ドイツのRUF(ルーフ)社は7日、コペンハーゲンで開幕したCOP15(国連気候変動枠組み第15回締約国会議)において、『eRUFストームスター』を公開した。ポルシェ『カイエン』をベースに開発したEVで、SUVの電気自動車としては世界初となる。
ルーフ社はポルシェのスペシャリストとして知られ、ポルシェベースのコンプリートカーを数多く製作。ドイツでは正式な自動車メーカーとして認められている。ルーフ社は2008年10月、『911カレラ』をベースにしたEV、『eRUF911プロトタイプ』を開発。試作段階ながら、0-100km/h加速7秒以下、最高速度224km/hという性能を実現した。1回の充電で250 - 300km走行できる。
さらに2009年3月のジュネーブモーターショーでは、その進化バージョンの『eRUFグリーンスター』を発表。最大出力367psのモーターを搭載し、0-100km/h加速5秒、最高速320km/hのパフォーマンスを達成した。ちなみに、ベースとなった『911カレラカブリオレ』は、0-100km/h加速4.9秒、最高速287km/hである。
今回発表したeRUFストームスターは、911ベースのEV開発で得られたノウハウを、SUVのカイエンに応用したモデル。eRUFグリーンスターと同様、EVシステムはドイツの大手電子機器メーカー、シーメンスと共同開発された。
「eドライブ」と呼ばれるパワートレーンは、モーター、ジェネレーター、コントロールモジュール、リチウムイオンバッテリーを一体設計したもの。モーターは最大出力367ps、最大トルク96.9kgmと非常に強力なスペックを発揮する。2次電池はLi-Tec社製のリチウムイオンバッテリー。充電は400Vプラグに接続して、約1時間で完了する。
しかしこのeRUFストームスター、まだ実験段階車という印象だ。車体重量が2670kgと重いこともあり、0-100km/h加速は10秒、最高速は150km/h、最大航続距離は200kmと、911ベースのEVと比較すると、実用面で大きく見劣りする。
一方、本家のカイエンは3.6リットルV6ガソリン(290ps)搭載のエントリーグレードでも、0-100km/h加速8.1秒、最高速227km/hの実力。今後、ルーフ社ではこの性能を超えるべく、開発を進めることになるのだろう。