ダイムラーAGは、メルセデス・ベンツのフラッグシップ・セダンであるSクラスにマイナーチェンジを実施した。
現行のW211型Sクラスは、2005年秋の発売から4年が経過。今回のマイチェンでは、スタイリング刷新やパワーユニット改良、先進安全装備の充実などを実施。さらに、リチウムイオン・バッテリーを搭載した世界初の量産ハイブリッド乗用車であるS400ハイブリッドが新設定されている。
エクステリアは、フロントグリルや前後バンパー、エグゾーストエンドなどのデザインを変更。さらにLEDリアコンビランプを新採用し、より精悍なスタイリングを実現。また、S400ハイブリッドとS600に、LEDのデイライトやウインカーなどが備わるLEDライトパッケージを標準装備とした。
パワーユニットは、S350および同4MATICが最高出力272hpの3.5リッターV6、S450および同4MATICは340hpの4.7リッターV8、S500および同4MATICは388hpの5.5リッターV8、0~100km/h加速4.6秒の俊足を誇るS600は5.5リッターV12ツインターボを搭載。ディーゼル車は、S350CDIブルーエフィシエンシーおよびS350CDI・4MATICが235hpの3.0リッターV6ターボ、S450CDIは320hpの4.0リッターV8を積む。
S350CDIブルーエフィシエンシーは、アンダーボディのフラット化などによる空力性能改善やオンデマンド式燃料ポンプの採用、7A/Tの7Gトロニックの変速制御最適化および停止時のニュートラル制御採用などにより、7%の燃料消費量削減を実現。欧州複合モード走行において、13.1km/リッターという優れた燃費性能と、199~201g/kmという低CO2排出量を達成した。
ハイブリッド車のS400ハイブリッドは、S350をベースに開発。アトキンソンサイクルを採用した279hpの3.5リッターV6と7Gトロニックの間に、エンジンスターターおよびジェネレーター、さらに回生ブレーキとしても作動する20hp/16.3kg-mの永久磁石モーターを搭載している。
リチウムイオン・バッテリーは、非常に高性能かつコンパクトな設計を実現したことで、エンジンコンパートメント内への搭載を実現。さらに電圧コンバーターを介して12Vの電装品への電力供給を可能にしたことで、通常のバッテリーを不要にした。
この結果、S400ハイブリッドの燃費性能とCO2排出量は、12.6km/リッターと186g/kmとなり、クラストップレベルの優れた環境性能を実現している。
また、新型Sクラスは、新たに対向車の有無を検知してハイビームとロービームを自動的に切り替えるアダプティブ・ハイビーム・アシストや、歩行者検知機能を新搭載し、ディスプレイに歩行者をより目立つように表示するナイトビュー・アシスト・プラス、車線を逸脱しそうになるとステアリングの微振動でドライバーに警告するレーンキーピング・アシスト、カメラが標識を認識し、センターディスプレイに制限速度を表示するスピードリミット・アシスト(S600に標準)などを採用。
さらに、70個以上のパラメーターを連続的に監視し、ドライバーの眠気を検出すると警告を発するアテンション・アシストや、衝突事故が起きる0.6秒前に最大のブレーキ圧で自動ブレーキを作動させるブレーキアシスト・プラス、可変ギアレシオ・ステアリングのダイレクトステア、車輌側面からの突風の際に車輌を安定方向に制御するABC(アクティブ・ボディ・コントロール)の横風安定化機能(S600に標準)、コーナリング時に後輪内側にブレーキをかけることで旋回性能を向上させるトルク・ベクトリング・ブレーキなどの先進装備を採用した。
装備面では、コマンド・システムに運転席と助手席で異なる映像が楽しめるスプリットビュー・ディスプレイや、ほかのSクラスとのデータ交換を可能にしたUSB端子などを新採用した。
欧州では6月に発売予定で、受注はすでにスタート。価格は7万0160ユーロ(S350、約1010万円)~15万5354ユーロ50セント(S600、約2060万円)で、S400ハイブリッドは8万5323ユーロ(約1132万円)となっている。