2009年12月4日金曜日

VWが超低燃費ハイブリッド・クーペを初公開

 フォルクスワーゲンAGは、12月2日に開幕したロサンゼルス・オートショーで、ハイブリッド・システムを搭載したコンパクト・クーペのコンセプトであるUp! Lite(アップ!ライト)コンセプトを世界初公開した。

 このコンセプトカーは、2011年末から世界中で発売予定の次世代スモールカー・シリーズ“ニュースモールカーファミリー”をベースに開発した、4人乗りのハイブリッド3ドア・クーペ。“ドイツが誇る自動車エンジニアリングの結晶”と、VWは公言している。

 ボディサイズは、全長3.84m、全幅1.60m、全高1.40m、ホイールベース2.45mで、新型ポロよりひとまわりコンパクト。ボディにはアルミや高張力鋼板、カーボンを効率的に使用し、優れた衝突安全性を実現しながら、わずか695kgという車輌重量を実現した。

 アルミの塊から削りだしたようなリキッドブルーメタリックのエクステリアは、ドアミラーの代わりに小型のカメラを装備。また、エンジン冷却の必要に応じてラジエターグリルが自動開閉するアクティブ・サーマル・マネジメントを採用し、Cd値0.237という極めて優れた空力性能を達成した。

 ハイブリッド・システムは、9月にフランクフルトショーで公開されたL1にも搭載されていたものをベースにした、最高出力51ps/1800~2250r.p.m.、最大トルク12.2kg-mのアイドリングストップ機能付き新開発0.8リッター2気筒直噴ディーゼル・ターボの0.8TDIと、スターターモーターや回生ブレーキ、オルタネーターとしても作動する14ps、7.1kg-mの電気モーター、新型ポロにも採用されている7段DSGで構成。システム合計最高出力は65psだ。バッテリーはリチウムイオン・バッテリーを搭載している。

 加速時には、モーターがエンジンをアシスト。減速時にはエンジンが停止するとともに回生ブレーキが作動し、リチウムイオン・バッテリーを充電する。短距離であればモーターのみによるEV走行も可能だ。

 この結果、Up! Liteコンセプトは、0~100km/h加速12.5秒、最高速度160km/hという実用上十分な動力性能を確保しながら、ハイウェイモードで 40.1km/リッターという超低燃費と、わずか65g/kmという極めて少ないco2排出量を達成している。

 室内は、コンパクトなサイズながら大人4人の居住スペースを確保。前席が前方に移動するイージーエントリー機能により、後席への優れたアクセスを実現した。また、リアシートがワンタッチで折り畳めるイージースイッチを装備した。

 装備面では、エアコンやインターネット接続機能、携帯電話、AV機能、オンボードコンピューターなどをタッチスクリーンで集中コントロールする先進的なインフォテイメントシステムを搭載。LEDリアコンビランプやアルミとカーボンを組み合わせた18インチ・アルミホイールも採用している。

 さらに、夏場の駐車時に、車内の熱気を車外へ放出するパッシブ・パーク・ベンチレーションも採用。エアコンへの付加低減を図っている。エアバッグやESPも装備し、高い安全性も確保した。

 VWによれば、Up! Liteコンセプトは、将来の量産化も視野に入れて開発されたという。ニュースモールファミリーには、ハイブリッド車もラインアップされることになりそうだ。