2009年4月30日木曜日

三菱自、パジェロにクリーンディーゼル車投入 環境戦略の“顔”

 三菱自動車は29日、同社の主力SUV(スポーツ用多目的車)「パジェロ」に、クリーンディーゼル車を投入する方針を固めた。2010年夏までの導入を目指す。クリーンディーゼル車は、4月に始まった低公害車対象の税優遇措置(エコカー減税)で、100%免税の対象車になっている。同社は、エコカー減税の対象車種を増やして需要増を狙うと同時に、同社の“顔”である主力車を100%免税の対象車にすることで、環境姿勢をアピールする。

 減税対応では、日産自動車が先行して、対象車種の拡大を発表しているが、今後、日産に追随する他メーカーの動きが加速するのは確実だ。

 クリーンディーゼル車は、ガソリン車なみの排ガス性能を持つディーゼル車のことだ。10月に導入される排ガス規制「ポスト新長期規制」で、窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)の基準を満たすのが条件だ。

 エコカー減税では、クリーンディーゼル車は、ハイブリッド車や電気自動車などと同じく、自動車重量税、自動車取得税がともに100%免税される。現在、市販車で適用対象となっているクリーンディーゼル車は、日産自動車の「エクストレイル 20GT」だけだ。

 三菱自も08年10月に、技術を駆使して環境性能を高めた「パジェロ」のディーゼル車(最上級モデルは459万9000円)を発売した。

 しかし、「ポスト新長期規制」の基準を完全にはクリアしていないため、クリーンディーゼル車として、エコカー減税の対象にはなっていない。同社はこの「パジェロ」のエンジン性能を改良して、「ポスト新長期規制」に適合させた上で、来年夏までにクリーンディーゼル車として投入する考え。

 現在、同社が発売しているエコカー減税対象車は「コルト」「eKワゴン」など6車種あるが、減税幅は75%または50%で、100%のものはない。ただ同社は、エコカー減税による販売台数の押し上げ効果を、09年度だけで9000台とみており、今後、対象車種の拡大を急ぎ、販売の拡大につなげたい考えだ。

 エコカー減税をめぐり、日本自動車工業会(東京)が算出する業界全体の需要創出効果は、31万台にも上る。すでに、日産自動車が、小型車など8車種の燃費を向上させ、減税対象車を計14車種に拡大している。

 不況下で成長が見込まれる有望市場だけに、他社も含めて投入車種が増えれば、一層の販売押し上げも期待できる。