次世代エコカーの“心臓部”である動力源の電気をためておく車載用リチウムイオン電池で、自動車メーカー各社の調達態勢が整った。
後発だったホンダは21日、ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)との合弁会社が京都府で製造工場の建設に着工。これでトヨタ自動車・パナソニック連合などの4陣営を軸にした開発レースが本格化する。
技術力と量産体制の確立で、いち早く低価格化を実現できるかが、勝負のカギを握る。
ホンダ・GSユアサ連合の「ブルーエナジー」では、来秋を予定する新工場の生産開始に向け、GSユアサが開発した電池をベースに構造や電極材料を見直し、性能向上と軽量化を急ぐ。平成22年以降に発売するハイブリッド車などに搭載する予定だ。
現行のハイブリッド車や電気自動車(EV)に搭載されているのは、ニッケル水素電池が主流。電極の素材をリチウムに変えることで、蓄電容量が大きく向上するため、今後、登場する次世代エコカーの主流になると期待されている。
トヨタ・パナ連合の「パナソニックEVエナジー」は、今秋から生産を開始。今年5月に発売する新型HV「プリウス」への搭載は間に合わなかったものの、年末に発売する家庭電源で充電できるプラグイン・ハイブリッド車(PHV)に初搭載する計画だ。
三菱自動車も、ホンダとは別にGSユアサと「リチウムエナジージャパン」を立ち上げ、今年投入するEVの「iMiEV(アイミーブ)」に搭載する準備を急いでいる。
また、日産・NEC連合の「オートモーティブエナジーサプライ」も、21年度中に量産化する計画を打ち出している。
こうした開発・生産の加速により、民間市場調査会社の富士経済では、リチウムイオン電池市場は今後5年で6倍以上に拡大すると予測している。
ただ、リチウムは現行のニッケルに比べ過熱しやすく、安全面でクリアすべき課題が残されている。さらに、原材料を含めて製造コストがかかるため、次世代エコカーの車体価格も高額になり、普及のネックになると懸念されている。
どこよりも早く低価格化を実現すれば、次世代エコカーで主導権を握り、一気にシェアを獲得することができる。開発レースの行方は、各陣営の将来の成長を大きく左右する。