電気自動車(EV)が7月に相次いで発売される。これを受け、大手スーパーやガソリンスタンドなどにも充電器を設置する動きが広がってきた。
環境負荷が小さいEVをめぐっては、1回の充電で走行できる距離が短いため、充電スタンドをきめ細かく配置する必要があり、充電拠点の増設を進める計画だ。また、充電器の設置場所を知らせるサービスを検討する企業も出ており、EV登場に伴って関連ビジネスも加速しそうだ。
EVは二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代エコカーとして期待が高まっているが、走行距離の短さが普及のネックとされている。充電1回あたりの走行距離は、三菱自動車が7月から法人向けに発売するEV「アイ・ミーブ」が160キロで、日産自動車が来秋投入予定のEVもほぼ同じになる。法人向けに7月に売り出す富士重工業の「プラグイン ステラ」では90キロにとどまる。
このため、EVの利用者はこまめな充電が必要となるが、急速充電器は首都圏で首都高速道路などの40カ所、首都圏以外では約20カ所に過ぎず、充電インフラの整備が急務だ。
このため、大手スーパーやコンビニに充電器を設置する動きが出ている。
イオンでは昨年10月オープンした大型ショッピングセンター「イオンレイクタウン」(埼玉県越谷市)に急速充電器を導入。大手コンビニのローソンも8月以降、横浜市内の店舗に充電器を順次設置する計画だ。EVは急速充電器なら30分で80%の充電が可能なため、買い物中に充電してもらう。
また、時間貸駐車場「タイムズ」を運営するパーク24では、東京都と神奈川県内で運営する駐車場に19基の充電器を設置し、利用客の増加を見込む。
一方、昭和シェル石油では、神奈川県内の一部給油所に急速充電設備を設置するほか、コスモ石油も今年度中には神奈川県内の一部に充電器を配置する。
ITサービス大手の日本ユニシスも4月、充電器の利用者認証や利用データなどを管理するシステムを開発した。通信ネットワークを使って充電スタンドの位置情報の提供も視野に入れている。
政府は今年度から350万円程度の急速充電器について、購入費の半額を助成するほか、神奈川県も充電器設置に助成金を出すなど、充電器の設置を後押しする姿勢を示している。