2009年8月31日月曜日

BMW、高性能でエコなコンセプトカーを出展

 独BMWは、2009年9月15日に開幕するフランクフルトモーターショーに、コンセプトカー「ビジョン・エフィシェントダイナミクス」を出展する。

■駆け抜ける歓びを低燃費で

 ビジョン・エフィシェントダイナミクスは、BMWのブランドアイデンティティである“駆け抜ける歓び”と、低燃費・低CO2排出を両立させた、次世代プレミアムカーのコンセプトモデルだ。

 搭載するパワーユニットは、BMWが「アクティブハイブリッド」と呼ぶ、エンジンとモーターをふたつ組み合わせたシステム。エンジンによる駆動・発電が可能なほか、モーターのみでの駆動も可能で、EVモードで最大50km走れる。エンジンモードも含めた総航続距離は700kmに及ぶ。

 このハイブリッドシステムの機構は、「アクティブハイブリッド7」や「アクティブハイブリッドX6」で採用例があるが、それらが大排気量V8ガソリン・ツインターボエンジンを搭載するのに対し、今回のコンセプトカーは、小排気量ディーゼルエンジンを組み合わせ、環境性能をさらに高めたのが特徴。

 燃費は、100kmあたり3.76リッター(約26.6km/リッター)。CO2排出量は「MINI One」よりも少ない99g/kmを達成。最高出力は先代「M3」と同等の356hp、最大トルクは81.6kgmと、7シリーズのV12ツインターボさえも凌駕する数値を実現したという。

 エンジンはリアアクスル前方に搭載し、モーターは前輪と後輪にそれぞれひとつずつ積まれる。また、リチウムイオン電池をフロアトンネル内に搭載する。0-100km/h加速は推定4.8秒、最高速はリミッターで250km/hに制限される。

 全長×全幅×全高=4600×1900mm×1240mmの流線型ボディは、F1で培ったテクノロジーを駆使し、空力性能を磨き上げたとのこと。カーボンファイバーが多用された2+2ボディの重量は、1395kgと公表される。

2009年8月27日木曜日

ベンツのHVは1405万円 高級市場に切り込み

 メルセデス・ベンツが、外国車メーカーとして初めて国内投入するハイブリッド車(HV)の価格を1405万円に設定したことが27日、分かった。トヨタ自動車のレクサスが独占する高級HV市場に切り込み、環境志向の高い富裕層を取り込む。200万~300万円程度の低価格HVをめぐっては、すでにトヨタとホンダが火花を散らしているが、高価格帯にも複数のプレーヤーがそろうことで、HVをめぐるメーカー間の争いが本格化しそうだ。

 ベンツのHVは、最上級セダン「Sクラス」に導入される。総排気量は3500ccで国内発売は9月3日。欧州へは今年6月に投入されている。環境車を優遇する日本政府のエコカー減税については、「現在、適用を申請中」(日本法人)としている。

 1405万円という価格は、現行Sクラスの価格帯(1041万~2026万円)の中程度にあたる。国内で競合する高級HVは現在、レクサスの「LS600h」「LS600hL」(973万~1510万円)のみだ。

 メルセデスの日本法人関係者は「新技術は上級モデルから投入するのがメルセデスの伝統だ」とするが、同社としては、販売が落ち込む中、次世代エコカーの主流であるHVを投入することで高い技術力をアピールし、回復につなげたい考えだ。

 メルセデスは今後、ほかのモデルにもHVを導入する考え。他の外国車ではBMWも、平成22年からHVの国内受注を開始するとしている。

BMWのエコスポーツカー、ティーザーキャンペーン開始

 BMWは26日、9月15日に開幕するフランクフルトモーターショーで初公開するコンセプトカー、『ヴィジョンエフィシエントダイナミクス』のティーザーキャンペーンを開始した。

 BMWは今年のフランクフルトに2台のコンセプトカーを出品予定。1台が『3シリーズ』をベースにした4ドアクーペの『ヴィジョンZ』、そしてもう1台が『ヴィジョンエフィシエントダイナミクス』だ。

 ヴィジョンエフィシエントダイナミクスについては、まったく謎に包まれているが、関係者の話を総合すると、2シーター、ミッドシップエンジン搭載のスポーツカーの提案になるという。

「エフィシエントダイナミクス」とは、BMWの走る歓びを維持しながら、環境性能に最大限配慮しようというBMWの企業精神。そのスローガンを冠したコンセプトカーだけに、時代の要請に見合った「グリーンスポーツカー」になると見ていいだろう。

 パワートレインはターボディーゼルか、それともハイブリッド、EVか。注目のティーザー映像は、動画共有サイトで見ることができる。

2009年8月26日水曜日

エコカー:輸入車も続々 助成制度対象車、VW・アウディ・ベンツ投入

 ハイブリッド車(HV)など環境対応車(エコカー)の販売が急増していることを受け、輸入車でも、政府のエコカー買い替え補助制度に適合した車種の投入が相次いでいる。独フォルクス・ワーゲン(VW)は25日、主力乗用車の「ゴルフGTI」(排気量2リットル)の燃費を改善させ、補助対象車としたモデルを発表。独ダイムラーは、9月3日にベンツ初となるHVを日本に投入する。

 新車買い替え補助制度は、国の燃費基準をクリアした新車を購入した場合に、最大25万円の補助を受けられる。欧米と日本では燃費の測定方法や基準が異なるため、制度開始当初は輸入車の対象車がほとんど無かった。このため各海外メーカーの国内ディーラーは独自に助成金相当額を値引きするキャンペーンを展開。一方、ドイツメーカーを中心に、日本の燃費規制にかなった車種の投入を順次、進めてきた。

 これまでにVWが11車種を投入したほか、アウディが22車種、BMW(MINI含む)が15車種、メルセデス・ベンツも17車種まで拡充している。

 輸入車の月間販売は昨年5月以降、15カ月連続で前年同月を割り込むなど低迷していたが、助成制度対象車の増加や、独自の値引き制度などにより、8月は24日現在、ほぼ前年並みで推移。VWグループジャパンのジェリー・ドリザス社長は「新車販売は底打ちした」との認識を示した。

 ただ、米ビッグスリー(自動車大手3社)や日本での販売台数が少ないメーカーは、「コスト高になる」として対象車の投入を見送っている。

2009年8月25日火曜日

PS3ソフト「グランツーリスモ5」は年内発売か、具体的な発売時期が明らかに

 先日ドイツで行われたゲーム業界の見本市「GamesCom」で、発売が待ち望まれている大人気レースゲームシリーズの最新作「グランツーリスモ5」の最新情報として収録車種が1000車種におよぶことや、内装や車両の転倒や衝突による変形を完全に再現するダメージ表現に対応した「プレミアムモデル」が登場することが公開されたが、気になる発売日について、新たな情報が明らかになった。

 プリウス、インサイト、テスラといった最新のハイブリッドカーおよび電気自動車の挙動も忠実に再現されるという同作だが、どうやら年内に発売される可能性が高いようだ。

 詳細は、Gran Turismo 5’s Q4 2009 Release Date Confirmedより参照されたし。

 この記事によると、GamesComの会場で配布されていた「グランツーリスモ5」のチラシで、具体的な発売時期が掲載されていたそうだ。

 あくまで2009年の第4四半期としか書かれていないため、正式な発売日はそう遠くないうちに発表されるということのようだが、やはり9月24日に千葉の幕張メッセで開催される『東京ゲームショウ2009』で発表が行われると思われる。

「2009年」ではなく、「2009年度」という可能性もあるのかどうかも気になるところだ。

太陽電池の新商品続々 携帯型発電機、ソーラー携帯電話…

 太陽のエネルギーで発電し、パソコンや携帯電話などのモバイル製品を動かす――。近未来の夢物語のようなシーンが2009年夏、一部で実現しそうだ。太陽エネルギーを電源に使った電気製品が三洋電機、シャープなどから次々と発売されるからだ。ガソリンエンジンが中心だった自動車の世界にハイブリッドカーが急速に普及し始めたように、家電の世界では太陽光発電が燃料電池などよりも早く普及しそうな勢いを示している。

小型のノートパソコン程度の発電機

「晴天時は約1時間のソーラー発電で、携帯電話の連続通話約40分相当の充電が可能です」。三洋電機が8月10日に発売した新商品「ポータブルソーラー」は、持ち運びが可能な携帯太陽光発電機(太陽電池)としての性能をこうアピールする。これまでも持ち運びが可能な同社の太陽電池はあったが、新商品は大幅な小型・軽量化に成功した。大きさは小型のノートパソコン程度となり、重さは従来品の約800グラムから約490グラム(ソーラーパネル2枚のセット)、約300グラム(同1枚のセット)と軽くなった。店頭想定価格はパネル2枚のセットが1万4000円程度、1枚セットが9000円程度という。

 ノートパソコンのように専用ケースからソーラーパネルを取り出し、日当たりのよい屋外や窓際に置けば、内蔵のリチウムイオン電池が充電を始める。その電力を単3形や単4形はじめ同社が得意とする充電式電池に蓄えれば、懐中電灯やラジオはもちろん、携帯電話や電動自転車など様々な電気製品の電源として使うことができる。

20~30歳代中心にエコに関心のあるユーザーに人気

 持ち運びが可能な太陽電池は6月、ひと足早くシャープが携帯電話に採用し、話題を呼んだ。AuブランドのKDDIから国内初の太陽電池携帯端末として発売した「ソーラーフォン」だ。「太陽に10分当てれば、1分間の通話が可能」とされ、晴天時にビジネスマンが携帯電話を充電しながら取引先まで移動するなどといった使い方ができそうだ。

 このシャープ製の携帯電話はソフトバンクモバイルが8月中旬、NTTドコモも9月に発売する。業界関係者によると、「ソーラーフォンは20~30歳代を中心にエコに関心のあるユーザーに人気が高い」という。電卓の電源が乾電池ではなく、ソーラーパネルになったように、携帯電話も太陽電池が主流という時代が遠からず到来するかもしれない。

 自動車の世界では、トヨタ自動車の新型プリウスのルーフに京セラ製のソーラーパネルが搭載され、室内の換気などの電源として使われることが話題を呼んだ。ホンダはルーフに取り付けたソーラーパネルで発電し、電気自動車の動力として活用する研究を進めている。

 30日投開票の衆院選は、民主党が自民党を上回る地球温暖化ガス削減目標を掲げ、政権奪還を目指す。これまで大手電機メーカーなどは技術的に次世代エネルギーを開発できても、コスト高で商品化できないのが現実だった。ところが、時代のキーワードは「エコ」。時代を先取りした商品が企業イメージを高め、売れるとあらば、メーカーが商品化に取り組むのは当たり前とも言える。政府の「エコポイント制度」のような政策的な後押しが衆院選後に加速すれば、太陽光発電のさらなる技術革新とコスト削減が進む可能性が高い。

福祉車両もエコカー減税・補助金の対象へ

 国土交通省は25日、特定改造自動車のエネルギー省非効率相当値の算定実施要領を制定したと発表した。

 福祉車両などの改造車であっても、燃費値を算定し、燃費基準達成レベルを車検証に記載することにしたもので、一定の燃費性能を満たした福祉車両もエコカー減税や補助金を受けられるようになる。

 車検証への記載は31日から開始する。自動車重量税と自動車取得税の減税については今年4月1日まで、補助金は4月10日まで遡って適用される。自動車税の軽減は翌年度に行われる。

 これまで、省エネ法の枠組みでは型式指定時に燃費値が算定され、その後改造を行うと車両重量などが変わるため、燃費値が算定されていなかった。

 一方で、エコカー減税や補助金は一定の燃費性能を基準としているため、福祉団体などから福祉車両などの改造車であっても燃費値を算定するよう要望が出ていた。

 福祉車両のほか、教習車両や福祉タクシー車両などが対象になると見られている。

2009年8月22日土曜日

ホンダも電気自動車参入

 本田技研工業(以下、ホンダ)が電気自動車(EV)を開発し、2010年代前半をめどに米国市場投入を検討している。米オバマ政権が環境規制強化を打ち出しており、ホンダは走行中に二酸化炭素を排出しないEVを投入し、この規制に対応する。トヨタ自動車や日産自動車も販売を明らかにしており、米国メーカーなどを含めた競争が本格化する。

 ホンダはこれまで、環境対応車(エコカー)の主力商品にハイブリッド車(HV)を位置づけてきた。「次世代エコカー」としては燃料電池車の開発に注力してきたが、価格が高いなどの理由で現状では量販しにくいこと、米国の大市場であるカリフォルニア州で温室効果ガス排出規制を強化する動きがあることから、米燃費規制には当面、EVで対応することにした。車の開発を手掛ける本田技術研究所がすでに作業に着手、10月開催の東京モーターショーで試作車を公開する。

 他の国内メーカーでは、7月から三菱自動車がEV「i-MiEV(アイ・ミーブ)を、富士重工業もEV「プラグインステラ」の販売を、それぞれ法人向けに始めている。トヨタは2012年に米国市場で、日産はEV「リーフ」を2010年後半に国内外でそれぞれ販売する計画である。ホンダの参入で国内大手3社が出揃うこととなり、主要メーカーが開発競争を本格化させることで、普及の課題である低価格化が進む可能性もある。

2009年8月21日金曜日

レクサス、コンパクトモデルのコンセプトカーを世界初公開

 レクサスは、2009年9月15日から開催されるフランクフルトモーターショーで、新型プレミアムコンパクトのコンセプトカーを発表するにあたり、先行でモデルスケッチを公開した。

 コンパクトコンセプトは、これまでのコンパクトカーには類のない、高い技術力とデザイン性の融合により、プレミアムコンパクトクラスの基準を引き上げるとしている。

 このレクサス プレミアムコンパクト コンセプトは、9月15日のプレスカンファレンスでワールドプレミアされる予定だ。

 また、レクサスブースではそのほかにプレミアムハイブリッドカーのRX450hやGS450hなどを展示する。

2009年8月19日水曜日

プラグインHVスポーツ、フィスカーカルマ…サーキットを疾走

 米国のFisker(フィスカー)オートモーティブは15日、2010年に販売を開始するプラグインハイブリッドスポーツセダン、『Karma』(カルマ)を、サーキットでデモ走行させた。

 カルマは、1月のデトロイトモーターショーにコンセプトカーとして登場。ハイブリッドシステムは「Qドライブ」と呼ばれ、2個の強力なモーター(403ps)によって、約80kmをゼロエミッション走行できる。2次電池は蓄電容量22.6kWhのリチウムイオンバッテリーで、家庭用コンセントから充電可能だ。

 カルマはGMのシボレー『ボルト』と同様に、充電専用エンジンを搭載。バッテリー残量が少なくなると、GM製の「エコテック」直噴2.0リットル直4ターボ(260ps)が始動。ジェネレーターを回してモーターに電力を供給するとともに、バッテリーを充電する。最大航続距離は480km以上。燃費性能は42.5km/リットルだという。

 外観はロングノーズに大胆に抑揚を効かせたボディラインが特徴。ボディサイズは全長4970×全幅1984×全高1310mmで、長くワイドながら背の低いプロポーションを持つ。アルミスペースフレームにアルミ複合素材を組み合わせたボディは軽量に仕上げられ、0 ‐ 96km/h加速5.8秒、最高速度200km/hのパフォーマンスを実現している。

 フィスカーオートモーティブは、15日に米国カリフォルニア州で開催された「ロレックスモンテレーヒストリックオートモーティブレース」でカルマを披露。有名サーキットの「ラグナセカ」を、同社のヘンリック・フィスカーCEOが 2ラップした。モーターのみで静かに走るカルマに、来場者の視線が集まった。

 フィスカーオートモーティブは、カルマの価格を8万7900ドル(約834万円)と公表。富裕層の関心は高く、すでに2010年生産分までオーダーが埋まっているという。EVスポーツカーで時代の寵児となった『テスラ』と同様、アメリカンドリームを手にするか、注目される。

2009年8月13日木曜日

新日石など EV向け次世代スタンドの実証試験開始

 石油元売り大手の新日本石油、出光興産、ジャパンエナジーは12日、電気自動車(EV)向けの急速充電器を設置した「次世代ガソリンスタンド」の実証試験を始めると発表した。3月には昭和シェル石油、7月にはコスモ石油が一部給油所に急速充電器を設置しているが、イオンなどの大手スーパーに対抗し、電気がライバルの石油元売り各社がインフラ整備に本格参入すれば、EVの普及に弾みがつくと期待される。

 新日石は10月から、東京都、神奈川県を中心に全国22カ所の給油所に急速充電器を導入する。JOMOを展開するジャパンエナジーも10月から首都圏の12カ所、出光興産は11月に5カ所で導入する。

 現在は神奈川県内で2カ所だけのコスモ石油は、10カ所以上に設置を拡大する計画だ。

 石油元売り大手によると、急速充電器は30分で8割(約130キロ走行)の充電が可能だという。一般の充電器が7~8時間かかるのに対し、強味が発揮できる。

 経済産業省は2009年度の補正予算で20億円を計上し、次世代ガソリンスタンドの整備を後押ししており、石油元売り各社は経産省の委託事業として、導入を加速する。

 新日石は、急速充電器の設置に加え、三菱自動車の電気自動車「アイ・ミーブ」を20台導入して顧客に無料で貸し出し、顧客ニーズを調査、検証する。充電の待ち時間を利用した新サービスも検討する。

 オリックス自動車と提携し、電気自動車3台を活用して、消費者の節約志向から広がっているカーシェアリングサービスにも、10月上旬から参入する。

 一方、昭和シェルは日産自動車と共同で、自社の太陽電池と、日産のリチウムイオン電池を使った充電システムを新たに開発する方針だ。既存の急速充電器と同じ30分程度でのフル充電を目指す。

 電気自動車は二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代エコカーとして期待が高まっているが、走行距離の短さが普及のネックになっている。

 充電1回あたりの走行距離は、「アイ・ミーブ」が160キロ程度で、全国網を持つ給油所での高速充電器の整備が急がれている。

トヨタが小型ハイブリッド車を低燃費・低価格で発売予定

 トヨタ自動車は12日、新型「プリウス」を上回る燃費性能がガソリン1リットル当たり40キロを超える小型ハイブリッド車を11年にも発売することが13日、分かった。

 超低燃費のハイブリッド車は、小型車「ヴィッツ」をベースに開発する計画でガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッドシステムを取り入れ、現在より小型化して搭載する。設定価格を150万前後になる見通しで検討されている。

 ホンダも小型車「フィット」のハイブリッド車を22年に発売予定している。またスポーツタイプの「CR-Z」を同年2月投入する計画。GMも家庭用電源で充電可能なプラグイン型ハイブリッド車「シボレー・ボルト」を10年に投入する。今後ハイブリッドカーの市場が拡大すると見られ、低燃費、低価格で競争が激化すると見られている。

2009年8月12日水曜日

<GM>家庭で充電できる車ボルト、リッター100キロ達成

 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は11日、家庭用電源で充電できるプラグイン・ハイブリッド車(PHV)「シボレー・ボルト」が、ガソリン1ガロン当たり230マイル(1リットルあたり約100キロ)の走行距離(市街地走行時)を達成したと発表した。

 記者会見したヘンダーソン最高経営責任者(CEO)によると、ボルトは10年に販売開始予定。1回の充電で40マイル(約64キロ)走るモーターを搭載し、ガソリンエンジンと組み合わせることで、走行距離は300マイル超に達するという。価格は4万ドル(約386万円)前後と、トヨタ自動車のHV「プリウス」の約2倍になると見られる。

 ヘンダーソン氏は、11年までに計25車種の新型車を投入する計画も発表した。「シボレー」がボルトを含め10車種。高級車「キャデラック」を5、「ビュイック」と「GMC」を計10モデル投入する予定で、このうち6車種は10年中に販売する。ヘンダーソン氏は「顧客の期待以上の新型車を提供していく」と述べ、開発資金や人材の集中投下で主力ブランドをテコ入れする姿勢を強調した。

 PHVは、HVよりも大容量の電池を搭載。モーターのみで走行できる距離が長いので、ガソリン消費はさらに少なくなる。トヨタ自動車もプリウスをベースにしたPHVを09年末に発売する予定。だが、大容量電池のコストが高いため、HVに比べると極めて高価になるのが課題だ。

2009年8月11日火曜日

GM、プラグインハイブリッド構想を発表

 米ゼネラルモーターズは、2011年にSUVタイプのプラグインハイブリッド車を市場に投入すると発表した。

 ニューモデルは5人乗りのSUVで、予定通りに発売されれば、主要メーカー初のプラグインハイブリッドSUVとなる可能性もある。GMの発表によると、新型SUVは、2010年後半に2.4リッター直噴ガソリンエンジン搭載車が登場し、翌2011年にプラグインハイブリッド車が追加される予定となっている。

 プラグインハイブリッドは、エンジンとモーター、バッテリーを搭載し、バッテリーは、家庭用電源からコードをつないで充電が可能。EVとの違いはエンジンによる駆動・発電が可能な点で、EVとして機能する一方、ハイブリッドカーのようにも使える。

 搭載されるパワーユニットは、“ボルテックシステム”と呼ばれるもので、家庭用の110V電源で4〜5時間で充電可能。このシステムは、2010年に発売予定のシボレー・ボルトのものがベースとなっており、EVモード(モーターのみの駆動)で約16km走行できるという。

 同システムは、ガソリンエンジン以外のパワーユニットを組み合わせることも可能で、様々な動力源で発電・駆動を行うことを想定して作られている。その汎用性の高さから、今後様々な車種に搭載される可能性が高い。

2009年8月6日木曜日

【三菱 i-MiEV】未来を期待させるパフォーマンス

 世界初の量産EV(電気自動車)として、7月下旬にデリバリーが開始された三菱自動車『i MiEV(アイミーブ)』。東京ディズニーランドにほど近いベイエリアで開催された、アイミーブの市販モデルの試乗会に参加してきた。

 三菱は過去にもアイミーブのプロトタイプを東京モーターショー、エコカーワールドin横浜など、様々なイベントに出品し、ユーザーがEVを体験できる機会を作ってきた。納車が始まった市販モデルは、「プロトタイプよりさらにセッティングを細かく煮詰めました」(MiEV事業統括室・和田憲一郎氏)との言葉通り、熟成度がさらにアップしているという印象だった。

 スロットルペダルを踏み込むと、プロトタイプがどちらかというと“ドン”と一気にモーターのトルクが立ち上がるセッティングだったのに対し、市販モデルは柔らかくスムーズにトルクが出るという特性に変更されていた。瞬間的な違いではあるが、後者のほうが格段に上質。駆動系のスナッチ(ガクガクとした動き)はほとんど体感できず、エンジン車はもちろん、他のEVやHEV(ハイブリッドカー)と比べても、スムーズな走り味だ。

 加速力は申し分なく、軽自動車の最高出力の“自主規制値”に合わせられた最大47kWのフルパワーを発生させるDレンジでは、法定速度の100km/hまで一気にスピードが乗る。最大出力30kWにパワーセーブされるEcoモードでも、法定速度内でストレスを感じることはない。

 Bレンジは回生モードで、アクセルペダルをオフにすると軽めにブレーキを踏んだ時と同じくらい減速する。アイミーブのブレーキシステムはベースモデルであるエンジン車の「i(アイ)」と共通で、回生ブレーキを持っていないが、上手く運転すれば、ブレーキは急減速や最後の停止のときに踏む程度ですみそうだった。

 ちなみに国交省は基本的にDレンジで燃費、排ガス計測を行っており、10・15モード走行時の航続距離160kmも基本的にDレンジの数値。Bレンジを上手く活用して人為的にエネルギー回生量を増やせば、実走行時の航続距離の低下をそれなりに抑制することができると考えられる。

 ドライブフィールの良さは、今日のEVの中でも傑出したレベルに仕上がっている。バッテリー性能は現在のリチウムイオン電池をもってしてもまだまだ不十分であるなど、弱点を抱えるEVだが、アイミーブの市販モデルはEVの先行きは暗いとばかりも言えないと感じさせるだけのパフォーマンスを持つクルマに仕上げられていた。

2009年8月5日水曜日

意外に楽しい?エコドライブ VWゴルフでトレーニング体験

 ハイブリッドカーだけがエコじゃない? ふだんの運転スタイルをちょっと変えるだけで、普通のクルマでも地球にやさしいドライブができる——。フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンが開催する「エコドライブ・トレーニング」に参加し、新型ゴルフを使ってエコな運転術のコツを体験してみた。


 ●パワフルな新型ゴルフ

 トレーニングは約2時間。今回は東京・お台場を出発し、首都高速に乗って大井埠頭を往復する約12キロのコースが使われた。教室で簡単な説明を受けたあと、4月に発売されたばかりの6代目ゴルフ・TSIハイラインに乗ってさっそく出発する。

 「まず1周目はふだんの運転で走って下さい」。インストラクターを務めるモータージャーナリストの佐藤久実さんにうながされ、とりあえず何も考えずスタート。わずか1.4Lのエンジンはとにかく静かで、ターボとスーパーチャージャーが両方ついているだけに低速域で力強い。7速のDSGトランスミッションが小気味よくシフトアップしていく。ハンドルわきのパドルシフトは使わず、D(ドライブ)レンジに入れっぱなしのオートマチック走行だ。

 ●早めにアクセルを戻す

 「では2周目。いくつかの点に注意して運転してもらいます」。このコースは発進後、すぐに一時停止がある。2000回転ぐらいでアクセルを止め、できるだけ早めに戻せ、という。前方で止まることが分かりきっている場合、加速して減速するのはいわば無駄。加減速をなるべく少なくするのが第一のポイントだ。

 とはいえ、アクセルはとにかくゆっくり踏めばいい、というわけでもないらしい。のろのろ加速していると、結果的に加速に使っている時間が長くなり、安定した回転数で走っている時間が減る。トランスミッションにもよるが、ギアがなかなか上がらず、かえって燃料を消費してしまう。

 なお、VWジャパンでは積極的には推奨していないが、停止する前からニュートラルに入れてしまい、惰性で走る方法も欧州では知られているという。

 ●高いギアで低回転に

 首都高速に入り、スピードが乗ってきた。ギアは5〜6速。ここで佐藤インストラクターが、パドルシフトで7速に入れるよう指示。「アクセルも遠慮せず踏んで下さい」。できるだけ高速ギアを使い、回転数を低くする。そして、ためらわずアクセルを開ける。

 「よく誤解されるんですが、単にトロトロ走るのがエコではありません。運転も楽しまなくては」と佐藤さん。クルマの魅力を犠牲にしないエコドライブ——これもポイントだ。

 下り坂に差しかかり、50メートルほど先が少し渋滞しているように見えた。ここで早めにアクセルを戻す。前に追いついてからブレーキをかけるより、先読みして早めに減速しておこう——という計算だったが、そう思っているうちに前方が再び流れ始めた。「早めにアクセル!」。そう、再び加速することが分かっている場合、スピードが落ちきってしまう前に加速した方がいいのだった。

 ●「先を読む」のが重要

 「加速・減速をできるだけ少なく」「高速ギアで低回転」といったいくつかのポイントを押さえるためには、とにかく先を読んで運転する必要がある。道路はいわば生き物だから、これが意外に難しく、また面白い。エコドライブというとソフトな運転というイメージだが、むしろアクティブでスポーティでさえある。

 2周目の走行を終え、講評を受けた。燃費は1周目の9.61km/Lに対し、2周目は11.17km/L。10・15モード公表燃費は16.2km/Lだが、渋滞の激しい週末のお台場だったことを考えれば、こんなものだろう。渋滞は2周目の方が激しかったのだが、短時間でかなりの改善効果が見られた。

 今回のトレーニング参加者は2日間で計60人。4台のゴルフTSIハイラインと2ドアクーペのシロッコ1台が用意された。VWジャパンでは年に数回、こういった教室を開催しているほか、正規ディーラーなどでも開いているという。

2009年8月4日火曜日

BMWとGMの電気自動車、韓国製電池で走る

 独自動車メーカーのBMWのヘルベルト・ディース購買担当社長が3月に初めて訪韓し、「韓国の自動車部品のうち特にリチウム電子が強い」と評価した。部品メーカー10社あまりとリチウムイオン電池を作る三星(サムスン)SDI、LG化学などを視察した後のこと。それから5カ月後、BMWは来年から生産する電気自動車にバッテリーを単独で納品するメーカーとして三星SDIと独ボッシュの合弁会社を選定した。

 これに先立ち1月にLG化学は米ゼネラルモーターズ(GM)が生産する電気自動車「シボレー・ボルト」向けにリチウムイオン電池を納品することで合意している。来年から6年間にわたり、毎年1兆ウォン(約783億円)相当を供給するものと業界は推定している。LG化学は現代(ヒョンデ)・起亜(キア)自動車と自動車用リチウムイオン電池を共同開発し、すでに市販中の液化石油ガス(LPG)ハイブリッドカーに搭載している。

 いつの間にか大きくなった韓国のバッテリーの力はなんだろうか。基本技術の劣勢を素早い意思決定と強固なIT応用インフラで克服し、新たな分野を先取りしたおかげだとみられる。三星経済研究所のイム・テウン首席研究員は、「日本が他の分野のように早くから二次電池の基本技術を大挙確保したが、韓国の業界は自動車電池の未来をまず読み、開発に集中した結果、この分野の中心地に浮上した」と評価する。日本が携帯電話やノートパソコンなど小型IT機器用リチウムイオンバッテリーの強者なら、韓国はこの技術を活用して効率のよい自動車用バッテリー開発に昇華させたということだ。

 電気自動車用リチウムイオン電池は長持ちし軽くなくてはならない。リチウムイオン電池の大きな弱点だった爆発の可能性をなくさなくてはならない。BMWは「三星SDIのリチウムイオン電池が競合メーカーの製品より容量が大きく安全性が立証された」と評価している。

 電気と化石燃料をともに使うハイブリッドカー、電気だけで動く電気自動車の核心技術はすべて二次電池だ。JPモルガンなどによると、電気自動車用リチウムイオン電池市場も今年の1億8000万ドルから2020年には159億ドルに拡大するものとみられる。

◆二次電池
一度しか使用できない電池と違い再充電して使える。蓄電池または充電式電池ともいう。初期には自動車の始動用などで鉛蓄電池が広く使われた。これより効率が良く寿命の長いニッケルカドミウム、ニッケル水素電池が登場し、デジタルカメラや携帯プレーヤーなどに使われ初めた。最近では携帯電話やノートパソコン用に主に使われていたリチウムイオンまたはリチウムポリマー電池がモバイル機器だけでなく電気自動車用として進化している。

2009年8月3日月曜日

日産「エコカー本命」発進 EV「リーフ」公開、低価格へ量産

 日産自動車は2日、日米で2010年後半に発売予定の電気自動車(EV)を、横浜市西区に建設した新本社の完成セレモニーで初公開した。名称は「葉」を意味する「リーフ」。日産は量産EVとして先行販売する三菱自動車などを大幅に上回る、国内で初年度5万台の生産に踏み切る。ハイブリッド車(HV)開発でトヨタ自動車やホンダに後れを取った日産だが、二酸化炭素(CO2)など排出ガスが全く出ないEVで、次世代エコカーの主導権を握る考えだ。

 同車は5人乗りのコンパクトカーサイズ。リチウムイオン電池の薄型化によって、広い室内空間を確保、三菱自が7月に発売した軽自動車ベースの「アイ・ミーブ」との差別化を図る。

 1回の充電で160キロ以上の距離の走行が可能で、ITを駆使し、カーナビゲーション画面に急速充電器の設置場所や、現在の残電量で走れるエリアを表示できるようにした。また、携帯端末で外から充電量の確認を行えるなどの最新機能も加えた。カルロス・ゴーン社長はリーフを運転して登場し、「排出ガスを全く出さないリーフは、新たな時代の第一歩を約束する」と決意を述べた。

 「普及に向け、割高ではないEVを発売する。EVは決してニッチな車ではない」。ゴーン社長が強調するように、EVの早期低価格化に向けて、量産効果の発揮を目指す。10年後半に日本で約5万台、米国で15万台を生産。12年までに英国とポルトガルで各6万台分のEV用電池を生産し、時期は未定だが中国でもEVと電池の生産を検討している。補助金を適用した場合の価格は、電池価格を除き200万円前後となる見込みだ。

 次世代エコカー“本命”の座をめぐっては、トヨタやホンダが投入したHVが先行するが、ゴーン社長は「HVのシェアは世界で2%に満たない」と一蹴(いっしゅう)、「20年には世界の自動車需要の1割に当たる550万~600万台がEVで占められるだろう」と、EVを中心に経営資源を投入する姿勢を明確にする。石油価格の高騰、環境規制のさらなる強化が追い風をもたらすとの見方で、低利融資などの優遇施策があれば、低コストで販売できるとした。

 EVは国内外の自動車メーカーが参入を検討しており、激しい市場争いも予想される。トヨタはEVを12年に日米欧に投入、米GM(ゼネラル・モーターズ)やフォード・モーターなども早期投入を目指している。「究極のエコカー」と呼ばれたEVがクルマの新時代を切り開くことができるのか、成否は日産が握っているとも言えそうだ。

ローソン、電気自動車40台を導入 今年度

 ローソンは業務用車両として、電気自動車の導入を3日から始めると発表した。

 まず三菱自動車の「アイ・ミーブ」を東京で8台、大阪で2台導入し、店舗の駐車場に専用の充電器も設置する。電気自動車の普及を見越し、店舗を将来の充電インフラとしても位置付ける考え。小売業界での電気自動車導入は初めてという。

 2009年度は東京、大阪、中部地区でアイ・ミーブを計40台リース方式で導入し、店舗経営指導員が店舗巡回用として使う。これまでリース契約していたガソリン車を切り替える。