BMWノースアメリカは25日、12月2日に開幕するロサンゼルスモーターショーの出展内容を明らかにした。
世界初公開車はないが、『ヴィジョンエフィシエントダイナミクス』『アクティブハイブリッドX6』『アクティブハイブリッド7』の3台を軸に、ハイブリッド車を前面に押し出す。
コンセプトカーのヴィジョンエフィシエントダイナミクスは、9月のフランクフルトモーターショーでデビュー。BMWの考える未来のスポーツカーの姿を表現した1台で、パワートレインは、ターボディーゼルエンジンに2個のモーターを組み合わせ、家庭用電源から充電可能なプラグインハイブリッド車を提案する。
ミッドシップに置かれるエンジンは、新開発の1.5リットル直3ターボディーゼル。高圧直噴システムや可変ジオメトリーターボなど、BMWの最新技術が導入され、エンジン単体での最大出力は163ps、最大トルクは29.6kgmに達する。
モーターは、フロントとリアに1個ずつ、合計2個を搭載。それぞれが前輪と後輪を駆動する4WDとなる。トランスミッションは、『M3』『Z4』で定評のある6速「DCT」(ダブルクラッチトランスミッション)だ。
最大出力51ps、最大トルク29.6kgmを発生するリアモーターは、エンジンとDCTの中間にレイアウト。フロントモーターはフロントアクスルに置かれ、最大出力80ps、最大トルク22.4kgmを生み出す。オーバーブーストモードでは最大10秒間、最大出力を139psまで高めることが可能。どちらのモーターも減速時には回生ブレーキとして作動する。
車体中央フロア下に置かれる2次電池は、リチウムイオンバッテリーで、蓄電容量10.8kWh。充電はフロントフェンダーに設けたソケット部から行い、家庭用の220Vコンセントなら約2.5時間、380Vの急速チャージャーを使えば、44分で完了する。
ターボディーゼルと2個のモーターを合わせたハイブリッドシステムのトータル出力は、356ps、81.6kgmとパワフル。この結果、ヴィジョンエフィシエントダイナミクスは、0-100km/h加速4.8秒、最高速250km/h(リミッター作動)という1級スポーツカーにふさわしい性能を獲得した。
それでいて、欧州複合モード燃費26.6km/リットル、CO2排出量99g/kmと環境性能もトップクラス。また、モーター単独で最大50kmをゼロエミッション走行でき、ディーゼルハイブリッドの最大航続距離644km/hと合わせ、燃料満タン状態で最大694kmを走行できる。
市販車としては、アクティブハイブリッドX6とアクティブハイブリッド7を展示。両車は基本的に同じハイブリッドシステムを搭載する。
アクティブハイブリッドX6の場合、直噴ガソリン4.4リットルV8ツインターボ(400ps、62.2kgm)に2基のモーターを追加。主に低速用が91ps、26.6kgm、高速用が86ps、28.5kgmのスペックだ。この結果、アクティブハイブリッドX6は、トータル出力480ps、79.5kgmという圧倒的パワーを獲得した。
この大パワーは、3つの遊星ギアと4つのマルチプレートクラッチで構成する「7速ツーモードアクティブトランスミッション」(ECVT)と4WDの「xドライブ」を介して路面に伝えられ、0-100km/h加速5.6秒、最高速210km/h(リミッター作動)の卓越したパフォーマンスを発揮する。
2次電池はリチウムイオンではなく、液冷式の高圧ニッケル水素バッテリーで、荷室フロア下にレイアウト。蓄電容量は2.4kWhにとどまる。それでも、車両重量2.5tに迫るヘビー級のX6を最大約2.6km、最高速60km/hでゼロエミッション走行させる。アイドリングストップや回生ブレーキも装備された。
ロサンゼルスのあるカリフォルニア州は、米国の中でもとくに環境意識の高いエリア。BMWのハイブリッド重視の展示内容は、自然な流れといえそうだ。