●パワフルな新型ゴルフ
トレーニングは約2時間。今回は東京・お台場を出発し、首都高速に乗って大井埠頭を往復する約12キロのコースが使われた。教室で簡単な説明を受けたあと、4月に発売されたばかりの6代目ゴルフ・TSIハイラインに乗ってさっそく出発する。
「まず1周目はふだんの運転で走って下さい」。インストラクターを務めるモータージャーナリストの佐藤久実さんにうながされ、とりあえず何も考えずスタート。わずか1.4Lのエンジンはとにかく静かで、ターボとスーパーチャージャーが両方ついているだけに低速域で力強い。7速のDSGトランスミッションが小気味よくシフトアップしていく。ハンドルわきのパドルシフトは使わず、D(ドライブ)レンジに入れっぱなしのオートマチック走行だ。
●早めにアクセルを戻す
「では2周目。いくつかの点に注意して運転してもらいます」。このコースは発進後、すぐに一時停止がある。2000回転ぐらいでアクセルを止め、できるだけ早めに戻せ、という。前方で止まることが分かりきっている場合、加速して減速するのはいわば無駄。加減速をなるべく少なくするのが第一のポイントだ。
とはいえ、アクセルはとにかくゆっくり踏めばいい、というわけでもないらしい。のろのろ加速していると、結果的に加速に使っている時間が長くなり、安定した回転数で走っている時間が減る。トランスミッションにもよるが、ギアがなかなか上がらず、かえって燃料を消費してしまう。
なお、VWジャパンでは積極的には推奨していないが、停止する前からニュートラルに入れてしまい、惰性で走る方法も欧州では知られているという。
●高いギアで低回転に
首都高速に入り、スピードが乗ってきた。ギアは5〜6速。ここで佐藤インストラクターが、パドルシフトで7速に入れるよう指示。「アクセルも遠慮せず踏んで下さい」。できるだけ高速ギアを使い、回転数を低くする。そして、ためらわずアクセルを開ける。
「よく誤解されるんですが、単にトロトロ走るのがエコではありません。運転も楽しまなくては」と佐藤さん。クルマの魅力を犠牲にしないエコドライブ——これもポイントだ。
下り坂に差しかかり、50メートルほど先が少し渋滞しているように見えた。ここで早めにアクセルを戻す。前に追いついてからブレーキをかけるより、先読みして早めに減速しておこう——という計算だったが、そう思っているうちに前方が再び流れ始めた。「早めにアクセル!」。そう、再び加速することが分かっている場合、スピードが落ちきってしまう前に加速した方がいいのだった。
●「先を読む」のが重要
「加速・減速をできるだけ少なく」「高速ギアで低回転」といったいくつかのポイントを押さえるためには、とにかく先を読んで運転する必要がある。道路はいわば生き物だから、これが意外に難しく、また面白い。エコドライブというとソフトな運転というイメージだが、むしろアクティブでスポーティでさえある。
2周目の走行を終え、講評を受けた。燃費は1周目の9.61km/Lに対し、2周目は11.17km/L。10・15モード公表燃費は16.2km/Lだが、渋滞の激しい週末のお台場だったことを考えれば、こんなものだろう。渋滞は2周目の方が激しかったのだが、短時間でかなりの改善効果が見られた。
今回のトレーニング参加者は2日間で計60人。4台のゴルフTSIハイラインと2ドアクーペのシロッコ1台が用意された。VWジャパンでは年に数回、こういった教室を開催しているほか、正規ディーラーなどでも開いているという。