小型のノートパソコン程度の発電機
「晴天時は約1時間のソーラー発電で、携帯電話の連続通話約40分相当の充電が可能です」。三洋電機が8月10日に発売した新商品「ポータブルソーラー」は、持ち運びが可能な携帯太陽光発電機(太陽電池)としての性能をこうアピールする。これまでも持ち運びが可能な同社の太陽電池はあったが、新商品は大幅な小型・軽量化に成功した。大きさは小型のノートパソコン程度となり、重さは従来品の約800グラムから約490グラム(ソーラーパネル2枚のセット)、約300グラム(同1枚のセット)と軽くなった。店頭想定価格はパネル2枚のセットが1万4000円程度、1枚セットが9000円程度という。
ノートパソコンのように専用ケースからソーラーパネルを取り出し、日当たりのよい屋外や窓際に置けば、内蔵のリチウムイオン電池が充電を始める。その電力を単3形や単4形はじめ同社が得意とする充電式電池に蓄えれば、懐中電灯やラジオはもちろん、携帯電話や電動自転車など様々な電気製品の電源として使うことができる。
20~30歳代中心にエコに関心のあるユーザーに人気
持ち運びが可能な太陽電池は6月、ひと足早くシャープが携帯電話に採用し、話題を呼んだ。AuブランドのKDDIから国内初の太陽電池携帯端末として発売した「ソーラーフォン」だ。「太陽に10分当てれば、1分間の通話が可能」とされ、晴天時にビジネスマンが携帯電話を充電しながら取引先まで移動するなどといった使い方ができそうだ。
このシャープ製の携帯電話はソフトバンクモバイルが8月中旬、NTTドコモも9月に発売する。業界関係者によると、「ソーラーフォンは20~30歳代を中心にエコに関心のあるユーザーに人気が高い」という。電卓の電源が乾電池ではなく、ソーラーパネルになったように、携帯電話も太陽電池が主流という時代が遠からず到来するかもしれない。
自動車の世界では、トヨタ自動車の新型プリウスのルーフに京セラ製のソーラーパネルが搭載され、室内の換気などの電源として使われることが話題を呼んだ。ホンダはルーフに取り付けたソーラーパネルで発電し、電気自動車の動力として活用する研究を進めている。
30日投開票の衆院選は、民主党が自民党を上回る地球温暖化ガス削減目標を掲げ、政権奪還を目指す。これまで大手電機メーカーなどは技術的に次世代エネルギーを開発できても、コスト高で商品化できないのが現実だった。ところが、時代のキーワードは「エコ」。時代を先取りした商品が企業イメージを高め、売れるとあらば、メーカーが商品化に取り組むのは当たり前とも言える。政府の「エコポイント制度」のような政策的な後押しが衆院選後に加速すれば、太陽光発電のさらなる技術革新とコスト削減が進む可能性が高い。