その寂しさを埋めるべく、レンタカーで出かけても私の気持ちは満たされない。なぜなら、私が手放した愛車は今時めったに見かけない昭和のMT車(軽自動車)だったからだ。軽自動車のくせに、やたらと燃費の悪いその車には、パワーステアリングなどの機能は当然のように付いていない。しかし、そんなことは全く苦にならなかった。むしろ、その不便さを楽しみながら、あちこち走りに出かけた。ただ、集中ドアロックがなくて施錠だけは面倒だったが…。
それはさておき、車と商業施設は切っても切り離せない関係だ。コンビニ業界では、ローソンが電気自動車向け充電器を店舗に設置、スリーエフとミニストップはカーシェアリング事業を開始するなど、積極的な取り組みが目立つ。大型SCでも、鉄道を利用した来店客への優待サービスをつけるなど、環境配慮も兼ねたサービスが展開されている。
「石油の寿命はあと○○年」と言われて久しいが、商業施設のみならず自治体でも電気自動車の普及を推進する動きが見られる。まだまだ一部が取り組みを開始した段階だが、昨今の環境問題への関心の高さを鑑みると、今後は全国に広がっていくだろう。
先日、幕張メッセで開催された東京モーターショーも「エコカーの祭典」と言っても過言ではないほど、省エネ一色だった。完成車メーカーはもちろん、関連メーカーも省エネ貢献製品の展開に躍起だ。豊田自動織機のブースには、ローソンの駐車場に設置された充電スタンドと同じシリーズの機種が展示されていた。
豊田自動織機は今後、コンビニをはじめSCやファミリーレストランへも展開していく方針だという。商業施設の駐車場が、ガソリンスタンドならぬ「充電スタンド」となる日も、夢の世界ではなくなりつつある。
古い車(しかもMT車)が好きで、乗り心地は悪ければ悪いほど良いと思っている私は、「まるでリビング!」と言わんばかりの快適な居住空間を前面に打ち出した最近のAT車にはまるで興味がない。東京モーターショーで展示されていた“未来の車”たちにも心ときめかず、特別展示されていた初代アコードに見入っていた。そんな私が、エコカーに求めることはただひとつ。ちょっとクセのある、運転しがいのあるエコカーを作って欲しい。
消えゆく昭和の車たちに、寂しい気持ちばかりを募らせていても仕方がない。私も前向きに次世代のエコカーに期待して省エネに貢献しよう…と考えていて、肝心なことを思い出した。そもそも、都内の駐車場代が高くて、自家用車を手放したのだった!