2009年10月31日土曜日

ホンダはどこまで電気自動車に本気か? コンセプトカー「EV-N」の秘密に迫る

 「電気自動車は、ホンダらしくない」。

 この1年ほどの間、日本、ドイツ、ノルウェー、アメリカで筆者がホンダのエンジニア各位に取材をしていて、話題を電気自動車に振ると、皆一様にこの言葉を使った。

 彼らが「ホンダらしくない」、という根拠は以下の点が挙げられる。

①現時点で、量産可能なレベルでの、他社と大きく違った技術革新がしにくい。
②構成部品が少なくなり、他社との差異が見出しにくい。
③ASIMOによるロボット技術の研究開発は進めているが、スポーティ性を追求してきたガソリン車でのホンダのイメージを、電気自動車に結びつけていくには諸策が必要だ。

 そうしたなか、2009年8月22日(土)日本経済新聞をはじめとするメディアが、「ホンダが2010年代前半に北米で、軽自動車サイズの電気自動車を投入。プロトタイプを10月の東京モーターショーで公開」と報じた。

 そして迎えた、東京モーターショー。ホンダの展示ブース、客席側から向かって左手に、見慣れない「HELLO!」の文字。その前に、ホワイトボディの電動移動体が3つ並んだ。HELLO!とは、"H"onda "El"ectric mobility "Lo"opの略。筆者の正直な感想を言えば、かなりキツイ語呂合わせ、である。

 展示された電動移動体で、初お目見えとなったのが、先に日経新聞がすっぱ抜いた、軽自動車サイズの電気自動車、EV-N。ひと目で、往年のN360がデザインモチーフであることが分かる。

 全長x全幅x全高=2860x1475x1515mm、ホイールベースが1995mm。モーター出力、蓄電池関連の広報発表はない。その前には、これまたデザイン原型がすぐに想像がつく、カブの電動版、EV-Cub。加えて、すでに市販されている高齢者などへの医療用小型電動4輪車、EVモンパル。

 さらに舞台には、日米ですでにリース販売されている、FCXクラリティ。こちらは、これまで燃料電池車という名称を、燃料電池”電気自動”車に改名した。確かに、福井威夫・ホンダ前社長は、ホンダの電気自動車開発の可能性について聞かれると決まって「燃料電池車も電気自動車だ」と言っていた。

 そしてホンダブースの向かって右側には、筆者が東京ビッグサイトで開催(9月29日~10月1日)された、第36回国際福祉機器展で体験した医療用の「歩行アシスト」、そして9月24日報道陣公開された一人乗りの電動移動体「U3-X」が展示された。よく見ると、この「U3-X」は電気自動車「EV-N」のドアパネル内側にも搭載されていた。また、ホンダの子会社であるホンダソルテック社製の薄膜太陽電池がブース壁面に、一体3ユニット構成で、横に3つで縦に3列、掲げられていた。

 こうした既存事業や既存製品、コンセプトモデル、さらに太陽電池式の水素ステーションを組み込んで、電気・水素を介した大きなループに見たて、HELLO!と呼んだのだ。

 この他、ホンダの出展の目玉は、2010年発売予定のハイブリッド車「CR-Zコンセプト」。

 これはインサイトをベースに、エンジン排気量を1.3リッターから1.5リッターに拡大し、ハイブリッド車としては初となる6速マニュアルトランスミッションを採用した。ボディデザインとしては1年前から世界各地のモーターショーで展示されており、スポーツカーファンから「ホンダらしい、次世代車の提案だ」と好評を得てきた。

 今回のショーで、トヨタは、レクサスLFA、FT-86コンセプトなど、ガソリン車スポーツカーを前面に押し出した。プラグインプリウスや電気自動車コンセプトモデル・FT-EVIIを、その援護射撃に使った。日産は、電気自動車リーフを中核として、ハイブリッド仕様の登場する新型フーガや、GTR、Zなどが援護射撃をした。

 対するホンダには、お蔵入りしてしまったスーパースポーツ、次期NSX再生の動きはなく、同ブース全体が「緩やかな電動化の流れ」を醸し出していた。

 では、ホンダはどこまで、電気自動車に本気なのか?

 筆者は1997年、ホンダがリース販売した電気自動車「EVプラス」をロサンゼルスで数日間、試乗したことがある。また、燃料電池電気自動車こと、FCXクラリティが試作車FCXだった頃、カリフォルニア州内各地で試走し、研究開発者たちの声を拾ってきた。そうした過去の体験を踏まえて、HELLO!全体のデザイン構想を担当した、本田技術研究所・四輪R&Dセンターデザイン開発室クリエイティブ・チーフデザイナー、澤井大輔氏に聞いた。

 まず、HELLO!はホンダグループ内における、統括部署や特別プロジェクトなのか?

 澤井氏は「まだ、そこまでは至っていない。今後、どのようにまとまっていくかは分からない。(それは)我々にとっても興味深いことだ。(現行の)クルマが電気自動車になるのか、その場合の(満充電での)走行距離は? または、歩くところから発想したことが、EV(=電気自動車)的なモビリティになるのか。例えば、モンパルはこうしたモーターショー会場内でも走行可能。電気自動車は様々なステージで発展する可能性がある。それをこれから考えていく」と語った。

 つまり、今回のHELLO!のプレゼンは、ホンダの電気自動車構想の方向性をハッキリとさせた、というものではない。あくまでも、世界自動車産業界大変革の流れのなかで、「ホンダも変わろうとしている」という意思表示に過ぎない。

 HELLO!展示各展示車両の開発は、FCXクラリティとEV-Nは和光研究所・栃木研究所の四輪部門、EV-Cubは二輪部門、EVモンパルは汎用機部門、U3-Xと歩行アシストは基礎研究部門がそれぞれ独自開発を行っている。それを「電気」というくくりでデザインイメージ統括するのが、澤井氏の使命である。

 では、話題を電気自動車EV-Nに絞る。

 日産がリーフという、Cセグメント(コンパクトカー)の大きさ感を提案。トヨタはiQのイメージをさらに小型化した大きさ感。ホンダはトヨタに近い、こうした大きさ感を採用したが、その意図は何か?

 「まず、ミニマムモビリティでどうあるべきか? 大人が4人でどこまでつめて乗れるか?を検証した。いまの時代、車内が広いほうが、ポジティブな商品イメージをもたれる。小型化は技術として必然だが、お客さんの価値観と反する面がある」(澤井氏)。

 電気モーターの搭載位置は、車体前部(通常のエンジン搭載位置に近い)。バッテリー(リチウムイオン二次電池のイメージ)は、フロントシートの下にT字型で配置するイメージ。「フィットのセンター(燃料)タンクの位置にバッテリーがあるイメージ」(澤井氏)という。

 また、EV-Nをそのまま量産化することはない。「まだ、デザインスタディである」(澤井氏)と主張する。

 ただ、2010年前半に市販される予定の量産型電気自動車の商品方向性としては、ホンダはトヨタに似ている。「身近な生活圏内での普段の足であれば、この大きさ感で、搭載バッテリーは小さくなる。都市間移動は、FCXクラリティのステージだ。トヨタとは、アウトプットが同じ方向性にあると思う」(澤井氏)。

 筆者は著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」のなかで、図表によって「ホンダ・トヨタ」が、「日産・オバマ政権下の米メーカー群」と、電気自動車の早期市場導入において対立の図式にある、と解析した。この構図が、世界自動車産業界再編のキーポイントであると書いた。今回の東京モーターショーにおいて、ホンダ、トヨタ、日産の電気自動車担当者に直接取材した結果、やはり「ホンダとトヨタは、電気自動車の本格導入にコンサバ」という流れは変わっていなかった。

 ホンダ、トヨタがコンサバになってしまう最大の理由は、急速充電器などの国際標準化がいまだに確定せず、米中政府の思惑によって、この案件は今後、二転三転することが予測されるからだ。さらに、中国ではリチウムイオン二次電池のセル、モジュール、電池パックなどの形状、容量などについても独自規格を打ち出す動きもある。とはいえ、2012年の米カリフォルニア州ZEV(ゼロエミッションビークル)規制に対応するため、ホンダとトヨタは北米での電気自動車導入はMUSTだ。そうした現状を踏まえて、ある意味の妥協案が、今回のEV-N及びHELLO!なのだ。

 こうした電気自動車を取り巻く現状について、澤井氏はこう述べた。

 「急速充電器の正確なイメージがない状態だ。EV-Nでは100V,200Vに対応した充電ソケットが、ガソリン車の給油口のイメージでデザインされている。現在は、(ホンダとして電気自動車に対して)待ちというと誤解があるが、(開発の方向性を)ひとつに絞れない。(規格が変われば)デザインを含めて全てが代わってしまう。(今後、ある時点で開発の方向性は)急に見えてくるのではないか。電気自動車開発は、やらなければならない状況だ。だが、現時点でこれだ、とは言えない状況だ。まずは、ガソリン車とハイブリッド車で燃費を向上させることが第一だ。その次の技術として、電気自動車がある。そこには、社会のインフラ、発電のシステムが連動し、革新的にモビリティが一気に代わると思う。(プラグインハイブリッド車については)、今回はハッキリ出来なかったが、次世代のハイブリッド車が提案出来る時に考えたい」。

 最後に余談として、先ごろ国土交通省から通達があった、電気自動車走行中の歩行者に対する発生音について、デザイン側として、何か提案がないかと聞いた。

 「あくまでも個人的な意見だが…。先ほどブース展示を見ていて感じたのだが、ASIMOの声はどうか?」。

 2012年頃、北米で走行するホンダの量産型電気自動車が、「Be careful, I am approaching (お気をつけ下さい。近づいていますよ)」と、しゃべることになるかもしれない。

2009年10月30日金曜日

BMW、7シリーズのハイブリッドカーを発表

 ビー・エム・ダブリューは29日、BMW7シリーズにV型8気筒エンジンと電気モーターを採用したハイブリッドモデル“BMW アクティブハイブリッド7”を設定し、予約受付を開始した。納車は、2010年初夏が予定される。

 BMW初のハイブリッドモデルとなるBMW アクティブハイブリッド7は、4.4リッターV8直噴エンジン(449ps、66.3kg−m)に、モーター(20ps、21.4kg−m)と8速ATを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。0−100km/hを4.9秒で駆け抜ける加速性能と、同排気量のガソリン車と比べ約15%の燃費向上を実現した。


 このハイブリッドシステムは、一般的にマイルドハイブリッドと呼ばれるタイプで、モーターはエンジンのアシスト役を果たす。モーターのみでの走行やエンジンによる発電が可能なプリウスなどのシステムとは異なり、構造はシンプル。約15%の燃費向上を果たしつつも、メカニズムが軽量コンパクトな構造のため重量増を最小限におさえられ、室内スペースも侵食しないことが特徴である。

 バッテリーは高効率なリチウムイオン式。重量は27kgと軽く仕上がっており、車両後部を搭載。トランクルームはべース車と同様のスペースが確保されている。

 信号待ちなどで止まるとエンジンが停止し、ブレーキペダルから足を離すと瞬時に再始動するハイブリッド・スタート/ストップ機能を装備するほか、炎天下に駐車した場合に室内温度を下げられるBMW初の“リモート・クライメート・コントロール機能”が標準装備される。

 バリエーションは、標準ホイールべース仕様の“BMW アクティブハイブリッド7”と、ホイールベースを140mmストレッチしたロングボディ仕様“BMW アクティブハイブリッド7 L”の2タイプが設定される。

 ステアリング位置は、左ハンドルのみ。

・BMW ActiveHybrid 7:1280万円
・BMW ActiveHybrid 7 L:1405万円

2009年10月28日水曜日

ガリバー、米EVベンチャーの販売促進 中古「テスラ」来春発売へ

 中古車買い取り販売のガリバーインターナショナルは、米シリコンバレーに本社を置く電気自動車(EV)のベンチャー「テスラモータース」のスポーツカータイプのEV「テスラロードスター」の中古車を入荷、来春にも発売する。価格は1000万円程度の見込み。1回の充電で約390キロ、最高時速200キロを誇るのが売りだ。ガリバーは今後、日本で販売網を持たないEVベンチャーの販売促進に取り組む。

 テスラロードスターは英ロータス社の「エリーゼ」をベースに開発されたスポーツカーで、2人乗り。約6800個のリチウム電池を搭載し、家庭用電源で充電できる。電気代は1マイル(約1.6キロ)の走行で2セント(約2円)以下という。08年の発売以降、700台以上の販売実績がある。

 試乗すると、シートは硬かったが、走行時の振動や雑音がなく、乗り心地は悪くない。スポーツカーらしいダイナミックな走りとEVの静寂性を兼ね備えているといえそうだ。

 テスラ社では、500万円程度のセダンタイプのEV「モデルS」を2011年以降に年間2万台規模を生産する予定で、日本での販売も計画している。

 ガリバーは8月、EV開発を手がける新会社を設立。国内に販売網を持たないEVベンチャーのEVをネット販売する計画も進めており、EV普及に取り組んでいる。

2009年10月24日土曜日

東京モーターショー2009 速報!<マツダ・スズキ・ダイハツ編>

最後は、マツダ・スズキ・ダイハツをご紹介する。


■マツダ 清(きよら)
参考出品
『マツダ 清』は、次世代直噴ガソリンエンジン『マツダ SKY-G1.3』と、コンパクトで軽量な新開発の6速オートマチックトランスミッション『マツダ SKY-Drive』を組み合わせ、優れた環境性能と力強い走りを両立させたコンパクトコンセプトカー。





 独自のアイドリングストップ技術「i-stop」や、減速時のエネルギーを回生してバッテリーを充電するシステム、そして100kgの軽量化を達成するコンパクトで空力性能に優れたボディなどにより、32km/Lという超低燃費(10・15モード燃費)を実現する。







■スズキ スイフト プラグイン・ハイブリッド
参考出品
「スイフト プラグイン・ハイブリッド」は、日常の必要最小限の距離を電気自動車として走ることを基本コンセプトとし、駆動用モーターとバッテリー、及び発電用のエンジンを搭載した生活密着型のシリーズ式ハイブリッド車である。

 近場の買い物や毎日の通勤といった近距離の移動では、家庭電源から充電されたバッテリーの電力で電気自動車として走行し、バッテリーの残量が少なくなった場合、軽自動車用エンジンによる発電により、バッテリーに電力の供給が可能。

「通勤や買い物に利用し、その距離は20km程度」というユーザーが多い中、「電気自動車ではバッテリーが切れたら、動けなくなってしまう。」という不安がなく、充電スタンドを探す手間もないという。
「スイフト プラグイン・ハイブリッド」は、誰もが手軽にエコロジーに貢献しながら、日常ご利用いただけることを目指した車である。




■ダイハツ イース
参考出品
 軽自動車の今後の役割を示す「新たなエコカー」の提案が『イース』。

 現行のプラットフォームをベースに、ホイールベースを2,175mmまで短縮。小さくても大人4人が着座可能な4シーターインテリジェントパッケージだ。




 また、更なる車体のコンパクト化に加え、薄型軽量シートの採用や各部材の材料置換等の徹底した軽量化により車両重量を700kgに抑制したり、既存のエンジンをベースに当社独自の燃焼制御システムとEGRシステムを組合せ、アイドリングストップシステムを搭載するなどして、モーターアシストを使わずに30km/Lの低燃費を記録している。

東京モーターショー2009 速報!<スバル編>

次に紹介するのはスバル。


■プラグイン ステラ フィーチャリング ビームス
参考出品
 この夏より日本で販売を開始したプラグイン ステラをベースに、有名セレクトショップ“ビームス”の遊び心溢れるデザインにより、電気自動車を使うことの楽しさを表現した。







 プラグイン ステラは、小型軽量なボディに電動パワーユニットを収め、ビジネスや日常での利便性を追求し、シティコミューターとして高いエネルギー効率を追求した電気自動車である。








■スバル ハイブリッド ツアラー コンセプト
参考出品

 彫刻的なエアロフォルムの中に、上質な室内空間と、水平対向エンジン、そしてシンメトリカルAWDを核に長年培ってきたスバル独創の確かな走りのDNAを凝縮し、独自のハイブリッドシステムを組み合わせ、環境性能をさらに高めた将来のグランドツーリングカーが、スバル ハイブリッド ツアラー コンセプトである。

主な特徴としては、 AWDでありながらフラットなフロアを実現し、足元空間を確保すると同時に、車内移動などの使い勝手も向上。ウインドウには特殊なシールド加工を施し、運転者の目の疲れを軽減。シートには通気性に優れた新開発レザーと空調機能を採用し、上質感と快適性を備える。

 パワーユニットは、2.0ℓ水平対向直噴ターボガソリンエンジン+リニアトロニック(CVT)に加え、2モーター方式のハイブリッドシステムを採用。燃費効率が悪化しやすい発進時や車庫入れなどの極低速時には、リヤモーターによる駆動を行い、エンジンの動力を使用することなく走行し、周辺環境への配慮と燃費効率を高め、通常走行時には主にエンジンを使用し、直噴ターボガソリンエンジンとAWDを組み合わせた巡航を楽しめる。

 搭載する電池には高性能リチウムイオンバッテリーを採用し、既に市場展開を始めている電気自動車プラグイン ステラでの経験・ノウハウを活かし、回生ブレーキ制御などのきめ細やかなエネルギーマネージメントシステムによって、高い燃費効率を実現させる。

 その他、スバル独自の先進運転支援システム「EyeSight」と、車車間・路車間通信技術とを融合し、事故リスクの予見・検知性能を大幅に進化させた、クルマに乗る人にさらなる安心・安全を提供する次世代運転支援システムも装備されている。

東京モーターショー2009 速報!<ミツビシ編>

今度は三菱自動車をご紹介。


■ピーエックス ミーブ
参考出品
 EV走行を大幅に拡大した新開発「三菱プラグインハイブリッドシステム」を搭載し、50km/L以上の超低燃費を実現したピーエックス ミーブ。また、後輪左右のトルクを移動する新開発S-AWCも搭載し、高い環境性能と走行性能を両立させた新世代クロスオーバーのコンセプトカーである。

「SOLID(ソリッド)」「SAFETY(セーフティ)」「SIMPLE(シンプル)」をコンセプトに、シンプルな佇まいを創出した新時代のクロスオーバーとして相応しいエクステリアデザインである。

 インテリアは、航空機のコクピットをイメージさせ、ドライバーの運転への集中力を高めるデザインとした。また、インストルメントパネル全体とドアトリムに、柔らかい発光のLEDイルミネーションを採用することで先進性を表現した。

 前輪、後輪を駆動する2つの永久磁石式同期モーターと、高速域での前輪の駆動力をサポートするとともに発電機としての役割を持つ1.6L DOHC MIVEC ガソリンエンジンを搭載。走行状況や駆動用バッテリーの容量に応じて、モーターとエンジンを最も効率的に使用するよう最適なモード切換えを行う「三菱プラグインハイブリッドシステム」を新たに開発。また、駆動用バッテリーの常時モニタリングによりバッテリー容量に応じた最適な充放電を制御するとともに、最適な走行モードを選択する新開発のMiEV OS(MiEV Operating System)を採用。省エネルギーを図りながら快適で安全・安心な走行を実現した。さらに、駆動用バッテリーの電力の有効活用を目的に、その電力の一部を家庭用電力として利用したり、災害時の緊急用電源として使用する給電モードも新たに設定した。


■アイ・ミーブ カーゴ
参考出品
『i-MiEV』をベースに、高い環境性能や優れた経済性といった電気自動車ならではの特長を生かすと同時に、法人や個人事業主向けなど、使用用途を広げるための広大なフリースペースを車体後部に設定した。






 このフリースペースは、お客様の豊かな発想で自由に使える空間とするため、スペース効率の良いスクエアな空間とした。
 これにより、スペースが求められるビジネス用途はもちろん、趣味やレジャーに至るまで、様々なシーンでお客様のニーズに応える電気自動車となっている。

2009年10月23日金曜日

東京モーターショー2009 速報!<ニッサン編>

次は、日産をリポートしよう。


■リーフ
世界初の量産を前提とした電気自動車
 クリーンなイメージと、知性を感じるデザインに、最高の空力と風音性能を実現するボディと、革新的で独創的な5人乗り5ドアハッチバックのパッケージングのリーフ。

 90kW超の出力を発生するラミネート型コンパクトリチウムイオンバッテリーと、80kW/280Nmを発揮して前輪を駆動する電気モーターを搭載する「リーフ」の加速は驚くほど速く、しかも異次元の静かさにより全く新しい感覚の運転の楽しさを味わうことができる。

「リーフ」のパワートレインは、新型リチウムイオンバッテリーと回生協調ブレーキシステムの搭載により、1回のフル充電で160km(100マイル)以上の航続距離が得られる(*US LA4モード)。

 さらに急速充電器を使えば、10分で約50km走行分の充電をすることが可能。家庭で充電する場合も200Vの普通充電で電池容量0%から満充電まで約8時間であり、ひと晩充電すれば、翌朝には運転する準備が整う。

 ボディは高剛性の車体構造により、ノイズや振動の車内への侵入を大幅に軽減しており、また、床下にコンパクトなリチウムイオンバッテリーパックを配置したことにより、大人5人が快適に乗れる室内空間と特Aサイズのスーツケースが載る十分なラゲッジスペースを実現した。

 また、始動時のスタートアップサウンドを専用に開発し、エンジン始動音に代わる音として採用するなど、最新鋭の技術が盛り込まれている。


■カザーナ
参考出品
 革新的なデザインによる全く新しい5ドア小型クロスオーバーカー。

「カザーナ(QAZANA)」は、"混沌とした都会の中に突如現れる異性体"をイメージしている。
大きく張り出したフェンダーが特徴的なエクステリアデザインと、モーターバイクのイメージから生まれたインテリアデザインだ。



 カザーナの個性的なデザインは、機能性も追求されたものであり、センターピラーレスの観音開きドアはデザインの特長であるだけでなく、後部座席への乗降性も配慮している。また全長4,060mm、全幅 1,780mm、全高 1,570mmとコンパクトなボディは、街中でも運転しやすいサイズだ。





 インテリアのトリムの中からボディの骨組みがそのまま突き出て来たようなデザインは、モーターバイクの構造をイメージさせる。
センターコンソールは、バイクの燃料タンクとシートのようなデザインになっており、バイクで走る時に感じる一体感をQAZANAのコクピットに応用したもの。インストルメントパネルの中央に配置された大型のタッチスクリーンは、GPSナビゲーション情報や通信機能のほか、先進の電子制御四輪駆動システム「ALL(オール) MODE(モード) 4x4」の情報を表示することも想定しているようだ。


■ランドグライダー
参考出品
 ランドグライダーは、都市内でのかつてない機動性や俊敏性、今までに無いドライビングの「ワクワク」感をもたらすゼロエミッションのパーソナルモビリティーの新たな可能性を提案している。







 タンデムに配置された2つのシートを覆うグライダーのようなグラスキャノピーや、リーン機能に連動して動く可動式フェンダーは非常に特徴的であり、日産のゼロ・エミッション車のファミリーが共通して持つクリーンでフレンドリーな印象も合わせ持ちながらも、ひときわ個性的で親しみやすいエクステリアデザインを目指している。



 室内は繭(Cocoon)に包まれたような安心感と、高い品質感を追求。また、急なカーブに大きくリーンする際にも乗員の身体をしっかりと支えることができる、ホールド製の良いシートを採用した。






 ランドグライダーは、ステアリングが電気的に接続されている「バイワイヤ」技術 と、コーナリング時に車体を傾けるようなリーン機能によって、車体を最高17度まで傾けることが可能。搭載されたセンサーが、走行速度・舵角・ヨー率を感知してコーナリングに最適な傾斜角度を即座に算出し、コーナーをシャープに、スムーズに曲がることができる。

 よって、ドライバーはステアリング操作をするだけで、車体が自動的に最適な角度に傾いてくれます。機能性や駐車時の利便性、滑らかで未来的な外観をもつナローボディーはリーン機能によって実現、さらに新しいドライビングのワクワク感をも提供する。

 また、ランドグライダーには非接触式の充電システムが搭載され、近い将来、スーパーマーケットや高速道路のサービスエリアなどにインフラが整備されることにより、車体を充電器に接続することなく充電することが可能となるようだ。

東京モーターショー2009 速報!<ホンダ編>

次はホンダをご紹介しよう。


EV-N
参考出品
コンパクトシティコミューター《EV-N》。往年のN360を彷彿とさせるような懐かしいデザインと、コンパクトでスクエアなフォルムが親近感を涌かせる。

 小さいながらも4座のEV-Nは、《LOOP》によって人とのコミュニケーション機能を持たせたり、ルーフにソーラーパネルを備え、予備電力をまかなうなど、最新鋭の技術も盛り込んである。



その他、シートバックが脱着式になっており、好きなデザインにアレンジできるなど、オシャレ感覚も満載のEV-Nは、これからのEVカー時代をイメージしやすいパッケージングだ。







CR-Z concept
参考出品
 ハイブリッドカーを身近な存在にしたHondaが、その楽しさをさらに広げるために提案する新感覚ハイブリッド、それが《CR-Z CONCEPT 2009》。

「低・短・ワイド」パッケージに、1.5L i-VTECエンジン+小型・軽量・高効率を追求したHonda独自のIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を搭載。


 見る人の感情を揺さぶる、先進かつ官能的なフォルムな上に、スポーツ感覚を楽しめるハイブリッドカー初の6速マニュアルトランスミッションを組み合わすなど、さすがはホンダ、ハイブリッドカーでも低燃費で運転を楽しくさせる意向は頼もしい。





SKY DECK
参考出品
 クルマ選びの基準を、もっと自由に広げることはできないか。このような想いから生まれたのが、《SKYDECK》。
めざしたのは、幅広い年齢層と一人ひとりの趣向性に応えるクルマのようだ。

 パワーユニットには、ハイブリッドシステムを採用。その上で、誰にでも扱いやすいコンパクトなボディサイズに、多人数での移動にも、趣味の道具を積んでの移動にも、フレキシブルに応える空間を創り出した。

 そこには、今まで培ってきたステップワゴンの低床技術も盛り込んであるようで、ハイブリッドユニットをセンタートンネルに収納し、独立2座の2列目シートレイアウトを工夫することで、全方位でゆとりある空間を造り上げている。また、3列シートは床下にダイブダウンし、フラットで広大な荷室スペースも現れるという、期待のハイブリッドワゴンだ。

東京モーターショー2009 速報!<レクサス編>

次はレクサスをレポートしよう。


■LF-Ch
参考出品
 先進性と躍動感を両立するハイブリッドシステム搭載のプレミアムコンパクト2BOXである。

 LEXUSのデザインフィロソフィー「L-finesse」*1を具現化したエクステリアならびにインテリアデザインという事で、5ドアのコンパクトなパッケージながらも、全長 4,300mm、全幅 1,790mm、全高 1,400mmというディメンションの通り、ワイド&ローが強調されたフォルムは、意外にも迫力がある。


 また、卓越した動力性能と環境性能を両立する“レクサス・ハイブリッド・ドライブ”により、「走行性能」、「静粛性」、「低燃費とCO2の削減」、「低エミッション」を高次元で追求している。

*1 L-finesse : Leading-Edge(先鋭)とFinesse(精妙)を組み合わせた造語。「先鋭‐精妙の美」




■LFA
参考出品
 LFAは、LEXUSブランドのプレミアムスポーツを示す“F”の頂点に立つクルマとして、運転する楽しさがもたらす「感動・官能」を極限まで追求し、ドライバーの意思にしっかりクルマが反応することで生まれる一体感に加え、限界領域でのクルマの安定感がかもし出す懐の深さなど、LEXUSのエモーショナルな世界を広げる非日常的な性能を高い次元で実現している。




 具体的には、エンジンの最高出力やボディの空力特性といった基本性能を追求するとともに、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間に車両全体が呼応するようなレスポンスや高回転エンジンによる途切れることのない加速感、人車一体となったハンドリング性能、表情豊かに奏でられるエンジンサウンドなど、人の五感を刺激する官能性能も徹底的に鍛え上げている。




1.優れた基本性能を実現する車両パッケージング
▽小型・軽量化した新開発V10 4.8Lエンジンの搭載や、高いボディ剛性と軽量化を両立するCFRP*1材の車体骨格などへの採用により、車両の重量低減、重量配分の最適化を実施し、卓越したレベルのパワーウェイトレシオ(2.64kg/PS*2)とトラクション性能を実現。

▽エンジンやトランスミッションなどの重量物のホイールベース内側への配置に加え、軽量なCCM(Carbon Ceramic Material)ブレーキディスクの採用などによる慣性モーメントの低減とともに、エンジン配置の徹底した低重心化により、優れた運動性能や車両安定性を実現。

▽センタートンネル幅の縮小やリヤトランスアクスルの採用などにより、乗員を前後車軸間の中心及び左右中央寄りに配置し、ドライバーが車両の挙動を直感的に感じやすい車両重心付近にドライビングポジションを設定。

2.非日常的な走りを具現化する官能性能
▽チタン製コネクティングロッドや吸排気バルブ、DLC*3コーティングを施した超軽量ロッカーアーム、クランクケース各室独立構造などを採用した新開発エンジンの搭載により、レッドゾーン9,000rpmまで途切れることのない力強い加速感を実現。

▽気筒ごとに独立した電子制御10気筒独立スロットル、シフト操作に俊敏に反応する6速ASG(Automated Sequential Gearbox)などにより、ドライバーの意思に素早く反応する高いレスポンスを実現。

▽フロントにダブルウィッシュボーン式、リヤにマルチリンク式のサスペンションを採用。フラットでしなやかな走りを実現したほか、軽量・高剛性なCFRPキャビン、専用チューニングのスポーツモード付VDIM*4などとあわせ、人車一体となったハンドリング性能を追求
▽徹底した音作りにより圧倒的な存在感を示すサウンドを実現。サウンドのベースとなる排気音は、 エンジン回転数の高まりとともに吸気音が重なり、美しい和音を演出。

▽エクステリアデザインは、「L-finesse*5」に基づき、乗員を中心に配置した独自のFRプロポーションと、CFRPキャビンの特性を活かしたエアロダイナミクスをボディ全体で表現。

【販売概要(予定)】
1. 販売台数:全世界で限定500台
2. 販売価格:375,000ドル程度 (国内でのメーカー希望小売価格は3,750万円程度)
3. 購入希望受付開始:2009年10月21日(水)
4. 購入者決定時期:2010年春頃
5. 生産期間:2010年12月~2012年12月
6. その他: 標準モデルに加え、スペシャルモデル(2012年年初から生産開始)として新色を設定した仕様や、よりサーキットでの走行を意識した仕様も販売

という事で、フェラーリやポルシェ等のスーパースポーツとも堂々と張り合える純国産スーパーカー『LFA』に大いに期待したい。

東京モーターショー2009 速報!<トヨタ編>

明日より一般公開される東京モーターショー2009。
それに先立ってプレス向けに公開された際の模様をお知らせしよう。

■PRIUS PLUG-IN HYBRID Concept
<参考出品>
 トヨタ車の駆動用バッテリーとしては初めてリチウムイオン電池を搭載し、家庭用電源などからの外部充電を可能とする3代目プリウスをベースとしたPHVのコンセプトモデルである。







 PHVは、バッテリーの残存量や充電インフラの整備状況にかかわらず使用可能であり、電気エネルギーの利用促進によりHVを上回る燃費改善、化石燃料の消費抑制、CO2排出量削減、大気汚染防止などが期待できるようだ。






 PRIUS PLUG-IN HYBRID Conceptでは、燃費性能55km/L以上(CO2排出量42g/km以下)、満充電でのEV走行距離20km以上を目標値としている。充電時間については、100Vで約180分、200Vで約100分を目標としている。







■FT-86 Concept (Future Toyota - 86 Concept)
<参考出品>
 クルマ本来の運転する楽しさ、所有する歓びを提案する小型FRスポーツのコンセプトモデル。







 ドライバーがコントロールしやすいコンパクトなサイズ感、軽量・低重心な車両特性とレーシングカー感覚のドライビングポジションがもたらす意のままのハンドリング性能、エモーショナルでユーザーの心をとりこにするスタイリングが特徴となる。

 新時代のスポーツカーにふさわしい2L水平対向4気筒自然吸気ガソリンエンジンと空力に優れた軽量ボディにより、高出力と環境性能を両立している。

 ボディカラーの青みをさしたFLASH REDとともに、インテリアの構造部位を“極限まで鍛え抜いた体に最小限のカバーを着せる”イメージで各種機能をモダンに表現するなど、走りに対する熱い想いを具現化している。







■FT-EV II(Future Toyota - Electric Vehicle II)
<参考出品>
 モビリティの用途・使用するエネルギーの特性・供給インフラの整備状況に応じて、最適なモビリティを賢く使い分け、EVが普及する未来のモビリティ社会を想定した、都市生活において使い勝手の良いパッケージを特徴とする近距離移動用の小型EVコンセプトモデル。





 iQよりコンパクトな専用ボディに、4名乗車が可能な超高効率パッケージを実現している。また、ドライブバイワイヤ技術により、アクセル・ブレーキ・ステアリング全ての機能をスティック操作で制御。アクセルペダルやブレーキペダルをなくしたことで圧倒的な足元スペースを確保。

 フロントカウルの高さを低く設計できるため、フロントウィンドウ下にエクストラウィンドウを設け、優れた前方視界を確保。シースルーのLEDリヤコンビネーションランプとともに周囲の安全に一層配慮している。

 その他、両側電動スライドドアを採用し狭い駐車スペースでの乗降性の向上、最高速度は100km/h以上とし、満充電で日常の使用に充分な90km以上の航続距離を確保、トヨタの環境コア技術であるハイブリッド技術で培ったモーター制御技術を活かし、高い静粛性と滑らかな加速で心地よい走りを実現させている。

2009年10月6日火曜日

東京モーターショーへトヨタが超小型EVなど出展 技術力で存在感

 トヨタ自動車は6日、今月下旬に開幕する東京モーターショーへの出展概要を発表した。世界初お目見えとなる超小型電気自動車(EV)のほか、家庭でも充電可能なプラグインハイブリッド車(PHV)、富士重工業との共同開発スポーツカーのコンセプトカーなどを展示。あらゆるレベルでの先進技術をアピールし、自動車業界の牽引役としての存在感を見せつけた。


 超小型EVのコンセプトカー「FT-EVII」は、同社の超小型車「iQ」よりもコンパクトサイズで、全長2730ミリ、全幅1680ミリ、全高1490ミリの4人乗り。ブレーキやアクセルがなく、バーを握って、手で全ての操作を行うのが特徴だ。両側のドアは狭い駐車スペースに停車した場合を考え、前後に動く電動スライド式とした。

 充電には100ボルト電源で7.5時間ほどかかる。フル充電での走行可能距離は90キロ程度で、最高速度は時速100キロ以上。ルーフにはソーラーパネルを搭載し、ヒーターや空調の稼働に使う。

 トヨタによると「子供の送り迎えなど、都心での近距離移動手段として使用してほしい」という。同社は2012年にもEVを米国市場へ投入する方針で、「FTーEVII」をEVのあり方の一つとして提案したいとしている。

 一方、PHVは、ハイブリッド車(HV)新型プリウスをベースに作られており、今年末から日米欧に投入される。コンセプトカーはすでに、今年9月中旬フランクフルト国際モーターショーでも展示されている。

 燃費性能は1リットル55キロ以上で、現行のプリウスより20キロ近くアップする。電気モーターだけで動くEV走行の距離は20キロ以上を目指す。充電時間は、100ボルト電源で180分、200ボルト電源で100分。トヨタは「短距離のEVとは違い、長距離走行を担う役割を果たしてほしい」とする。

 このほかにも、富士重工と共同開発した4人乗りのスポーツカー「FT-86コンセプト」も展示。富士重独自の技術である低重心の水平対向エンジンを使用しており、車体のコンパクト化をはかるなどした。「操作のしやすさを追求し、運転の楽しみと環境性能を両立させた」としている。