マツダは29日、ガソリンエンジンだけでハイブリッド車(HV)並みの燃費性能を誇る次世代エコカーを2015年前後に発売する計画を発表した。燃費はガソリン1リットル当たり32キロが目標。試作車の「清(きよら)」を10月24日から千葉市の幕張メッセで一般公開が始まる「第41回東京モーターショー」に出展する。
ロータリーエンジンなどで培った技術を駆使し、ガソリン車の性能を飛躍的に高めることで、HVや電気自動車(EV)に対抗していく。
「清」は排気量1300ccの小型車で、昨年10月のパリ国際モーターショーでコンセプトカーとして出展された。今回は、世界初公開となる燃費性能を大幅に向上させた新型エンジンを搭載。独自のアイドリングストップ技術「アイ・ストップ」のほか、減速時のエネルギーを活用しバッテリーを充電するシステムなどを採用する。
市販の段階で、現在のHVと遜色(そんしょく)ない燃費性能が可能という。
次世代エコカーをめぐっては、ライバル各社は、HVに続く、本命としてHVに注力している。これに対し、マツダは2020年の段階でもEVの本格的な普及は進まないと予測。「すべての動力の基本となるエンジンの徹底的な効率化が必要」(羽山信宏専務)と判断し、ガソリン・エンジンの燃費向上に経営資源を集中する方針だ。マツダでは、ガソリンに代わる次世代エコカーとしては、水素燃料自動車の開発に力を入れている。
トヨタ自動車やホンダもEV普及には時間がかかるとみて、当面はHVを主軸に据える戦略だ。これに対し、日産自動車はHVをつなぎと位置づけ、EVに注力している。