2009年8月13日木曜日

新日石など EV向け次世代スタンドの実証試験開始

 石油元売り大手の新日本石油、出光興産、ジャパンエナジーは12日、電気自動車(EV)向けの急速充電器を設置した「次世代ガソリンスタンド」の実証試験を始めると発表した。3月には昭和シェル石油、7月にはコスモ石油が一部給油所に急速充電器を設置しているが、イオンなどの大手スーパーに対抗し、電気がライバルの石油元売り各社がインフラ整備に本格参入すれば、EVの普及に弾みがつくと期待される。

 新日石は10月から、東京都、神奈川県を中心に全国22カ所の給油所に急速充電器を導入する。JOMOを展開するジャパンエナジーも10月から首都圏の12カ所、出光興産は11月に5カ所で導入する。

 現在は神奈川県内で2カ所だけのコスモ石油は、10カ所以上に設置を拡大する計画だ。

 石油元売り大手によると、急速充電器は30分で8割(約130キロ走行)の充電が可能だという。一般の充電器が7~8時間かかるのに対し、強味が発揮できる。

 経済産業省は2009年度の補正予算で20億円を計上し、次世代ガソリンスタンドの整備を後押ししており、石油元売り各社は経産省の委託事業として、導入を加速する。

 新日石は、急速充電器の設置に加え、三菱自動車の電気自動車「アイ・ミーブ」を20台導入して顧客に無料で貸し出し、顧客ニーズを調査、検証する。充電の待ち時間を利用した新サービスも検討する。

 オリックス自動車と提携し、電気自動車3台を活用して、消費者の節約志向から広がっているカーシェアリングサービスにも、10月上旬から参入する。

 一方、昭和シェルは日産自動車と共同で、自社の太陽電池と、日産のリチウムイオン電池を使った充電システムを新たに開発する方針だ。既存の急速充電器と同じ30分程度でのフル充電を目指す。

 電気自動車は二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代エコカーとして期待が高まっているが、走行距離の短さが普及のネックになっている。

 充電1回あたりの走行距離は、「アイ・ミーブ」が160キロ程度で、全国網を持つ給油所での高速充電器の整備が急がれている。