2009年6月16日火曜日

電気自動車元年 この夏市販の2モデルの特徴は


 2009年は、電気自動車(EV)元年になりそうだ。三菱の「i−MiEV」と富士重工の「プラグイン・ステラ」が7月下旬、相次いで市販される。当面は法人向けが中心だが、個人ユーザーの手に届く日も遠くなさそうだ。この2つのモデル、同じ軽規格のEVでもかなりコンセプトが違う。それぞれの特徴をまとめてみた。(アサヒ・コム編集部)

 i−MiEVのベースになった「i」は、06年度のグッドデザイン大賞を受賞した個性派モデル。その長いホイールベースを生かし、大容量のリチウムイオン電池を床下に、パワーユニットを荷室下に配置することで、ベース車と同じ居住性を実現した。まるでEV化を想定していたかのようなレイアウトだが、「正直に言うと偶然です。ただ、ベース車のレイアウトがEVに最適だったのは間違いない」(三菱自動車の橋本徹・MiEV事業統括室長)。

 メルセデス・ベンツはAクラスの設計にあたって、燃料電池搭載モデルを想定したレイアウトを採用している。今後、バッテリーの搭載位置を考慮した車両設計が増えてくる可能性はありそうだ。

 i−MiEVの航続距離は160キロ(10・15モード)ときわめて長い。ただ、充電時間は100Vで14時間、200Vでも7時間かかる。一晩ゆっくり充電して、休日のドライブに備えるといった使い方ができそうだ。

 一方、プラグイン・ステラの航続距離は90キロ(同)と意外に短い。ただ、充電時間も100Vで8時間、200Vで5時間と短く、こまめに充電して街乗りに使うのに向いている。「EVはシティーコミューターとして使われるはず」という設計思想が背景にある。

 プラグイン・ステラの長所は居住性の良さ。軽自動車は背の高い「トール型」が全盛だが、それをそのままEVにしたのが特徴だ。高い天井、広い窓、見通しのよい運転席は快適で、実用性も高そうだ。

 両車とも、インパネはごく普通で、未来のクルマに乗っている感じがしない。たとえばホンダのハイブリッド車「インサイト」は、エコ運転の度合いをカラーグラデーションで表示したり、若葉の形のアイコンで「採点」してくれたりといった「遊び心」がある。地味なインパネは、ユーザーによっては物足りない印象を受けるだろう。

 i−MiEVの価格は459万9000円で、国の補助金139万円を引くと320万9000円。プラグイン・ステラは472万5000円で、国の補助金138万円を引くと334万5000円。自治体によってはさらに補助制度があり、神奈川県の場合はi−MiEVで69万5000円、プラグイン・ステラで69万円の補助金が交付される。また、横浜市は4月から、年間平均走行距離が6000キロ以上の車を電気自動車に買い替える場合、30万円を補助する。両車とも「エコカー減税」の対象車種で、自動車取得税・重量税は100%免除される。