイブリッド 11年にも発売

 トヨタ自動車が、コンパクト車クラスのハイブリッド専用車を、11年にも売り出す計画であることが27日、わかった。

 トヨタにはこれで、1千数百万円する高級セダンから100万円台のコンパクト車まで、すべてのクラスにハイブリッド車(HV)がそろう。トヨタは電気自動車など様々な環境対応車(エコカー)が開発されるなか、HVを大量投入。次世代エコカーの主役の座に据える戦略だ。

 新たに売り出すHVは、コンパクト車「ヴィッツ」のエンジンや車台を利用する。搭載するハイブリッドシステムは、プリウスのものより小型で安く作れる、新開発のものにする考えだ。

 燃費性能はプリウスの1リットルあたり38キロを上回る、同40キロ以上を目指している。価格はプリウスの205万円に対し、150万円前後に抑えられる見通しだ。

 トヨタは10年末にヴィッツの次期モデルの生産に入り、1年後の11年末にもハイブリッド専用車を追加投入する予定。国内だけでなく、フランス工場での生産や欧州市場投入の可能性もある。

 トヨタがすべてのクラスにHVをそろえる「フルライン化」を急ぐのは、環境志向の高まりで、販売が急増しているためだ。

 5月発売の3代目プリウスは旧型より価格を約30万円引き下げたことや、政府の購入支援策の追い風で爆発的なヒットとなった。高級車ブランド「レクサス」でも、いまやHVが販売の主力になっている。

 欧米では今後、燃費や排出ガスの規制が大幅に強化される。ライバルのホンダはHVの需要がさらに高まるとみて、10年にもコンパクト車フィットにHVを設定する計画を明らかにしている。

 トヨタはディーゼル車が主流の欧州でも、HVを主力商品に育てる方針。電気自動車や燃料電池車の研究開発も進めているが、価格や航続距離の面から当分の間、HVがエコカーの主役になるとみて、大量投入を計画している。

日産:来年発売の電気自動車、充電1回で160キロ走行 最高速度は140キロ以上

 日産自動車は27日、10年に発売する電気自動車(EV)の実験車両を公開した。独自開発の高性能モーターと大容量リチウムイオン電池を搭載し、1回の充電で160キロ以上走れるようにした。電池の小型化により、5人乗りコンパクトカー並みの室内空間も確保。販売で先行する軽自動車ベースの三菱自動車製EV「i-MiEV(アイミーブ)」などとの差別化で、早期の普及を図る。

 200ボルトの家庭用電源なら8時間でフル充電、急速充電器なら30分で8割充電できる。最高速度は140キロ以上で、高速道路もスムーズに走行できるという。

 さらに、専用の通信システムを活用し、カーナビゲーションの地図上に、残りの充電量で走行可能なエリアや目的地周辺の充電スタンドの最新情報を表示するようにした。アイミーブなどのEVのほか、車両価格の安さを強みにエコカー市場を席巻するトヨタ自動車の「プリウス」などのハイブリッド車に対抗する。

 販売車両のデザインは8月2日、東京・銀座から横浜市への本社移転式典で発表する。価格は未定。

2009年7月27日月曜日

フル充電に14時間  電気自動車普及への険しい道のり

 三菱自動車の電気自動車、i-MiEV(アイ・ミーブ)の一般消費者向け予約受付が2009年7月31日からはじまる。エコカー減税の効果もあって、電気自動車は俄然注目され始めた。「家庭用コンセントにつなぐだけで走る」というのが売り物だが、早くも使い勝手の悪さが指摘されはじめている。

家庭用コンセントを使えるのが「アイ・ミーブ」のよさ

 三菱自動車のEVカー「アイ・ミーブ」は、2009年7月23日から企業向け販売分の納車がはじまった。三菱自動車によると、この日は約50台を納車。09年度に予定している1400台は、東京電力や中部電力、日本郵便、ローソン、神奈川県などが購入を決めており、完売している。

 家庭用コンセントにつなぐだけで充電できて、1回の充電で最長160キロメートルまで走れる。「究極のエコカー」という触れ込みだ。ガソリンスタンドなどに電気自動車用の急速充電器の設置が進めば、長距離走行も可能だ。

 車両本体価格は459万9000円。2009年度は国から139万円の補助金や、自治体によっては独自の補助金制度があるので、これらを使えば300万円台まで下がる。

 三菱自動車は、7月31日から一般消費者向けの受注を受け付ける。実際にクルマを手にすることができるのは2010年4月以降になるが、今回の「予約受付」はその正式契約のための申し込みとなる。

フル充電に14時間はかかりすぎ

 いよいよ公道にお目見えする「アイ・ミーブ」だが、フル充電に14時間かかったり、リチウム電池の寿命が5~10年で、その入れ替えに200万円の費用がかかったりといった、リチウム・イオン電池をめぐる使い勝手の悪さが取沙汰されている。

 三菱自動車と、リチウム電池の開発にかかわったGSユアサは、「リチウム電池は取り替えなくてもいいようになっていますし、そもそも取り替えなど想定していません。ガソリン車の買い替え年数と同じくらい、廃車するまで乗れます」と胸を張る。ただ充電時間については、少なからず問題があるようだ。

 家庭用コンセントで充電できるとはいえ、フル充電に14時間はかかりすぎ。夜間であれば電気代が安くあがるのはいいとしても、睡眠時間より長いのだから、夜間使用は結構難問だ。

 一方、30分で80%の充電が可能な急速充電器という設備はあるが、一般家庭の設置は無理だという。現在、東京電力など電気事業者が主体で普及に取り組んでいて、イオンショッピングモール(埼玉県越谷)や神奈川県庁、丸ビル、平和島や大黒ふ頭のパーキングエリア、東京電力の営業所などに設置されている。「協力が得られた個所への設置から進めていく」(三菱自動車)ことになるので、ガソリンスタンド並みの普及にはなお時間が必要だ。

「アイ・ミーブ」のよさは、家庭用コンセントでも充電できる便利さにある。GSユアサは、「単純に家庭用100ボルトのコンセントを、200ボルトに引き上げれば、14時間が7時間に短縮できる。しかし、それだとアイ・ミーブのコンセプトである、家庭用コンセントへのこだわりが薄れてしまう。そんなことはしません」と話す。

 さらに、「長距離を運転するのであればハイブリッドカーを選べばいい。EVカーは軽自動車に代わるセカンドカーのニーズに対応する」と強気だ。

 300万円のセカンドカーにどんな人が乗るのだろうか。

トヨタ、「プリウス」国内供給台数を拡大=最大で月2万5000台に

 トヨタ自動車は27日、ハイブリッド車の新型「プリウス」について、月2万台としてきた国内供給台数を最大で月2万5000台の体制に引き上げる方針を明らかにした。

 新型プリウスをめぐっては今月23日時点で受注総数が24万台を超える人気ぶりで、同日以降の受注分については納車が来年4月以降にずれ込み、今年度内に新車登録すれば受給できる政府の「エコカー補助金」の対象外となる恐れが出ている。供給台数を増やすことで受給対象外となる顧客をなるべく減らしたい考えだ。

2009年7月25日土曜日

エコカー:「補助、延長を」 環境相、注文殺到による納車遅れ受け 経産相は慎重姿勢

 政府が景気対策として今年度限定で実施している環境対応車(エコカー)の購入補助制度や、省エネ家電のエコポイント制度について、24日の閣議後会見で、斉藤鉄夫環境相や佐藤勉総務相から制度延長を求める発言が相次いだ。一方、二階俊博経済産業相は「年度末(の状況)を見極めてから対応したい」と慎重姿勢を示した。

 エコカーの一部車種で注文が殺到し、補助金を受け取れる来年3月末までの納車が間に合わないことについて、斉藤環境相は「延長すべきだということで二階経産相と一致した」と発言。エコポイントも「景気回復の起爆剤になっており、延長や対象拡大が必要だ」と強調した。佐藤総務相も地上デジタル放送の普及に関し「エコポイントの継続も考えなければならない」と述べた。

 しかし、二階経産相はエコカー補助について「まずはメーカーに供給を急いでいただく。年度末に解決されない場合は、弾力的な対応を考える必要がある」と述べ「増産で雇用がどうなったのかを確認して判断すべきだ」と安易な延長にクギを刺した。民主党は衆院選で政権をとった場合、予算を組み替える方針を掲げている。現閣僚がいくら発言しても、先行きは不透明で、「そのとき政権を担当する政府が責任ある対応をする」(二階経産相)というのが結論のようだ。

2009年7月24日金曜日

水素REハイブリッドカー体験試乗!

 ガソリンもOKの水素ロータリーエンジンとハイブリッドシステムが組み合わされた「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」。どうのような走りを見せてくれるのか? 好奇心は高まるばかりだ。

経済産業省の公用車としてリース販売。

 マツダは「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」というスローガンを掲げている。その中の環境戦略のロードマップには、内燃機関の徹底的な効率改善に取り組み、2015年までに全マツダ車の平均燃費を現在から30パーセント向上させるというマニフェストがある。

 世界中どこのメーカーも生き残りをかけて燃費性能の向上&CO2削減に必死だが、マツダはこれまで培ってきたハイドロジェン(水素)ロータリーエンジン技術と電気自動車技術を活かし、同社の3列シートのミニバン、プレマシーをベースとした水素ロータリー・ハイブリッド車を完成させ、経済産業省の公用車としてリース販売する運びとなった。

 2006年にRX−8ハイドロジェンREがリース販売されたが、今回のプレマシーはそれのハイブリッド版と考えていい。
 水素エンジンのメリットはガソリンエンジンの部品、組み立てラインが使用可能なため、比較的低コストで生産できること、そしてなによりもCO2の排出がゼロということである。

バイオ素材を積極的に導入したインテリア。

 ベースとなったプレマシーはマツダの主力ミニバン。3列目のシートを取り払い、そのスペースに大きな水素貯蔵用タンクが納まる。この水素タンクの圧力は日本国内の水素ステーションの標準的な圧力に適合させた35MPa。水素の充填口はガソリン給油口の左右対称の位置にある。

 バッテリーはリチウムイオンで2列目シート下に配置しているが、出っ張りなどの客室空間に干渉する部分がないので3名が乗車可能だ。水素タンクの後方には広くはないがラゲッジスペース(容量230リッター)が設けられている。

 RX−8ハイドロジェンREは、フル4シーターといっても後席はしんどい。やはりミニバンベースが正解だろう。
 インストパネルは標準車に準ずるが、ガソリンと水素の燃料切り替えスイッチや、使用燃料インジケーター、走行状態によるシステムの作動状態を示すエネルギーフローモニターが新たに装備されている。また、脱石油のシンボルカーらしく、内装材に植物由来の原料から作られるバイオプラスチック(シフトパネル、センターコンソール、水素タンクカバーなど)とバイオファブリック(シート表皮)が採用されている。

水素での満タン航続距離は200km。

 プレマシーハイドロジェンRE ハイブリッドは、シリーズ・ハイブリッド方式を採用している。ただし、これまでのシリーズ方式(ほとんどがEVの走行距離を伸ばすためのシステム)とは異なる。

 充電効率のいい回転数で定常運転させず、アクセル操作によるエンジン回転(=出力)に比例してジェネレーター(発電機)の発電量が増減し、モーターの出力がそれに同期するのだ。つまりエンジンとモーターが連動するダイレクトな運転感覚になっている。

 モーターは「巻き線切り替え」という、走行中瞬時にコイルの巻き線を切り替えることが可能な高性能タイプ(出力は110kW)で、これまでは産業用にはあったが自動車用としては初デビューとなる。

 試乗時間はごくわずかだったため、動力性能については正直なところよくわからないが、発進加速の感じからするとごく普通のクルマ。ということは実用上はなんら不足のないレベルということになる。

 動力性能はさておき、RX-8ハイドロジェンREに大差をつけたのは水素での満タン航続距離で、約2倍の200kmに伸びたことだ。

ハイブリッド動作を5つのパターンで解説。

 シリーズ方式のハイブリッド車が、走行状況によってどのように作動するかをご説明しよう。

 1.発進時=バッテリーからの電力でモーターを駆動。減速機、デファレンシャルを介してタイヤを回す。急発進時などより大きな駆動力が必要な場合はエンジンが始動してモーターへの供給電力量を増やす。
 2.走行時=速度が上がるとエンジンが始動し、エンジンに直結したジェネレーターによって発電。インバーターを介して送られた電気でモーターを駆動して走行。
 3.加速時=坂道、追い越しなどより高い駆動力が必要な場合、エンジンでの発電に加えてリチウム電池からも電気を供給する。
 4.減速時=モーターを発電機として使用。その電気で電池を充電する。
 5.停止時=エンジンはアイドリングストップするが、電池の残量によっては充電のためにアイドリングする。
と、こんな具合。

 水素、ガソリンの燃料切り替えもやってみたが、ごく自然だった。

将来に期待の持てる水素REの素性のよさ。

 水素、またはガソリンでの走行が可能なロータリーエンジン搭載のハイブリッド車の将来はどうなるのだろうか。マツダではFC(=燃料電池)車に比べ、まず第一にコスト、信頼性、バイオ燃料との併用性などで実用性において有利と判断し、今後の脱化石燃料時代に備えたいという意欲に燃えている。

 水素REは低純度水素でも利用が可能というメリットもある。日本国内で供給可能な低純度水素(副生水素)はクルマの台数に換算すると、500万台分あるといわれている。

 問題は水素ステーションの普及だ。現在は技術実証段階。今後は、2015年までに、一般ユーザーへの普及開始を目指すという。
 マツダの本拠地である広島近郊の都市部、水島、福山、周南を結ぶ水素ハイウエイ構想も検討中という。海外ではノルウエーのオスロ−スタバンゲル間580kmに水素ハイウエイ計画がある。

 将来の自動車は主動力源が電気モーターとなり、内燃機関はハイブリッドシステムをアシストするだけの道具となってしまう可能性もある。そのときにCO2を排出しない水素ロータリーエンジンは、強い競争力を発揮するだろう。

2009年7月23日木曜日

「三菱 i-MiEV」個人向け販売、受付開始


 三菱自動車は、電気自動車「i-MiEV」の個人向け販売の購入希望受付を、2009年7月31日から開始すると発表した。

 2009年6月に発表された「i-MiEV」。本年度中は法人を中心に販売が行われ、2010年4月から個人向け販売が開始される。これに先立ち、個人向けに購入希望受付を始める。車両価格は459.9万円だが、各種補助金が適用される。
 2010年度は国内販売5000台を計画しており、その約半数を個人ユーザーと見込んでいるという。

 なお、法人ユーザーへの車両デリバリーは、7月23日にスタートしている。

2009年7月17日金曜日

メルセデスベンツ SLS AMG…EV仕様も開発中

 ダイムラーは16日、メルセデスベンツ『SLS AMG』の電気自動車バージョンを開発していると発表した。4つのモーターは533ps、89.7kgmを発生し、0 ‐ 100km/h加速は4秒以内で駆け抜けるという。

 ダイムラーはSLS AMGの開発当初から、EV仕様の設定を視野に入れていた。それはSLSの軽量なアルミスペースフレームボディ、低重心設計、前後重量配分などが、EVスポーツカーとしても理想的なパフォーマンスを発揮できるからである。

 SLS AMGのEV版は4個のモーターをそれぞれの車輪付近にレイアウト。トランスミッションは前後アクスルに1基ずつ、合計2基を搭載する。4個のモーターは、最大出力533ps、最大トルク89.7kgm。6208ccのV8を積むSLS AMGの571ps、66.3kgmを、最大トルクにおいては20kgm以上も上回っている。

 この強大なパワーとトルクは4輪に伝達され、0 ‐ 100km/h加速4秒以下と、SLS AMGの3.8秒と同等の性能を実現。モーターは減速時には回生ブレーキとしても機能する。

 2次電池は蓄電容量48kWh、定格電圧400Vの液冷式リチウムイオンバッテリーで、センタートンネルとシート後方の低い位置にレイアウト。SLSの持ち味である低重心構造と前後重量バランスの良さは健在だ。

 メルセデスベンツAMGのCEO、Volker Mornhinweg氏は「SLS AMGのEV仕様が、スーパースポーツカーの新しい世界を提案。環境問題に対する我々の回答でもある」と語っている。

 ダイムラーは、このEVスーパーカーの市販に関するコメントを発表していないが、関係者によると、2015年の発売を目指して開発を進めているという。ちなみに、ガソリンエンジンのSLS AMGは、9月のフランクフルトモーターショーで正式発表され、2010年春に発売のスケジュールだ。

日産が中、小型車向けのHV開発へ

 日産自動車が中・小型車向けのハイブリッド技術の自社開発を検討していることが17日分かった。日産は平成22年の高級車向けハイブリッド車(HV)投入を明らかにしているが、エコカー減税などで中・小型車市場の人気が高まっている。先行するトヨタ自動車やホンダに対抗するためにも適用車種を広げる必要があると判断した。

 日産は、22年に販売予定の電気自動車(EV)をエコカー戦略の柱としており、HVの技術開発は高級車や大型車に絞っていた。16年からトヨタからハイブリッド技術供与を受け、中型セダン「アルティマ」を米国で販売。年間8000~9000台で推移していた。

 エコカー減税をきっかけにトヨタの「プリウス」、ホンダの「インサイト」の人気が急上昇。HV市場は過熱する一方だ。日産は多くの販売台数が見込める中・小型車でもHVを投入することで、低迷する国内販売のてこ入れを図る。ハイブリッド技術については、インサイト同様、常にエンジンを動かして電気モーターで補助する方式を採用するとみられる。

トヨタ、マツダにハイブリッド基幹装置を供給 10万台規模

 トヨタ自動車とマツダはハイブリッド技術で提携する方向で最終調整に入った。

 トヨタがハイブリッド車の基幹装置を供給。マツダは同装置を組み込んだハイブリッド車を2013年にも発売し、同分野に進出する。年間10万台規模の販売を目指す。トヨタはハイブリッド車強化の一環として、10年に欧州でも完成車の生産に乗り出す。本格的な普及段階に入ったことで、環境技術を軸にした新たな世界的な提携の組み替えが動き出す。

 マツダがハイブリッド基幹装置の供給を要請、トヨタが応じる方針を固めた。近く発表する。トヨタがハイブリッド基幹装置を本格的に外部供給するのは初めて。04年に米フォード・モーターにハイブリッドの基幹装置を供給したほか、06年からは日産自動車にも供給しているが、実際の販売は小規模にとどまっている。

2009年7月16日木曜日

起亜自、自社初のハイブリッドカー発売

 起亜自動車は15日、自社初となるハイブリッドカー(電気モーターと内燃エンジンを同時に動かし、燃料を節約する車)の「フォルテLPiハイブリッド」を発売した。公認燃費は1リットル当たり17.8キロ。

 起亜自の徐春寛(ソ・チュングァン)理事は、「フォルテ・ハイブリッドはLPG(液化石油ガス)を燃料として使っているため、ガソリン1リットル分の費用で39キロ走ることができる」と説明した(基準価格はガソリン1リットル1654ウォン=約120円、LPG1キロ754ウォン=約55円)。また徐理事は、「フォルテ・ハイブリッドを手始めに、2011年には中型車クラスのガソリンエンジン・ハイブリッドカー、2013年には外部充電機能を備えたプラグイン・ハイブリッドを順次発表する予定」と語った。

 起亜自は事前契約した顧客を含め、フォルテ・ハイブリッドを今月中に契約すると20万ウォン(約1万4600円)を割り引くほか、7月に契約し8月に車の引き渡しを受ける個人顧客に対しては、コンドミニアムやペンションの宿泊券(1泊)を贈呈する。

 フォルテ・ハイブリッドの価格は、販売段階で個別消費税・教育税の減免を受けただけだと2054万-2335万ウォン(約150万-170万円)だが、取得段階での減税措置も考慮に入れると、実際の購入価格は1878万-2168万ウォン(約137万-158万円)となる。

 フォルテ・ハイブリッドを購入し年間2万キロを走行した場合、一般のガソリンエンジンタイプのフォルテとの差額は3年以内に回収できるという。

2009年7月15日水曜日

注目の電気自動車販売へ ~芝浦グループ

 これまで、不動産事業を中心としてきた芝浦グループが電気自動車の販売をはじめる経緯は、自動車が排出する大量の二酸化炭素に着目したことであった。

 同社が企画している太陽光発電と様々な設備機器を組み合わせることで、家庭から排出される二酸化炭素は大幅に削減することが可能である。しかし、実は自動車から排出されている大量の二酸化炭素については何ら策を講じられていなかった。そこで昨年よりCT&T社を訪問、水面下で活発な交渉が行われ、今回の電気自動車発売へと至ったのだ。

 韓国語で「太陽」を意味する「テヤン」。電気自動車「テヤン」は韓国では「e-zone」という名前である。石炭から石油へと変化してきた経済構造がここにきて「太陽経済」へと大きく変貌しようとしている現在、テヤンという名前には期待が込められている。

 昨今の自動車業界ではホンダ・インサイトやトヨタ・プリウスに代表されるガソリンとモーターを組み合わせたハイブリッドカーが人気である。しかし、ハイブリッドカーの先にはガソリンを使用しない電気自動車の未来があることは必至である。過渡期であるからこそ、敢えて先行して電気自動車の販売を断行した芝浦グループの先見性には興味がある。今から数年前、技術的に難しいとされていた全個別型太陽光発電搭載型マンションを開発したことで、経済産業大臣賞を受賞した同グループは、現在の自動車産業の過渡期はチャンス到来と見ているのだろう。

2009年7月14日火曜日

燃費はヴィッツ並み レクサス初のハイブリッド専用車

 トヨタ自動車は14日、同社二つ目のハイブリッド専用車「HS250h」を発売した。電気自動車や燃料電池車など環境対応車(エコカー)が続々開発されるなか、プリウスに続く専用車の投入で、技術力で一歩先を行くハイブリッド車をエコカー市場の中心に据えようとの戦略だ。

 HSは、トヨタの高級車ブランド「レクサス」初のハイブリッド専用車となる。価格は395万円からと、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を備えるハイブリッドシステムを積みながら、レクサスの中で最も安い車種となる。「レクサスは走りが重要だが、走りプラス環境に挑戦したい」。豊田章男社長は同日、都内であった新車発表会でこう強調した。

 HSは5人乗りセダンでガソリンエンジンの排気量は2.4リットルあるが、燃費は1リットル当たり23キロと小型車「ヴィッツ」並み。

 3代目プリウスの低価格路線が当たったことから、希望小売価格(税込み)は395万〜535万円と、高級車ブランドにしては「消費者の間口を広げた」(古谷俊男レクサス営業担当専務)。これにより発売前ながら、3千台を上回る注文が入っているという。

 国内市場ではハイブリッド車の人気が高まっている。6月の国内新車販売ランキングでは、トヨタのプリウスが軽自動車を抑えて首位を獲得。ホンダのハイブリッド専用車「インサイト」も好調で、6月の新車全体に占めるハイブリッド車の割合(軽自動車を除く)は14%に達した。

 トヨタは97年のプリウス発売以来、ハイブリッド専用車はプリウスだけとしてきたが、HSに続き、年内にさらにトヨタブランドの新ハイブリッド専用車「SAI(サイ)」も投入。技術の蓄積に一日の長があるハイブリッド車をエコカーの第一人者として市場に定着させる考えだ。

ホンダ「CR-Z」「フィット」 HV2車種、来年に国内投入

 ホンダの伊東孝紳社長(55)は13日、就任後初の記者会見で、スポーツタイプ小型車「CR-Z」と、主力の小型車「フィット」のハイブリッド車(HV)を2010年に国内で販売することを明らかにした。今後、HVの開発・販売に最優先で取り組み、海外での販売も検討する。

 同社は現在、「インサイト」「シビック」のHVモデルを国内のみで販売。エコカー減税などの効果で、インサイトは今年1~6月の販売台数が3万6457台と好調で、6月中旬から鈴鹿製作所の製造ラインを1本から2本に増やした。

 これらに搭載されたハイブリッド技術を生かして、フィットについては「2010年代の前半」としていた発売時期を前倒しした。CR-Zを10年2月、フィットを10年中に発売する予定。中・大型車への早期の搭載も検討していく。

 伊東社長は「HVのシステムはシンプルで経済効率性がよい。今後20年かけて他のメーカーもみんなHVになるのではないか」と述べた。その根拠として、米国で新車の燃費を企業単位で規制する「企業平均燃費(CAFE)規制」の強化を挙げ、「(自動車の)サイズを変えないと達成できない厳しいものだ」と述べ、ホンダもHVを優先して開発を進める考えを示した。

 電気自動車については電池の軽量化、コスト高を課題に挙げ、「今の車のような自由度はない」と指摘。

 また、今年下期の動向に関しては「米国を中心とした景気の立ち直りが意外と厳しく(景気後退局面が)長く続く懸念がある」と分析し、為替が円高で推移していることもあり、輸出に悪影響を与えかねないとの認識を示した。

2009年7月13日月曜日

ガソリンカーをハイブリッドカーに変える「改造キット」、革新的な発明なのか

 従来の自動車をハイブリッド車に変えることができる。
 
 こんな改造キットを、米IBM社での勤務経験がある技術者が設計した。各タイヤに電動モーターを装着して燃費を2倍に高めることで、通常のガソリン・エンジンを搭載した自動車をハイブリッド・カーに変えるという。

 IBM社での製品開発に関する研究者としての経歴を持つCharles Perry氏の発明は、米Tennessee Technology Development社が開催する「グリーン・エネルギ・コンテスト」で第1位を獲得した。同氏の「Plug-in Hybrid Retrofit Kit」(改造キット)は現在特許申請中だが、米Palmer Labs社から製品化されることがすでに決定している。

 Perry氏は、「今回の発明が今までの手法と違うのは、既存の自動車を改良しなくてもハイブリッド・カーに変えられる点だ。ブレーキとハブの間にある空間にモーターを取り付けるだけよく、車自体には何の改良も必要ない」と説明する。

 同氏は、「米国のドライバの80%は通常、時速30~40マイル/時(48~64km/時)以下で運転している。改造キットは10~15馬力の電動モーターを備えているため、この速度での運転に必要な動力をすべてまかなえる。つまり、米国だけで1日に約1億2000万ガロンのガソリンを節約できる」と主張する。電動モーターは車のトランクに搭載した2次電池によって動作する。

 この改造キットの製品化に向け、同氏は米Tennessee Technological Universityと提携した。同大学は約10万米ドルの研究資金を使って1年以内に実用レベルの試作品を作製する予定だという。さらにその次の段階として、国が所有する30台の自動車に同キットを試験的に適用する計画もある。Perry氏は、「すべてが計画通りに進めば、Palmer Labs社による製品化が3年以内に実現するだろう。改造キットの製品化に向け、同社はテネシー州に新しい製造施設を建設し、約2000人の従業員を新たに雇用する計画だ」と明かした。

 なお、同氏によると、同キットの販売価格は3000~5000米ドルの予定だという。

2009年7月12日日曜日

ハイブリッド仕様専用のレクサス「HS」、先行受注1500台に

 トヨタ自動車が14日に発売するレクサスブランドの「HS」の先行受注が約1500台に達したことが分かった。

 月間販売目標の3倍となる水準。HSはレクサス初となるハイブリッド仕様専用で、5月に発売した新型「プリウス」と同様、ハイブリッド車の好調が続いている。

 HSは排気量が2.4リットルで最廉価車種は395万円に設定。新型プリウスは納車期間が8カ月まで延びており、一部の顧客はプリウスから移行するとみられる。レクサスでは今年発売の「RX」もハイブリッド仕様の受注が全体の9割を占めるなど、ハイブリッド車の比率が高まっている。

2009年7月9日木曜日

韓国・現代自、ハイブリッドカー発売 まずLPG車

 現代自動車は8日、韓国メーカーとしては初めてとなるハイブリッド車「アバンテLPiハイブリッド」を韓国内で販売開始した。

 ガソリンではなく液化石油ガス(LPG)とモーターで駆動する車両で、個人向けに販売する。来年にはガソリンとモーターで駆動するハイブリッド車も販売する計画だ。

 「アバンテ」は排気量1600ccのLPGエンジンを搭載し価格は2054万5000ウォン(約150万円)から。燃費は1リットルあたり17.8キロメートル。燃料が違い単純比較はできないが、トヨタ自動車のプリウスに比べ半分程度にとどまる。

三井物産、エコカー電池原料リチウムの独占的マーケティング権を取得

 三井物産は8日、カナダリチウムコープ社から、日本、中国、韓国でリチウムイオン電池の主原料であるリチウムの独占的マーケティング権を取得したと発表した。契約により、三井物産はリチウムの安定的な調達が可能となる。まずは、自動車メーカーや家電メーカー向けにサンプル出荷し市場調査を推進する。

 カナダリチウムコープ社はカナダ・ケベック州においてリチウム鉱山を再開発中で2013年から商業生産に入り、リチウム純分ベースで年間約2000t(炭酸リチウムベースでは1万t)の生産を予定している。
 
 三井物産は、リチウムイオン電池の正極原料でもあるニッケルとコバルトについて複数の資源・事業投資を既に実行しており、これに続いて、リチウムも安定供給体制を構築する。
 
 リチウムを主材料とするリチウムイオン電池は、環境効果が高く、エネルギー密度が高いため、小型・軽量化が可能な二次電池としてノートパソコンや携帯電話など幅広く用いられている一方、ハイブリッドカーや電気自動車などの環境対応車にも搭載されつつある。しかし、リチウムは生産量、埋蔵量ともチリ、アルゼンチンなど南米が世界の50%以上を占めており、供給先の多様化が課題。
 
 今回、三井物産がマーケティング権を取得したカナダリチウムコープ社は、カナダで生産するため供給の多様化・安定化に結びつけられることが特徴。
 
 世界中で環境問題に取り組む機運が高まっており、特にハイブリット車を筆頭とした環境対応車の競争は加速しており、2020年には世界新車生産のうち、1200万台は環境対応車が占めるとの予測もある。三井物産は、これら環境対応車が必要とする二次電池やモーターに使用されるレアメタルの需要の伸びに備え、安定供給体制を強化し、エコカー時代の到来をにらんだ新たなビジネスを展開する方針だ。

2009年7月4日土曜日

米国の新型コンパクトEV、カーシェア&レンタカーを展開

 米国Mayaエレクトロニック社は6月23日、新型EVの『Maya300』を使用して、ボルチモア市内でカーシェアリング&レンタカー事業を開始すると発表した。

 Maya300は、5名乗りのコンパクトな5ドアハッチバックだ。その開発にはエクソンモービル社とカナダの電池メーカー、エレクトロバヤ社が参画した。2次電池はエクソンモービル製のリチウムイオンバッテリーを搭載する。

 モーターの性能は公表されていないが、2次電池には2種類の容量が用意され、最大航続距離はそれぞれ60マイル(約96km)と120マイル(約193km)を実現。充電は家庭用コンセントから可能だが、シティコミューターとして割り切っているため、最高速は40km/hに制限される。

 Maya社は6月24日から、メリーランド州科学センター、エクソンモービル社、エレクトロバヤ社と協力し、ボルチモアでMaya300を使用したカーシェアリング&レンタカー事業を開始。一大観光都市のインナーハーバーを拠点に、住民や観光客へ1日単位で車両を貸し出す。もちろん、充電設備などのインフラは、ボルチモア市が全面的にバックアップする。

 将来的にMaya社は、このMaya300を一般向けに販売する構想を描いており、価格は60マイル仕様が2万5000ドル(約240万円)、120マイル仕様が3万5000ドル(約337万円)程度になるという。

 環境に優しいEVに対しては、米国政府からの7500ドル(約72万円)の補助金が適用されるため、実質的な価格は下がる。1万7500ドル(約168万円)からのEVとなれば、Maya300は市民権を得る可能性がありそうだ。

カーシェアにEV=会員獲得狙い来月中旬投入−三井物産

 三井物産は3日、子会社を通じて今年1月に参入したカーシェアリング事業の拡大を狙い、富士重工業の電気自動車(EV)「プラグインステラ」を今夏の発売直後に投入する計画を明らかにした。

 当面、EVの販売先は企業や官公庁に限られ、一般のドライバーが購入できるのは来春以降。この間に話題の最新エコカーに「試乗」する機会を提供することで、新規会員の獲得に結び付けたい考えだ。

 三井物産系のカーシェアリング・ジャパン(東京)は、まず8月中旬にプラグインステラ1台を都内の拠点に配備。来年3月末までには10台近くに増やす。1台当たりの導入コストは充電器の設置費用を含め約800万円と高額だが、利用料金は当面、30分当たり750円(基本料などは別)と、ハイブリッドなどのエコカーと同額に抑える。三井物産は「注目度の高いEVの投入で『2013年に会員数2万人』の目標達成に弾みを付けたい」(自動車総合戦略室)と期待する。

2009年7月3日金曜日

Renault社、デモ走行用EV「Kangoo Be Bop Z.E.」を発表

 フランスRenault社は、電気自動車(EV)の試作車「Kangoo Be Bop Z.E.」を発表した。

 EVは走行騒音が少なく、走り始めてすぐに最大トルクが得られることや、加速曲線など、エンジン車とは異なる特性を持つ。 Kangoo Be Bop Z.E.は、その特性を知ってもらうためのデモンストレーション走行車として製作したもの。




 同社はEVを2011年に市場に出すことを目指して現在開発中だ。今回のデモカーに採用した電気駆動技術は、量産車に搭載を予定しているものに近いという。

 同社は、2008年のパリモーターショーでコンセプトカー「Z.E. Concept」を発表しており、今回のデモカーがEV計画の次の段階となる。
 
 2011年にフリート向けに「Kangoo Express Z.E.」を市場導入する予定だが、今回のデモカーはそのベース車となるプロトタイプではない。量産車のプロトタイプは、2010年に「Kangoo Z.E.」として発表する予定。2011年には、半ばに発売するKangoo Express Z.E.のほか、ファミリー向けセダンのEVを欧州とイスラエルに導入する。その後、2011年末までにEV専用に開発した都市向けモデル、2012年にはEV専用の小型ハッチバック車を導入していく計画だ。

2009年7月2日木曜日

富裕層も「レクサス」より「プリウス」「技術の先進性」を評価

 トヨタの「プリウス」が富裕層の支持を得ている。金融資産1億円以上の富裕層限定のプライベートクラブ「YUCASEE(ゆかし)」の会員を対象に行ったインターネット調査によると、トヨタのハイブリッド車「プリウス」への支持が、「レクサス」の旗艦モデルLS600hを上回った。2009年5月に「3代目」が発売されたばかりだが、燃費のよさなど、プリウスに注入されている技術力が評価されている。

「プリウス」64%。「レクサスLS600h」が43%

 エコカー減税の効果もあって、ジワリと上向きはじめた自動車販売。中でも、ハイブリッド車や電気自動車(EV車)への注目度が高まっている。

 30歳代~40歳代を中心とする医師や弁護士、会社経営者を会員とする「YUCASEE」を運営するアブラハム・グループ・ホールディングスが、2009年7月1日に発表した「ハイブリッド車に対する富裕層の意識調査」によると、「プリウス」を支持する富裕層は64%。「レクサスLS600h」が43%で続き、ホンダの「インサイト」は22%だった。

 実際に、プリウス人気は上々だ。日本自動車販売協会連合会が調べた5月の新車乗用車販売台数ランキングでプリウスは、4月の1952台(第21位)から大きく伸びて、1万915台の首位に立った。プリウスは5月18日に「3代目」を投入。1リットル38キロの燃費のよさを売りものに、「快走」している。

 一方、4月のランキングで首位だったのが、ホンダの「インサイト」(1万481台)。5月はプリウスに首位を譲ったが、それでも8183台の第3位につけている。

 アブラハム社の調査では「プリウス」と「インサイト」の新商品バトルについても聞いていて、73%が「ハイブリッド車の普及が促進されるのでよい」と回答するなど、評価する意見が目立った。「メーカー間の競争により、手ごろな価格が実現すると思う」といった値下がり期待や、「競争による燃費性能の向上」といった技術の進歩、「国際競争力の向上が見込める」といった意見も少なくなかった。

 富裕層は「ハイブリッド車の魅力」を、「技術の先進性」(55.0%)に感じている。若者を惹きつけるようなエンジン音やモーター音の力強さではなく、乗り心地のよさといった基本性能はもちろん、燃費のよさや環境性能、安全性能の高さを求めているようだ。

電気自動車への期待もにじむ

 ただ、買い時については、富裕層の45%が「いま、ハイブリッド車を買うべきかどうかを迷っている」と回答した。「すぐにでもほしい」という人を含め1年以内に買いたい人は35%で、3年以上先が19%いた。

 販売してほしいハイブリッド車として、バッテリーの積載場所の解決が課題になっている「ステーションワゴンタイプ」のほか、ベンツやBMWにも「プリウス」並みのハイブリッド機能を求める声もある。

 ハイブリッド車は「過渡期の自動車」との認識があって、二の足を踏んでいる富裕層も少なくないもよう。三菱自動車や日産自動車が力を入れる電気自動車への期待も大きい。

「自動車はますます魅力的になっていくと思う」――。車離れが喧伝される中で、富裕層の67%がそう答えた。